GSKのRSウイルスワクチン「アレックスビー筋注用」、RSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高い18~49歳の成人への接種対象者拡大について日本で承認申請
-
RSウイルスによる感染症に罹患するリスクが高いこの年齢層を対象とする第IIIb相臨床試験の良好な結果に基づき承認申請
-
承認されれば、GSKのRSウイルスワクチンがこの年齢層をRSウイルス感染症から守る本邦初のワクチンとなる可能性
グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下 GSK)は、本日、RSウイルスによる感染症の予防を目的とした「アレックスビー筋注用」(以下、アレックスビー)について、厚生労働省にRSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる18~49歳の成人への適応拡大の承認申請をしたことをお知らせします。
アレックスビーは、RSウイルスによる感染症の予防を効能または効果として60歳以上を対象に、本邦初となる製造販売承認を取得し(2023年9月)、また、RSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる50~59歳を対象に製造販売承認を取得しています(2024年11月)。このたびの承認申請は、アレックスビーの接種対象者をさらに拡大するものです。
本申請は、RSウイルスによる感染症に罹患するリスクが高い18~49歳を対象とするアレックスビーの免疫応答と安全性を評価する第IIIb相臨床試験(NCT06389487)1の良好な結果に基づいています。本試験の安全性および副反応は、GSKのワクチン承認を支持した第III相試験プログラムの結果と一致していました。最も多くみられた局所の有害事象は疼痛で、全身の有害事象では疲労、筋肉痛、関節痛、頭痛でした。
承認されれば、アレックスビーが、RSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる18~49歳をRSウイルス感染症から守る本邦初のワクチンとなる可能性があります。米国や欧州を含む他の地域においても、引き続き、アレックスビーの適応拡大を目指します。
RSウイルスは、肺などの呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスで、感染者数は世界で、毎年6,400万人と推定されます2。
RSウイルスワクチン「アレックスビー(Arexvy)」について
アレックスビーは、アジュバント添加遺伝子組換えRSウイルスワクチンで、膜融合前型で安定化した遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。他のワクチンと同様に、ワクチン接種を受けたすべての人に感染防御のための免疫応答が誘導されるわけではありません。
日本では、60歳以上を対象に、RSウイルスによる感染症の予防を効能または効果として、2023年9月25日、本邦初となる承認を取得しました。また、RSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる50歳以上の成人(慢性肺疾患、慢性心血管疾患、慢性腎臓病又は慢性肝疾患、糖尿病、神経疾患又は神経筋疾患、肥満、それ以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた者)を対象に、RSウイルス感染症予防を効能または効果として2024年11月22日に承認を取得しています。
世界では現在、アレックスビー(Arexvy)は、日本、米国、欧州を含む60カ国以上で、60歳以上を対象に、RSウイルスによる下気道疾患の予防(日本:RSウイルスによる感染症の予防)を効能または効果として承認されています。さらに、日本(RSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高い50歳以上)、米国、欧州/欧州経済領域(EEA)加盟国を含む50カ国以上で、RSウイルスによる感染症のリスクが高い50~59歳を対象に、下気道疾患の予防(日本:RSウイルスによる感染症の予防)を効能または効果として承認されています。その他の国々でも規制当局による審査が進行中です。承認地域以外の商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。
GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 STIMULONアジュバントが含まれています。STIMULONはAgenusの子会社であるSaponiQx Inc.の商標です。
第IIIb相試験(NCT06389487)について1
第IIIb相試験(NCT06389487)は、RSウイルスによる感染症に罹患するリスクが高い18~49歳の成人(426例)を対象に、60歳以上の成人(429例)と比較した免疫応答の非劣性と、GSKのRSウイルスワクチンの安全性を評価する第IIIb相非盲検試験です。初回のコホートの安全性追跡調査とは別に、18~49歳の被験者603例からなる追加のコホートで有害事象を追跡調査しました。6カ国の52施設(日本の4施設を含む)で1,458例の被験者を登録しました。
試験の主要評価項目は、RSV-AおよびRSV-Bの中和抗体価の幾何平均比(リスクの高い高齢の成人に対する比率)と、ワクチン投与1カ月後のRSV-AおよびRSV-Bの中和抗体価で評価する血清反応としました。安全性および免疫原性についても、副次的評価項目で評価しました。
成人におけるRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)について
RSウイルスは、肺などの呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスで、感染者数は世界で、毎年6,400万人と推定されます2。基礎疾患、免疫低下状態、または加齢によって成人のRSウイルスによる疾患のリスクが高くなるといわれています3。先進国の60歳以上の成人において、RSウイルスは、毎年47万人以上の入院と約33,000人の院内死亡原因、日本では約63,000人の入院と約4,500人の院内死亡原因と推定されます4。
グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。GSKは、免疫学、遺伝学、先端テクノロジーを駆使し、感染症、免疫・呼吸器疾患、オンコロジーをはじめとする疾患領域の研究開発に注力しています。そして、ワクチン、スペシャリティ医薬品、ジェネラル医薬品を通じて、病気の予防と治療に貢献します。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1 Clinicaltrials.gov, “A Study on the Immune Response and Safety of Vaccine Against Respiratory Syncytial Virus (RSV) Given to Adults 18 to 49 Years of Age at Increased Risk for Respiratory Syncytial Virus Disease, Compared to Older Adults 60 Years of Age and Above” – available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT06389487
2 National Institute of Allergy and Infectious Diseases, Respiratory Syncytial Virus (RSV). Available at: https://www.niaid.nih.gov/diseases-conditions/respiratory-syncytial-virus-rsv – last accessed: June 2025.
3 Falsey, AR et al. Respiratory syncytial virus infection in elderly and high-risk adults, in New Engl J Med 2005; 352:1749-59.
4 Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon J-Y. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: a systematic literature review and meta-analysis, Influenza Other Respir Viruses 2022 2023; 17:e13031.