GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」が欧州委員会より承認を取得

この資料は、英国GSK plcが2023年6月7日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年6月7日 英国ロンドン発>

GSKの高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」が欧州委員会より承認を取得

  • 欧州30カ国の60歳以上の成人をRSウイルス感染症から守る初めてのワクチンが誕生(*)

  • RSウイルスは欧州で毎年60歳以上の成人で推定27万人以上の入院と約2万人の入院中の死亡を引き起こす

  • 高年齢成人における主要な第III相臨床試験から得られた良好な有効性データに基づき承認を取得

GSK(本社:英国)は、60歳以上を対象とするRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)による下気道疾患の予防を目的としたRSウイルスワクチン「Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)」について、欧州委員会の承認を取得したことをお知らせします。

Arexvyは、初めての高年齢成人向けのRSウイルスワクチンとして欧州委員会から承認されました。2023年から2024年のRSウイルス流行シーズン(例年は秋期)前に発売される予定です。

GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「欧州では毎年、数千人の高年齢成人がRSウイルスによる重篤な呼吸器疾患に苦しんでいます。このたびの承認によって対象となる人々に初めてRSウイルスのワクチン、Arexvyをお届けできるようになりました。これはGSKのワクチン革新の長い歴史を強化するものです。ベルギーのワクチン製造拠点を含め、私たちGSKの強力な製造能力と規模を動員して、各国の発売開始に合わせ、ワクチンを提供できるよう尽力してまいります。」

RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスで、欧州では毎年、60歳以上の成人で推定27万人以上の入院と約2万人の死亡を引き起こしています1。この集団では毎年推定300万例のRSウイルス急性呼吸器感染症(ARI)が報告されており、医療制度への影響は高齢化に伴って増加すると予想されています1。糖尿病、慢性の心臓・肺疾患などの基礎疾患を有する患者さんが、RSウイルスによる入院の大部分を占めています2,3

フェラーラ大学の呼吸器内科教授で学長であるAlberto Papi博士は次のように述べています。
「RSウイルスはほとんどの場合、風邪に似た症状を引き起こします。しかし、高年齢成人や基礎疾患を有する患者さんでは、重度の疾患につながる可能性があり、重篤な呼吸器感染症の主な原因となっています。科学者として、私たちは60年以上にわたり解決策を探してきました。その結果、このたび、欧州の高年齢成人を重度のRSウイルス疾患から守るためのワクチンが初めて承認に至り、この技術革新に携わることができ誇りに思います。」

このたびの承認は、GSKの主要な第III相臨床試験であるAReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)試験から得られたデータに基づいています。本試験では60歳以上における下気道疾患(RSV-LRTD)に対する本ワクチンの統計学的に有意かつ臨床的に重要な全般的有効性[82.6%(96.95% CI:57.9-94.1、12,466例中7例対12,494例中40例)]が示され、主要評価項目が達成されました。また、特定の心肺系および内分泌代謝系の疾患など、注目すべき併存疾患を有する高年齢成人での有効性は94.6%(95% CI:65.9-99.9、4,937例中1例対4,861例中18例)でした。

Arexvyは、概ね良好な安全性プロファイルを示しました。最も多く認められた特定有害事象は、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛、関節痛でした。これらは概ね軽度から中等度であり、一過性でした。

欧州委員会の決定は、2023年4月の欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP)の肯定的意見に基づくものです。高年齢成人集団におけるRSウイルス疾患の予防は公衆衛生上の重大な関心事であると考えられているため、GSKの製造販売承認申請は迅速審査品目として審査されました。

Arexvyは、米国食品医薬品局(FDA)によって2023年5月に承認された世界初の高年齢成人向けのRSウイルスワクチンです。今月下旬には、米国の予防接種諮問委員会(ACIP)によるArexvyの適正使用に関する勧告がなされます。現在、日本およびその他国々の規制当局による審査が進行しています。

(*)欧州委員会は、欧州連合加盟国および欧州経済領域(EEA)加盟国のアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの医薬品を承認する権限を有しています。

Arexvy(遺伝子組換えアジュバント添加RSウイルスワクチン)について
Arexvyは、アジュバント添加RSウイルスワクチンは、膜融合前型で安定化された遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。

効能・効果
欧州委員会は、60歳以上の成人におけるRSウイルスによる下気道疾患の予防を目的とした能動免疫として、Arexvyの使用を承認しています。また、米国においても承認されています。本ワクチンの使用は、公式の推奨に従うものとします。他のワクチンと同様に、すべてのワクチン被接種者で防御免疫応答が誘導されるわけではありません。現在、GSKの高年齢成人向けのRSウイルスワクチンは欧州および米国以外の国や地域では承認されていません。欧州および米国以外での商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

併存疾患を有する集団を含む50~59歳の成人において、併存疾患を有する集団を含む50~59歳の成人を対象としたRSウイルスワクチンの臨床試験の募集が完了しています。試験結果は、第III相有効性試験であるAReSVi-006試験および免疫原性試験であるAReSVi-004試験の追加結果とともに、2023年に得られる予定です。これらの試験では、年1回の再接種スケジュールと、RSウイルスワクチンの単回接種後の複数シーズンにわたる予防効果・免疫原性を継続して評価します。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。

AReSVi-006試験について
本試験は、60歳以上の成人を対象にGSKのアジュバント添加RSVPreF3ワクチンの単回投与の有効性を実証する、ランダム化、プラセボ対照、観察者盲検、多国間第III相試験です。17カ国から約25,000例が登録されました。最初の結果は2023年2月に「New England Journal of Medicine」に発表されました。

高年齢成人におけるRSウイルスについて
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。高年齢成人では、加齢に伴う免疫力低下などのため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなるといわれています。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。RSウイルスは、欧州で毎年60歳以上の成人で27万人以上の入院と、約2万人の入院中の死亡を引き起こしていると推定され1、基礎疾患のある成人では、基礎疾患のない成人と比較し、受診する可能性が高く入院率も高くなるといわれています。日本の60歳以上においては約63,000例の入院と4,000例の死亡原因になっていると推定されます1

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 November 11.
Available at: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/irv.13031
2 Centers for Disease Control and Prevention. RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions. Accessed March 2023.
Available at: www.cdc.gov/rsv/high-risk/older-adults.html
3 Tseng HF, Sy LS, Ackerson B, et al. Severe morbidity and short- and mid- to long-term mortality in older adults hospitalized with respiratory syncytial virus infection. J Infect Dis. 2020;222(8):1298-1310. doi:10.1093/infdis/jiaa361.
Available at: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32591787/