GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」が英国の医薬品医療製品規制庁より承認を取得

この資料は、英国GSK plcが2023年7月10日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年7月10日 英国ロンドン発>

GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」が英国の医薬品医療製品規制庁より承認を取得

  • 英国の60歳以上の成人をRSウイルス感染症から守る初めてのワクチンが誕生

  • RSウイルスは英国で毎年60歳以上の成人で14,000人の入院と8,000人の死亡を引き起こすと推定

  • 高年齢成人における主要な第III相臨床試験から得られた有効性データに基づき承認を取得

GSK(本社:英国)は、60歳以上を対象とするRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)による下気道疾患の予防を目的としたRSウイルスワクチン「Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)」について、英国の医薬品医療製品規制庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency、以下MHRA)が「Arexvy」を承認したことを発表しました。Arexvyは、高年齢成人向けのRSウイルスワクチンとして英国で初めて承認されました。

GSKのシニアバイスプレジデントで英国ゼネラルマネージャーのニール・ベルソンは次のように述べています。
「RSウイルス感染による入院の大半は基礎疾患を有する患者さんです。私たちGSKは、このような患者さんを含め、RSウイルス感染症のリスクがある英国の60歳以上の成人をRSウイルスから守ることを目ざしており、このたびのArexvyの承認を大変うれしく思います。これにより、対象となる英国の人々に初めてRSウイルスのワクチン、Arexvyをお届けできるようになり、GSKのワクチン革新の長い歴史をさらに強化することも意味します。」

RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスで、英国では毎年、60歳以上の成人で175,000人のかかりつけ医受診と、14,000人の入院、8,000人の死亡を引き起こしていると推定されます1。最近の研究によると、RSウイルス疾患で入院した高年齢成人の負担は、インフルエンザよりも大きい可能性があることが示唆されています2。糖尿病や慢性心臓、肺疾患などの基礎疾患を有する患者さんが、RSウイルスによる入院の大部分を占めています3,4

このたびの承認は、GSKの主要な第III相臨床試験であるAReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)試験から得られたデータ(New England Journal of Medicine掲載)に基づいています。本試験では、特定の基礎疾患を有する患者さんを含め、RSウイルスによる下気道疾患に対して全般的に高いワクチン効果が認められました5

ワクチンの忍容性は概して良好で、治験実施計画書に規定された有害事象として最も高頻度に認められたものは、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、関節痛、頭痛でした。またこれらは全般的に軽度~中等度であり、一過性のものでした。

MHRAの決定は、2023年6月6日の欧州委員会による「Arexvy」の承認に基づくものです。高年齢成人集団におけるRSウイルス疾患の予防は公衆衛生上の重大な関心事であると考えられているため、GSKのEUでの製造販売承認申請は迅速審査品目として審査されました。

「Arexvy」は、60歳以上を対象としたRSウイルスによる下気道疾患の予防を適応として、米国食品医薬品局(FDA)には2023年5月に世界初承認、欧州委員会には2023年6月に承認されたRSウイルスワクチンです。日本においては2022年10月に規制当局へ承認申請を行いました。その他国々の規制当局による審査も進行中です。

「Arexvy」(遺伝子組換えアジュバント添加RSウイルスワクチン)について
Arexvyは、アジュバント添加RSウイルスワクチンであり、膜融合前型で安定化された遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。

効能・効果
英国において、医薬品医療製品規制庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:MHRA)が、60歳以上の成人におけるRSウイルスによる下気道疾患の予防を目的とした能動免疫として、Arexvyの使用を承認しています6。また、米国や欧州連合加盟国および欧州経済地域(EEA)加盟国*においても承認されています。本ワクチンの使用は、公式の推奨に従うものとします。他のワクチンと同様に、すべてのワクチン被接種者で防御免疫応答が誘導されるわけではありません。欧州および米国以外での商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

基礎疾患を有する集団を含む50~59歳の成人を対象としたRSウイルスワクチンの臨床試験の募集が完了しています。試験結果は、第III相有効性試験であるAReSVi-006試験および免疫原性試験であるAReSVi-004試験の追加結果とともに、2023年に得られる予定です。これらの試験では、年1回の再接種スケジュールと、RSウイルスワクチンの単回接種後の複数シーズンにわたる予防効果・免疫原性を継続して評価します。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。

(*)欧州委員会は、欧州連合加盟国および欧州経済領域(EEA)加盟国のアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの医薬品を承認する権限を有しています。

AReSVi-006について
AReSVi-006について本試験は、60歳以上の成人を対象にGSKのアジュバント添加RSVPreF3ワクチンの単回投与の有効性を検証する、ランダム化、プラセボ対照、観察者盲検、多国間第III相試験です。17カ国から約25,000例が登録されました。最初の結果は2023年2月に「New England Journal of Medicine」に発表されました。

高年齢成人におけるRSウイルスについて
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。高年齢成人では、加齢に伴う免疫機能低下などのため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなるといわれています。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。英国では毎年、RSウイルスによる60歳以上の成人のかかりつけ医受診が175,000例、入院が14,000例、死亡が8,000例と推定されています1。また、60歳以上の成人では、入院の可能性がある重症RSウイルス感染のリスクが高いことが示唆されています。日本の60歳以上においては約63,000例の入院と4,000例の死亡原因になっていると推定されます7

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Fleming, D.M., Taylor, R.J., Lustig, R.L. et al. Modelling estimates of the burden of Respiratory Syncytial virus infection in adults and the elderly in the United Kingdom. BMC Infect Dis 15, 443 (2015). https://doi.org/10.1186/s12879-015-1218-z
2 Perez SN, et al. Respiratory Syncytial Virus Disease Burden in Community-Dwelling and Long-Term Care Facility Older Adults in Europe and the United States: A Prospective Study | Open Forum Infectious Diseases | Oxford Academic (oup.com). Open Forum Infectious Diseases, Volume 10, Issue 4, April 2023.
3 Centers for Disease Control and Prevention. RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions. Accessed March 2023. Available at: www.cdc.gov/rsv/high-risk/older-adults.html
4 Tseng HF, Sy LS, Ackerson B, et al. Severe morbidity and short- and mid- to long-term mortality in older adults hospitalized with respiratory syncytial virus infection. J Infect Dis. 2020;222(8):1298-1310. doi:10.1093/infdis/jiaa361.  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32591787/
5 The New England Journal of Medicine, Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2209604
6 Arexvy (Respiratory Syncytial Virus (RSV) vaccine, (recombinant, adjuvanted)) summary of product characteristics (SmPC) July 2023.
7 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 November 11. Available at: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/irv.13031