GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補について、欧州医薬品庁の医薬品委員会が承認を勧告する肯定的意見を採択

この資料は、英国GSK plcが2023年4月27日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年4月27日 英国ロンドン発>

GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補について、欧州医薬品庁の医薬品委員会が承認を勧告する肯定的意見を採択

  • 高年齢成人のRSウイルス疾患の予防を目的とする初めてのワクチンの可能性に向けて前進
  • 基礎疾患を有する集団を含む高年齢成人での本ワクチン候補の良好な試験結果に基づいた販売承認の勧告
  • 欧州での製造販売承認は2023年7月までに決定の見込み

GSK(本社:英国)は、60歳以上を対象とするRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)による下気道疾患の予防を目的としたRSウイルスワクチン候補について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use、以下CHMP)が販売承認を勧告する肯定的意見を採択したことをお知らせします。CHMPの承認勧告は欧州委員会(European Commission)により販売承認が認可される前の最終段階のひとつであり、このたびの採択は、成人向けのRSウイルスワクチン候補において初めてです。

現在、高年齢成人でのRSウイルスを予防するワクチンや特定の治療法はありません。RSウイルスは、欧州で毎年60歳以上の成人で27万人以上の入院と、約2万人の入院中の死亡を引き起こしています1。承認されれば、本RSウイルスワクチン候補が、高年齢成人の人々をRSウイルス感染症から守る最初のワクチンとなる可能性があります。

GSKの欧州での製造販売承認申請は、迅速審査品目として審査されています。公衆衛生および治療上の革新性の観点から多大な貢献が期待される薬剤と判断された場合、迅速審査の対象となります。欧州委員会の最終決定は2023年7月までに行われる予定です。

このたびの肯定的な意見は、主要な第III相ワクチン有効性試験であるAReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)試験から得られたデータに基づいています。本試験では、60歳以上における下気道疾患(RSV-LRTD)に対する本ワクチン候補の全般的有効性は82.6%(96.95% CI:57.9~94.1、12,466例中7例対12,494例中40例)であり、主要評価項目を達成しました。特定の心肺系および内分泌代謝系の疾患など、注目すべき併存疾患を有する高年齢成人での有効性は94.6%(95% CI、65.9~99.9、4,937例中1例対4,861例中18例)でした。本ワクチン候補は、概ね良好な安全性プロファイルを示しました。最も多く認められた特定有害事象は、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛、関節痛でした。これらは概ね軽度から中等度であり、一過性でした。

また、GSKは高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補について、2022年に、日本米国EUを含む国々の規制当局に承認申請を行いました。規制当局の決定を待ち、できるだけ早く本ワクチン候補の供給開始を目指しています。その他国々の規制当局への申請は本年を通して継続される予定です。

GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補について
GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補は、膜融合前型の遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原と、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。本ワクチン候補は、複数の試験を通して、概ね良好な忍容性と安全性プロファイルを示しました。最も多く認められた特定有害事象は、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛、関節痛でした。これらは概ね軽度から中等度であり、一過性でした。GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。

併存疾患を有する集団を含む50~59歳の成人において、RSウイルスワクチン接種によりベネフィットが得られる可能性のある集団を拡大することを目的とした臨床試験で、募集が完了しています。試験結果は、第III相AReSVi-006臨床試験および免疫原性試験であるAReSVi-004試験の追加結果とともに、2023年に得られる予定です。これらの試験では、年1回の再接種スケジュールと、RSウイルスワクチン候補の1回接種後の複数シーズンにわたる予防効果・免疫原性を継続して評価します。さらに、2つのインフルエンザワクチンの併用投与試験の結果も2023年上半期に発表される予定です。

現在、世界で承認されているRSウイルスワクチンはありません。

成人におけるRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス、Respiratory Syncytial Virus)について
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。現在でも、成人に対するRSウイルスは、ワクチンや特定の治療法のない主要な感染性の病原体のひとつです。高年齢成人では、加齢に伴う免疫低下などのため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなるといわれています。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの症状が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。先進国で毎年、RSウイルスによる60歳以上の入院は47万例以上、死亡が33,000例発生していると推定されており1、基礎疾患のある成人では、基礎疾患のない成人と比較し、受診する可能性が高く入院率も高くなるといわれています。日本の60歳以上においては約63,000例の入院と4,000例の死亡原因になっていると推定されます1

GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 November 11 (Epub ahead of print). [PMID: 36369772]. Accessed February 2022. Available at: Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high‐income countries: A systematic literature review and meta‐analysis - Savic - Influenza and Other Respiratory Viruses - Wiley Online Library