再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するBlenrep、初回またそれ以降の再発において死亡リスクを42%低下させ、全生存期間の有意な延長効果を示す
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DREAMM-7試験において、Blenrep(ベランタマブ マホドチン)併用療法は、ダラツムマブ併用療法と比較して持続的な全生存期間の延長効果を示す。この効果は追跡期間を通じて持続
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このデータは、DREAMM-7試験およびDREAMM-8試験から得られている所見をさらに発展させるものであり、Blenrep併用療法が標準治療となる可能性を支持
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7つの国と地域において、ベランタマブ マホドチンの併用療法を規制当局へ承認申請中
この資料は、英国GSK plcが2024年12月9日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.com/をご参照ください。
GSK(本社:英国)は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の二次治療以降の治療として、Blenrep(ベランタマブ マホドチン)とボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用療法(BVd療法)をダラツムマブとボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用療法(DVd療法)と比較検討したDREAMM-7試験における中間解析の結果、全生存期間(overall survival、以下OS)に、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長効果が得られたことを発表しました。これらのデータは、第66回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)年次総会および展示会にて口頭発表され注目を浴びました。
DREAMM-71試験およびDREAMM-82試験からはすでに、ベランタマブ マホドチンをベースとする療法はいずれも、対照とした標準治療と比較して無増悪生存期間(progression-free survival、以下PFS)に統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらすというデータが得られていました。今回新たに得られたDREAMM-7試験の中間解析結果から得られた上記のOSの延長効果は、これらのエビデンスをさらに発展させるものです。
GSKのR&Dオンコロジー部門のグローバルヘッドでシニアバイスプレジデントのヘシャム・アブドラ(Hesham Abdullah)は次のように述べています。
「DREAMM-7試験から得られた全生存期間についての有力なデータにより、Blenrepの併用療法は、初回再発やそれ以降の再発の多発性骨髄腫の患者さんの寿命を延ばす可能性のあることが示されました。このことは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療を変えうる重要な進歩といえます。」
今回発表された解析結果では、追跡期間の中央値は39.4カ月で、ダラツムマブをベースとする対照療法(251例)と比較して、ベランタマブ マホドチンの併用療法を受けた患者さん(243例)において、死亡リスクが42%低下し、統計学的に有意な死亡リスクの低下が認められました(ハザード比[hazard ratio、以下HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.43~0.79、p=0.00023)。両群とも全生存期間の中央値(mOS)には未達でしたが、mOSの予測値はDVd療法では51カ月であったのに対し、BVd療法では84カ月でした3。
3年時点でのOS率は、ベランタマブ マホドチン併用療法群では74%、ダラツムマブ併用療法群では60%でした。BVd療法による生存期間の延長効果は治療開始後4カ月で認められ、その後も経時的に持続しました。
スペインのサラマンカ大学医学部教授で同病院血液内科骨髄腫・臨床試験部門責任者、およびDREAMM-7試験の治験責任医師のマリア-ビクトリア・マテオス(María-Victoria Mateos)医学博士は次のように述べています。
「DREAMM-7試験から得られたエビデンスを総合すると、再発したり初期治療に難治性となった多発性骨髄腫の患者さんの治療に、パラダイムシフトが起きる可能性が示されています。DREAMM-7試験において得られたベランタマブ マホドチン併用療法によるOSの結果は、この併用療法が、標準治療であるダラツムマブ併用療法と比較して、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんの寿命を延ばす可能性があることをさらに確固たるものにしています。」
さらに、ベランタマブ マホドチン併用療法は、重要な副次評価項目である微小残存病変(minimal residual disease、以下MRD)陰性率(検出可能ながん細胞がないこと)についても、ダラツムマブ併用療法と比較して、統計学的に有意な優越性を示しました。主解析時にBVd療法を受けた患者さんのMRD陰性率で認められた2.5倍以上の改善は、良好な結果がOSで得られた今、事前に規定された検定手順により統計学的に有意(p<0.00001)であるといえます。このことは、ベランタマブ マホドチンの併用療法が、初回再発やそれ以降に再発した多発性骨髄腫の患者さんの治療に、変化をもたらす可能性があることをさらに明確に示しています。
ベランタマブ マホドチン併用療法は、OSおよびMRD陰性率以外でも、奏効期間(duration of response、以下DOR)や無増悪生存期間2(progression-free survival 2、以下PFS 2)も含めてすべての重要な副次評価項目について、ダラツムマブ併用療法と比較して、臨床的に意義のある改善をもたらしました。これらの結果から、DVd療法と比較して、BVd療法を受けた患者さんの方が深く持続的な奏効がみられることが示されています。
ベランタマブ マホドチン併用療法の安全性および忍容性は、各薬剤の主解析および既知の安全性プロファイルと一致していました。ベランタマブ マホドチン併用療法群およびダラツムマブ併用療法群において、臨床的に注目すべきグレード3以上の有害事象は、血小板減少症(56%と35%;100人年あたり34人と25人)、貧血(9%と10%、曝露量で調整した発現頻度[100人年あたり]は報告されていません)、好中球減少症(14%と10%、100人年あたり8人と7人)でした。
ベランタマブ マホドチン投与の既知のリスクである眼に関連する副作用は、用量調節によって管理および対処することで、治療中止率は約10%という結果でした。
OSおよびその他の重要な副次評価項目の全データを以下に要約します。
重要な副次評価項目 | ||
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評価項目 | ベランタマブ マホドチン +ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BVd) 243例 |
ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DVd) 251例 |
OS(全生存期間)、HR (95% CI) P値1 |
0.58 (0.43-0.79) p=0.00023 |
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OSの中央値(95% CI)(月) | NR (NR-NR) | NR (41.0-NR) |
24カ月時点でのOS率、%(95% CI) | 79% (73-84) | 67% (61-73) |
36カ月時点でのOS率、%(95% CI) | 74% (68-79) | 60% (54-66) |
CR(完全奏効)以上の患者さんでのMRD(微小残存病変)陰性率、%(95% CI) | 25.1% (19.8-31.0) | 10.4% (6.9-14.8) |
ORR(全奏効率)、%(95% CI) | 83.1% (77.8-87.6) | 71.3% (65.3-76.8) |
CR(完全奏効)以上の奏効率、%(95% CI) | 35.8% (29.8-42.2) | 17.5% (13.0-22.8) |
VGPR(最良部分奏効)以上の奏効率、%(95% CI) | 66.3% (59.9-72.2) | 46.2% (39.9-52.6) |
DOR(奏効期間)の中央値(月) (95% CI) |
40.8 (30.5-NR) | 17.8 (13.8-23.6) |
PFS2(無増悪生存期間2)(月) HR |
NR (45.6-NR) 33.4 (26.7-44.9) 0.59 (0.45-0.77) |
1層別ログランク検定による片側p値
2024年の時点で、DREAMM-7試験およびDREAMM-8試験の結果に基づき、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療を適応としたベランタマブ マホドチンの併用療法に関する承認申請は、米国4、EU5、日本6(優先審査)、中国(DREAMM-7試験のみをもとに優先審査、画期的治療薬指定[Breakthrough Therapy Designation]7も認可済み)、英国、カナダおよびスイス(DREAMM-8試験をもとに優先審査)で受理されています。
臨床開発プログラムDREAMMについて
臨床開発プログラムDREAMM(DRiving Excellence in Approaches to Multiple Myeloma)では、ベランタマブ マホドチンを早期治療で用いたとき、そして新規治療および標準治療と併用したときの可能性を引き続き評価していきます。DREAMM-7試験およびDREAMM-8試験に加えて、新たに診断され、移植非適応の多発性骨髄腫を対象とする第III相試験DREAMM-10を2024年末までに開始する予定です。
DREAMM-7試験について
DREAMM-7試験は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴を有し、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベランタマブ マホドチンとBorDexとの併用療法と、ダラツムマブとBorDexとの併用療法とで有効性および安全性を比較する第III相多施設共同無作為化非盲検試験です。本試験では、合計494例の患者さんを、ベランタマブ マホドチンとBorDexの併用療法、またはダラツムマブとBorDexの併用療法に1:1の比率で無作為に割り付けました。ベランタマブ マホドチンについては2.5mg/kgの用量で3週間ごとに静脈内に投与しました。
主要評価項目は、独立効果判定委員会の評価によるPFSとし、主な副次評価項目は、OS、奏効期間(duration of response:DOR)、微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の陰性達成率(次世代シークエンシングにより評価)としました。その他の副次的評価項目は、全奏効率(overall response rate:ORR)、安全性、患者さんの報告による生活の質のアウトカムとしました。
DREAMM-7試験の結果は、2024年2月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズで初めて発表され1、2024年ASCO年次総会でアンコール発表として共有されたうえで、New England Journal of Medicine誌に掲載されました。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は世界で3番目に多い血液のがんで、一般的に、治療可能であるものの治癒困難な疾患と考えられています8,9。世界で毎年約18万人以上の患者さんが新たに多発性骨髄腫と診断されています10。多発性骨髄腫は、既存の治療に対し治療抵抗性となってしまうことが多いため、新しい治療法の開発が求められています11。米国において多発性骨髄腫の患者さんの約65%が地域のがん治療施設で治療を受けており、学術センター外でも投与可能で、副作用が管理しやすい、新しい効果的な治療法が早急に求められています12,13,14。
Blenrepについて
Blenrepは、非切断型のリンカーを介して、ヒト化抗BCMAモノクローナル抗体に細胞傷害性薬剤であるアウリスタチンFを結合させた抗体薬物複合体です。薬剤リンカー技術はSeagen社からライセンス供与されています。また、モノクローナル抗体は、協和キリングループのBioWa社からライセンス供与を受けたPOTELLIGENT技術を用いて製造しています。
オンコロジー領域におけるGSKの取り組み
GSKは新たな治療領域としてオンコロジー領域に注力しており、がん免疫療法および腫瘍細胞標的療法の画期的な治療法の開発を通じて、血液悪性腫瘍、婦人科がん、その他固形腫瘍領域を中心に、患者さんの予後改善に向けて取り組んでいます。
グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。
1 GSK press release issued 28 February 2024. 再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象とした第III相DREAMM-7試験において、GSKのBlenrepの併用療法が標準治療の併用療法と比較して、無増悪生存期間の中央値を3倍近く延長.Available at: https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240228-dreamm-7-phase-iii-trial-shows-pfs-improvement-and-strong-os-trend-for-blenrep-combo-versus-soc-combo-in-multiple-myeloma/.
2 GSK press release issued 12 June 2024. 再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象としたGSKのBlenrepの併用療法と標準治療との比較試験であるDREAMM-8において、Blenrepの併用療法での病勢進行または死亡のリスクが約50%低下. Available at: https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240612-blenrep-combination-reduced-the-risk-of-disease-progression/
3 Post hoc analysis using simulation to predict median OS values in each arm utilising the observed data at the interim analysis with 9.4-month median follow up to extrapolate time to death of ongoing censored patients. Predicted median OS values subject to change as data matures.
4 GSK press release issued 05 December 2024. B再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するBlenrep併用療法の承認申請を米国食品医薬品局が受理. Available at: https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20241205-blenrep-combinations-accepted-for-review-by-the-us-fda-for-the-treatment-of-relapsedrefractory-multiple-myeloma/.
5 GSK press release issued 2 August 2024. 多発性骨髄腫に対するBlenrep併用療法の承認申請について欧州医薬品庁が受理 Available at: https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240802-blenrep-belantamab-mafodotin-combinations-in-multiple-myeloma-application-accepted-for-review-by-the-european-medicines-agency/.
6 GSK press release issued 17 September 2024. GSK、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてベランタマブ マホドチンを日本で承認申請 Available at: https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240917-blenrep-belantamab-mafodotin/.
7 GSK press release issued 13 September 2024. Blenrep (belantamab mafodotin) in combination receives Breakthrough Therapy Designation in China for treatment of relapsed/refractory multiple myeloma. Available at: https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/blenrep-belantamab-mafodotin-in-combination-receives-breakthrough-therapy-designation-in-china-for-treatment-of-relapsedrefractory-multiple-myeloma/.
8 Sung H, Ferlay J, Siegel R, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
9 Kazandjian D. Multiple myeloma epidemiology and survival: A unique malignancy. Semin Oncol. 2016;43(6):676–681.doi:10.1053/j.seminoncol.2016.11.004.
10 Global Cancer Observatory. International Agency for Research on Cancer. World Health Organization. Multiple Myeloma fact sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/35-multiple-myeloma-fact-sheet.pdf. Accessed 5 July 2024.
11 Nooka AK, Kastritis E, Dimopoulos MA. Treatment options for relapsed and refractory multiple myeloma. Blood. 2015;125(20).
12 Information licensed from IQVIA: APLD and DDD for the period of 2017-Jan. 2024, reflecting estimates of real-world activity. All rights reserved.
13 Gajra A, Zalenski A, Sannareddy A, et al. Barriers to Chimeric Antigen Receptor T-Cell (CAR-T) Therapies in Clinical Practice. Pharmaceut Med. 2022 Jun;36(3):163-171.
14 Crombie J, Graff T, Falchi L, et al. Consensus recommendations on the management of toxicity associated with CD3×CD20 bispecific antibody therapy. Blood (2024) 143 (16): 1565–1575.