GSK、RSウイルスによる感染症のリスクが高い50~59歳の成人を対象としたRSウイルスワクチン「アレックスビー」の臨床試験において肯定的な結果を示す新たなデータを発表
この資料は、英国GSK plcが2023年10月25日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。
<2023年10月25日 英国ロンドン発>
GSK、RSウイルスによる感染症のリスクが高い50~59歳の成人を対象としたRSウイルスワクチン「アレックスビー」の臨床試験において肯定的な結果を示す新たなデータを発表
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第III相試験の予備的結果で、50~59歳の成人では60歳以上の成人と比較して免疫応答の非劣性が認められ、主要評価項目を達成
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特定の基礎疾患を有する50歳以上の成人ではRSウイルスによる感染症リスクが高まる1
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適応拡大については2024年に決定の見込みで、GSKがこの年齢層でのRSウイルスワクチンの承認申請を行う最初の企業となる可能性
GSK(本社:英国)は、RSウイルスによる下気道疾患のリスクが高い特定の基礎疾患を有する集団を含む50~59歳の成人を対象としたRSウイルスワクチン、Arexvy(アレックスビー、アジュバント添加RSウイルスワクチン)の免疫応答と安全性を評価した第III相臨床試験[NCT05590403]において、肯定的な予備結果が得られたことをお知らせします。この結果は、米国疾病対策予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)の会議で10月25日に発表されました。アレックスビーは現在、米国の60歳以上を対象にRSウイルスによる下気道疾患の予防を適応として承認されています。また、日本(RSウイルスによる感染症の予防)や欧州をはじめその他数カ国でも承認されています。
アレックスビーにおけるRSウイルス感染症のリスクが高い特定の基礎疾患を有する50~59歳の成人での免疫応答は、60歳以上の成人と比較して非劣性であり、本試験の主要評価項目を達成しました。60歳以上を対象としたアレックスビーの有効性は既に示されています。また、本試験に登録した基礎疾患を有さない50~59歳の成人においても主要評価項目を達成しました。安全性および反応原性のデータは、第III相臨床試験のプログラムでこれまでに得られた結果と一致していました。最も高頻度に認められた局所性有害事象は疼痛で、全身性有害事象は疲労と頭痛でした。これらは全般的に軽度であり、一過性のものでした。
GSKチーフ・サイエンティフィック・オフィサーのトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「このたびの臨床試験から、本ワクチンがRSウイルスによる下気道疾患のリスクが高い50~59歳の成人をRSウイルスから守ることができるという確信をさらに強めることができました。この年齢層には初となるRSウイルスワクチンをお届けできるよう、今回のデータをできるだけ早く規制当局に申請する予定です。」
RSウイルスは、重篤な呼吸器疾患につながる可能性がある一般的な感染性ウイルスで2、米国を含む多くの高所得国では、報告されているよりも感染率と入院率が高い可能性があると推定されています3。加齢、免疫低下状態、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの基礎疾患により、RSウイルスによる疾患のリスクが高まった成人では、RSウイルスに関連する疾病負荷が大きくなります。これらの基礎疾患がRSウイルスによって悪化することで、肺炎、入院または死亡につながる可能性があります4。
本試験の最終結果は、今後開催される医学学会で発表され、査読付きの学術誌に提出する予定です。データは、添付文書の適応拡大の可能性を裏付けるものとして、米国食品医薬品局(FDA)およびその他の規制当局にも提出されます。
試験デザインについて
NCT05590403は、RSウイルスによる下気道疾患のリスクが高い50~59歳の成人を対象にGSKのRSウイルスワクチンを単回投与したときの免疫応答の非劣性を60歳以上の成人と比較して評価し、また安全性についても比較検討する第III相、プラセボ対照、観察者盲検、ランダム化、国際共同、免疫原性試験です。RSウイルス感染症のリスク増加の原因となるものとしてあらかじめ特定した慢性疾患(慢性肺疾患、慢性心血管疾患、糖尿病、慢性腎臓病、慢性肝疾患)を有し、病状が安定している50~59歳の成人570例で免疫応答を評価しました。あらかじめ特定した上記の慢性疾患を有さない50~59歳の成人を含めた570例における免疫応答についても、60歳以上の成人と比較して評価しました。登録者は8か国で約1,520例でした。
本試験の主要評価項目として、ワクチン接種後1カ月の時点におけるRSV-A型およびRSV-B型に対する中和抗体価を50~59歳の成人を含む両群で、60歳以上の成人と比較しました。安全性および免疫原性に関する副次的評価項目および三次評価項目も設定しました。本試験は進行中であり、ワクチン投与後6カ月と12カ月の時点でさらなる免疫データを収集する予定です。
アレックスビー(Arexvy、アジュバント添加RSウイルスワクチン)について
アレックスビーは、アジュバント添加RSウイルスワクチンで、膜融合前型で安定化した遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。
アレックスビーは、60歳以上を対象にRSウイルスによる下気道疾患の予防を適応として米国食品医薬品局(FDA)より2023年5月3日に承認されたRSウイルスワクチンです。同年、欧州(6月)、英国、カナダでも承認されています。
日本では、60歳以上を対象にRSウイルスによる感染症の予防を適応として2023年9月に承認を取得しました。
その他の国々でも規制当局による審査が進行中です。承認地域以外の商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 STIMULONアジュバントが含まれています。
成人におけるRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)について
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです2。基礎疾患、免疫低下状態、または加齢によって成人のRSウイルスによる疾患のリスクが高くなるといわれています4。RSウイルスにより、COPD、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります4。米国では毎年、RSウイルスによる65歳以上の成人の入院が約177,000人、死亡が14,000人と推定されています5。60歳以上の成人では、入院の可能性がある重症RSウイルス感染のリスクが高いことが示唆されています6,7。
日本では、RSウイルスによる60歳以上の成人の入院が約63,000人、院内死亡が約4,500人と推定されています3。
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1 Branche et al. Incidence of Respiratory Syncytial Virus Infection Among Hospitalized Adults, 2017-2020. Clin Infect Dis 2022:74:1004–1011.
2 National Foundation for Infectious Diseases. Respiratory Syncytial Virus. Accessed October 2023. Available at: www.nfid.org/infectious-disease/rsv/
3 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 2023; 17:e13031.
4 Centers for Disease Control and Prevention. RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions. Accessed October 2023. Available at:www.cdc.gov/rsv/high-risk/older-adults.html
5 Falsey AR, et al. N Engl J Med 2005; 352:1749-1759 DOI: 10.1056/NEJMoa043951. Accessed October 2023.
6 Tseng HF, Sy LS, Ackerson B, et al. Severe morbidity and short- and mid- to long-term mortality in older adults hospitalized with respiratory syncytial virus infection. J Infect Dis. 2020;222(8):1298-1310. doi:10.1093/infdis/jiaa361.
7 Belongia EA, King JP, Kieke BA, et al. Clinical features, severity, and incidence of RSV illness during 12 consecutive seasons in a community cohort of adults ≥60 years old. Open Forum Infect Dis. 2018;5(12):ofy316. doi:10.1093/ofid/ofy316.