GSK、世界初となる高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」が米国FDAより承認を取得

この資料は、英国GSK plcが2023年5月3日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年5月3日 英国ロンドン発>

GSK、世界初となる高年齢成人を対象としたRSウイルスワクチン「Arexvy」が米国FDAより承認を取得

  • RSウイルス感染症から60歳以上の成人を守る初めてのワクチンが誕生
  • 基礎疾患を有する集団を含む高年齢成人および重度のRSウイルス疾患を有する高年齢成人での主要な第III相臨床試験から得られた良好な有効性データに基づき承認を取得
  • 米国での発売開始は2023~2024年のRSウイルス流行シーズン前の見込み

GSK(本社:英国)は、60歳以上を対象とするRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)による下気道疾患の予防を目的としたRSウイルスワクチン「Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)」について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことをお知らせします。Arexvyは、高年齢成人向けのRSウイルスワクチンとして世界で初めて承認されました。

GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「このたびのFDAの承認は、RSウイルスによって引き起こされる重大な負担を軽減するための私たちの取り組みが転換点を迎えたことを意味しています。Arexvyは、世界で初めて承認された高年齢成人向けのRSウイルスワクチンであり、毎年何百万人もの人々を感染症から守るGSKのワクチンの製品群をさらに拡充します。米国および現在承認を申請している他の国々においても規制当局と協力しながら、高年齢成人の方々にできるだけ速やかにこのRSウイルスワクチンをお届けできるよう尽力してまいります。」

RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスで、高年齢成人では重篤な呼吸器疾患を引き起こすリスクがあります。米国では毎年、65歳以上の成人で約177,000人の入院と14,000人の死亡原因であると推定されています1,2,3。高年齢成人は、糖尿病や慢性の心臓・肺疾患などの基礎疾患を有する成人を含め、重度のRSウイルス疾患のリスクが高く、RSウイルスによる入院の大部分を占めています4

米国メディカルグループアソシエーション(American Medical Group Association、以下AMGA)の会長のジョン・ケネディ(John Kennedy)医学博士は次のように述べています。
「これまで何十年にもわたり、AMGAや医療界では成人の予防接種の増やすための方法を積極的に追求してきました。その結果、Arexvyが患者さんをケアする新たな選択肢となったことを喜ばしく思います。米国においてArexvyは、60歳以上の特にCOPD、喘息、うっ血性心不全などの基礎疾患を有する人々がRSウイルスにより重篤な転帰に至るリスクを軽減するために役立ちます。」

このたびのFDAによる承認は、GSKの主要な第III相臨床試験であるAReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)試験のデータに基づいています。本試験では60歳以上の成人において、ワクチンの下気道疾患(RSV-LRTD)に対する統計学的に有意かつ臨床的に重要な全般的有効性[82.6%(96.95% CI: 57.9-94.1、12,466例中7例対12,494例中40例)]が示され、主要評価項目が達成されました。また、特定の心肺系および内分泌代謝系の疾患など、注目すべき併存疾患を有する高年齢成人での有効性は94.6%(95% CI: 65.9-99.9、4,937例中1例対4,861例中18例)でした。通常の日常活動の支障となるRSウイルス関連LRTDの発症と定義した重症RSV-LRTDに対する有効性は94.1%(95% CI: 62.4-99.9、12,466例中1例対12,494例中17例)でした。

Arexvyは、概ね良好な安全性プロファイルを示しました。最も多く認められた特定有害事象は、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛、関節痛でした。これらは概ね軽度から中等度であり、一過性でした。

米国の予防接種諮問委員会(ACIP)によるArexvyの適正使用に関する勧告は、2023年6月に予定されています。Arexvyは、通常冬季に先行して始まる2023~2024年のRSウイルス流行シーズン前に、高年齢成人を対象に提供される見込みです。

2023年4月に欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP)は、60歳以上のRSウイルスによる下気道疾患を予防する本ワクチンの販売承認を勧告する肯定的意見を採択しました。欧州の規制当局による製造販売承認に関する最終的な決定は、今後数カ月以内に行われる予定です。また、2022年10月には、日本の規制当局に承認申請を行いました。その他国々の規制当局による審査も現在進行しています。

Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)について
Arexvyは、アジュバント添加RSウイルスワクチンは、膜融合前型の遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原と、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。

米国においてArexvyは、60歳以上の下気道疾患(RSV-LRTD)の予防を目的としています。現在、GSKの高年齢成人向けのRSウイルスワクチンは米国以外の国では承認されていません。米国以外での商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

併存疾患を有する集団を含む50~59歳の成人において、RSウイルスワクチンの接種によりベネフィットが得られる可能性のある集団を拡大することを目的とした臨床試験で、募集が完了しています。試験結果は、第III相有効性試験であるAReSVi-006臨床試験および免疫原性試験であるAReSVi-004試験の追加結果とともに、2023年に得られる予定です。これらの試験では、年1回の再接種スケジュールと、RSウイルスワクチンの1回接種後の複数シーズンにわたる予防効果・免疫原性を継続して評価します。2023年6月に開催される予防接種諮問委員会(ACIP)の会議までに、さらに2つのインフルエンザワクチンの併用投与試験の結果も得られる予定です。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。

高年齢成人におけるRSウイルスについて
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。高年齢成人では、加齢に伴う免疫力低下などのため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなるといわれています。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。米国では毎年、RSウイルスによる65歳以上の成人の入院が約177,000例、死亡が14,000例と推定されています3。60歳以上の成人では、入院に至る可能性のある重度のRSウイルス感染のリスクが高いことがデータから示唆されており5,6、基礎疾患のある成人では、基礎疾患のない成人と比較し、受診する可能性が高く入院率も高くなるといわれています。日本の60歳以上においては約63,000例の入院と4,000例の死亡原因になっていると推定されます7

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Centers for Disease Control and Prevention. RSV Transmission. Accessed March 2023. Available at: https://www.cdc.gov/rsv/about/transmission.html
2 National Foundation for Infectious Diseases. Respiratory Syncytial Virus in Older Adults: A Hidden Annual Epidemic. 2016. Accessed March 2023. Available at: https://www.nfid.org/wp-content/uploads/2019/08/rsv-report.pdf
3 Falsey AR, et al. N Engl J Med 2005; 352:1749-1759 DOI: 10.1056/NEJMoa043951. Accessed March 2023.
4 Centers for Disease Control and Prevention. RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions. Accessed March 2023. Available at: www.cdc.gov/rsv/high-risk/older-adults.html
5 Tseng HF, Sy LS, Ackerson B, et al. Severe morbidity and short- and mid- to long-term mortality in older adults hospitalized with respiratory syncytial virus infection. J Infect Dis. 2020;222(8):1298-1310. doi:10.1093/infdis/jiaa361.
6 Belongia EA, King JP, Kieke BA, et al. Clinical features, severity, and incidence of RSV illness during 12 consecutive seasons in a community cohort of adults ≥60 years old. Open Forum Infect Dis. 2018;5(12):ofy316. doi:10.1093/ofid/ofy316.
7 Savic M et al. Influenza Other Respir Viruses 2023;17(1):e13031.