GSKのRSウイルス感染予防を目的とした「Arexvy」について、米国疾病対策予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会が臨床的共同意思決定に基づき60歳以上の成人への接種推奨を勧告

この資料は、英国GSK plcが2023年6月22日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年6月22日 英国ロンドン発>

GSKのRSウイルス感染予防を目的とした「Arexvy」について、米国疾病対策予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会が臨床的共同意思決定に基づき60歳以上の成人への接種推奨を勧告

  • 米国では2023年のRSウイルス流行シーズン前に販売予定

  • 委員会の本勧告により、米国では5,500万人以上の高年齢成人にRSウイルスワクチンの接種が可能に1

  • RSウイルスは米国において毎年65歳以上で約177,000人の入院と14,000人の死亡の原因であると推定2,3,4

GSK(本社:英国)は、60歳以上を対象とするRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)による下気道疾患の予防を目的としたRSウイルスワクチン「Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)」について、米国疾病対策予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)が、臨床的共同意思決定に基づきArexvyの接種推奨を勧告したことをお知らせします。臨床的共同意思決定とは、医療従事者と患者さんが話し合った上でRSウイルスワクチンを接種することが適切であるかどうかを決めるものです。

RSウイルスは、重篤な呼吸器疾患につながる可能性がある一般的な感染性ウイルスで、米国では、RSウイルスのリスクが高いとされる65歳以上の成人が推定5,580万人います1,2。米国では毎年RSウイルスにより、この年齢層で約17万7,000人の入院と1万4,000人の死亡を引き起こすと推定されます2,3,4。また60歳以上の成人では、RSV感染症が重症化し入院につながるリスクが高いことが示されています5,6。慢性心不全、慢性肺疾患、糖尿病などの基礎疾患*を有する集団を含む高年齢成人では、重度のRSウイルス疾患のリスクが高く、RSウイルスによる入院の大部分を占めます5

GSKチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「RSウイルスによる下気道疾患から高年齢成人を守るためのワクチンの開発にGSKが成功したことは、科学の進歩として大きく、これはアカデミアや企業、そして研究センターとの長年の連携があって成し得たことです。ACIPとCDCがArexvyの可能性を認識くださったことに感謝するとともに、公衆衛生当局、医療従事者、支払者と連携しながら、今年のRSウイルス流行シーズンが始まる前に、対象となる米国の高年齢成人の皆様にArexvyをお届けできるよう尽力してまいります。」

今回の勧告を行う際にACIPは、基礎疾患を有する高年齢成人を対象に含めたワクチンの妥当性を裏付ける包括的なデータパッケージのエビデンスを、2023年2月に「New England Journal of Medicine」に発表された主要な第III相試験であるAReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)の第1シーズンの結果も含めて検討しました。ACIPの会議においてGSKは、北半球で得られた第2シーズンの試験データも提示しました。この試験は進行中であり、複数シーズンにわたるワクチンの効果と再接種の最適なタイミングを検討しています。これらのデータは審査のために米国食品医薬品局(FDA)に提出する予定です。

ACIPによる推奨内容はCDCのDirectorとアメリカ合衆国保健福祉省に送られ、審査および承認を受けることになっています。承認されると、最終版の推奨内容が今後のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)に、ワクチンの適切な使用に関する医療従事者向けの推奨事項として公表されることになります。

*CDCによると、60歳以上の成人で重症呼吸器疾患のリスクがさらに高くなる要因には、慢性肺疾患、慢性心血管疾患、免疫不全、血液疾患、神経疾患、内分泌疾患、腎および肝疾患などがあるとされています8

Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)について
Arexvyは、アジュバント添加RSウイルスワクチンであり、膜融合前型で安定化された遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています7

Arexvyは、60歳以上のRSウイルスによるLRTDの予防を適応として2023年5月3日に米国食品医薬品局(FDA)に承認されたRSウイルスワクチンです9

臨床試験において、ワクチンの忍容性は概して良好で、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛、関節痛が治験実施計画書に規定された有害事象として極めて高頻度に認められましたが、これらは全般的に軽度~中等度であり、一過性のものでした7

欧州委員会は、60歳以上の成人におけるRSウイルスに起因するLRTDの予防を目的とした能動免疫を適応として本ワクチンを2023年6月に承認しました10。2022年10月には、日本の規制当局に承認申請を行いました。その他国々の規制当局による審査も進行中です。

現在、GSKの高年齢成人向けのRSウイルスワクチンは欧州および米国以外の国や地域では承認されていません。欧州および米国以外での商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 Stimulonアジュバントが含まれています。

高年齢成人におけるRSウイルスについて
RSウイルスは、肺および呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです3。高年齢成人では、加齢に伴う免疫力低下などのため重症化リスクが高く3、基礎疾患のある高年齢成人ではより重症化するリスクが高くなるといわれています5。RSウイルスにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります2。米国では毎年、RSウイルスによる65歳以上の成人の入院が約177,000例、死亡が14,000例と推定されています2,3,4。60歳以上の成人では、入院に至る可能性のある重度のRSウイルス感染のリスクが高いことがデータから示唆されており5,6、基礎疾患のある成人では、基礎疾患のない成人と比較し、受診する可能性が高く入院率も高くなるといわれています5。日本の60歳以上においては約63,000例の入院と4,000例の死亡原因になっていると推定されます11

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 United States Census Bureau. The older population: 2020. Accessed May 2023. Available at: https://www2.census.gov/library/publications/decennial/2020/census-briefs/c2020br-07.pdf
2 Centers for Disease Control and Prevention. RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions. Accessed May 2023. Available at: www.cdc.gov/rsv/high-risk/older-adults.html
3 National Foundation for Infectious Diseases. Respiratory Syncytial Virus. Accessed May 2023. Available at: www.nfid.org/infectious-disease/rsv/
4 Falsey AR, et al. Respiratory syncytial virus infection in elderly and high-risk adults. N Engl J Med 2005; 352:1749-1759.
5 Tseng HF, et al. Severe morbidity and short- and mid- to long-term mortality in older adults hospitalized with respiratory syncytial virus infection. J Infect Dis. 2020;222(8):1298-1310. doi:10.1093/infdis/jiaa361.
6 Belongia EA, et al. Clinical features, severity, and incidence of RSV illness during 12 consecutive seasons in a community cohort of adults ≥60 years old. Open Forum Infect Dis. 2018;5(12):ofy316. doi:10.1093/ofid/ofy316.
7 Papi et al. Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults. N Engl J Med 2023; 388:595-608.
8 CDC presentation. 21 June 2023. Available at: www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2023-06-21-23/07-RSV-Adults-Britton-508.pdf
9 US FDA new release. Issued 3 May 2023. Available at: www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-respiratory-syncytial-virus-rsv-vaccine
10 European Medicines Agency. Recombinant respiratory syncytial virus pre-fusion F protein, adjuvanted with AS01E. Available at: www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/arexvy#authorisation-details-section
11 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses 2022 November 11. Available at: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/irv.13031