GSKの高年齢成人を対象とした呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)ワクチン候補における第III相試験の良好な結果が、New England Journal of Medicine誌に掲載
この資料は、英国GSK plcが2023年2月15日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。
<2023年2月15日 英国ロンドン発>
GSKの高年齢成人を対象とした呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)ワクチン候補における第III相試験の良好な結果が、New England Journal of Medicine誌に掲載
~GSKのRSウイルスワクチン候補の可能性がさらに高まる~
- 併存疾患を有する最もリスクの高い成人を含む高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補の第III相試験結果が世界で初めて査読付き論文として発表
- RSウイルス研究の進展に基づく新たなワクチン設計との専門家による見解
- 米国やEUをはじめとする国々での規制当局の決定を待ち、2023年のRSウイルスワクチン発売開始に向けて取り組む
GSK(本社:英国)は、高年齢成人を対象とした呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)ワクチン候補の第III相試験の良好な結果がNew England Journal of Medicine誌で発表されたことをお知らせします。本発表は、本ワクチン候補における主要な有効性データ(米国感染症学会の年次総会、ID Week 2022で発表済み:英語原文、日本語抄訳)の要約で、60歳以上のRSウイルス下気道疾患(RSV-LRTD)に対するワクチン有効性の主要評価項目の達成や、概ね良好な安全性プロファイルも示されています。さらに、注目すべき併存疾患を有する重症化リスクの高い集団においても、良好なワクチン有効性が認められました。
RSウイルスは、高年齢成人に対するワクチンや特定の治療法のない主要な感染症の病原体のひとつです。New England Journal of Medicine誌の専門家による展望記事では、RSウイルスに対するワクチン設計の大きな進歩が認められています。GSKは世界で初めて、高年齢成人に対するRSウイルスワクチン候補について第III相試験の良好な結果を査読付き論文として発表しました。
GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「私たちの願いは、RSウイルスによる重症化リスクの高い患者さんの大部分を占める基礎疾患をもつ高齢者を含め、RSウイルスの疾患リスクにさらされている多くの高年齢成人を守ることです。この素晴らしいデータをNew England Journal of Medicine誌で発表することができて光栄です。私たちは、高年齢成人にとってリスクとなり得るRSウイルスに対して先手を打てるよう、規制当局の決定を待ちできるだけ早くこのワクチンを必要とする人々にお届けし、そして、GSKが実施している臨床開発プログラムのさらなるデータを共有することに尽力してまいります。」
スペインのサンティアゴ公衆衛生研究機関(Instituto de Investigación Sanitaria de Santiago)のワクチン臨床試験ユニットのコーディネーターで、New England Journal of Medicine誌に掲載された文献の著者であるマルチノン・トレス(Martinón-Torres)教授は次のように述べています。
「RSウイルスの症状は軽度であることが多いですが、高年齢成人では重大な影響を及ぼすこともあり、季節性インフルエンザと同程度の世界的な負担をもたらす可能性があります。今回、RSウイルスワクチン候補について重要なデータが発表されました。公衆衛生に有意義な影響をもたらす可能性のある有効なRSウイルスワクチンが初めて誕生しようとしているのです。」
GSKは、2023~2024年の北半球でのRSウイルス流行シーズンに先立ち、できるだけ早く本ワクチン候補の供給を開始することを目指しています。2022年に、日本、米国、EUを含む国々の規制当局に承認申請を行いました。2023年3月1日には、米国食品医薬品局(FDA)のワクチンおよび関連する生物学的製剤諮問委員会(VRBPAC)の会議が開催され、生物学的製剤承認申請の審査が行われます。現在、世界で承認されているRSウイルスワクチンはありません。
RSウイルスの臨床開発プログラムについて
GSKは、RSウイルスワクチン接種のベネフィットが得られる可能性がある集団を、基礎疾患を有する50~59歳の成人まで拡大し、高年齢成人を対象とした他のワクチンとの同時接種に関するさらなる根拠を提供することを目的として、新たに3つの第III相臨床試験を実施しています。
この3つの試験では十分な被験者が登録されており、AReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)第III相有効性試験およびAReSVi-004免疫原性試験の追加データと合わせて、2023年に結果が得られる予定です。これらの試験では、年1回の再接種スケジュールと、RSウイルスワクチン候補の1回接種後の複数シーズンにわたる予防効果・免疫原性を継続して評価します。
- NCT05590403では、RSウイルス下気道疾患(RSV-LRTD)のリスクが高い成人を含む50~59歳の成人におけるワクチン候補の免疫原性および安全性を、60歳以上の成人における免疫原性および安全性と比較して評価します。
- NCT05568797およびNCT05559476では、65歳以上の成人において、高用量インフルエンザワクチンおよびアジュバント添加インフルエンザワクチンと同時接種したときのワクチン候補の免疫原性、安全性および反応原性を評価します。この2つの試験は、米国感染症学会の年次総会(ID Week 2022)で発表されたGSKのRSウイルスワクチン候補と季節性4価インフルエンザワクチンの同時接種における良好なデータに基づき実施されます。
GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補について
GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン候補は、膜融合前型の遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原と、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。本ワクチン候補は、複数の試験を通して、概ね良好な忍容性と安全性プロファイルを示しました。最も多く認められた特定有害事象は、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛でした。これらは概ね軽度から中等度であり、一過性でした。GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。
成人における呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス、Respiratory Syncytial Virus)について
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。現在でも、成人に対するRSウイルスは、ワクチンや特定の治療法のない主要な感染性の病原体のひとつです。高年齢成人では、加齢に伴う免疫低下などのため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなります。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの症状が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。先進国で毎年、RSウイルスによる成人の入院が47万例以上、死亡が33,000例発生しています1。基礎疾患のある成人では、基礎疾患のない成人と比較し、受診する可能性が高く入院率も高くなります。
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1. Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 November 11 (Epub ahead of print). [PMID: 36369772]. Accessed 6 December 2022. Available at: Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high‐income countries: A systematic literature review and meta‐analysis - Savic - Influenza and Other Respiratory Viruses - Wiley Online Library