GSK、RSウイルスワクチン「アレックスビー」の新たなデータを発表 ~RSウイルス感染症のリスクの高い、より広範な成人においても予防に役立つ可能性を示唆~

  • RSウイルス感染による下気道疾患のリスクの高い18~49歳の成人において、単回接種で免疫応答が得られ、安全性プロファイルも許容範囲

  • 18歳以上の免疫機能が低下した成人にワクチンを2回接種したときに、50歳以上の健康な成人に1回接種した場合と同様の免疫応答が得られ、安全性プロファイルも許容範囲

  • RSウイルス感染症のリスク因子を少なくとも1つ有する米国での人口は、18~49歳で2,100万人以上1

 


この資料は、英国GSK plcが2024年10月24日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、特定の基礎疾患によりRSウイルス感染による下気道疾患のリスクが高い18~49歳の成人と免疫機能が低下した成人を対象とした「Arexvy(遺伝子組換えアジュバント添加RSウイルスワクチン)(以下、アレックスビー)」の新たな予備的データを発表しました。これらのデータは、RSウイルス感染症の転帰が重篤になるリスクを抱える成人集団の範囲を広げても、本ワクチンが予防に役立つ可能性を示すものです。RSウイルス感染症のリスク因子を少なくとも1つ有する18~49歳の人口は、米国だけでも2,100万人を超える可能性があります1

アレックスビーは、50カ国以上で60歳以上を対象にRSウイルスによる下気道疾患の予防を適応として、そして、米国や欧州(*)を含む数カ国ではリスクが高い50~59歳を対象に承認されているRSウイルスワクチンです。60歳未満の成人においても疾病負担が生じるにもかかわらず、現在、RSウイルス感染症のリスクが高い60歳未満の成人に推奨されているRSウイルスワクチンはありません。

GSKチーフ・サイエンティフィック・オフィサーのトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「今回得られたデータは、GSKのRSウイルスワクチンのエビデンスを補強する有望なデータであり、RSウイルス感染症のリスクを有するより多くの成人で予防に役立つ可能性を示唆しています。また、特定の集団に2回目の接種をしたときに生じ得る影響を考えるにあたり貴重な知見も得られました。保健当局や規制当局と協力しながら、RSウイルス感染症のリスクが高い方々がワクチン接種の有用性を得られるよう支援していきます。」

第IIIb相試験(NCT06389487)2では、ワクチンの単回投与により、特定の基礎疾患によってRSウイルス感染による下気道疾患のリスクが上昇した18~49歳の成人(395例)で免疫応答が得られました。60歳以上の成人(417例)で認められた免疫応答に対して非劣性の免疫応答が得られ、本試験の主要評価項目を満たしました。

第IIb相試験(NCT05921903)3では、このワクチンの単回投与により、腎移植または肺移植により免疫低下状態にある18歳以上の成人(131例)で免疫応答がみられ、2回目の接種(130例)では、1回接種を受けた50歳以上の健康な成人(125例)と同様の応答が認められました。いずれの群(1回接種群、2回接種群)でも、RSV-AサブタイプとRSV-Bサブタイプに対し一貫して免疫応答がみられました。これらのデータは、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会の会議で発表されます。

両試験の安全性および反応原性のデータは、GSKのワクチン承認を支持した第III相試験プログラムの結果と一致していました。最も多くみられた局所の有害事象は疼痛で、全身の有害事象では疲労、筋肉痛、関節痛、頭痛でした。これらのほとんどは一過性であり、重症度は軽度でした。

RSウイルスは、重度の呼吸器疾患の原因となる一般的な感染性ウイルスであり、感染者数は世界中で、年齢を問わず毎年6,400万人と推定されています4。免疫低下状態にある人や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、心不全、糖尿病などの特定の基礎疾患を有する人は、こうした疾患を有しない人と比較してRSウイルス感染症が重度の転帰をとるリスクが高く5,6、死亡リスクも高くなっています7

本試験の最終結果は、今後の医学会で発表した後、ピアレビュー論文として投稿する予定です。最終データは、添付文書の更新を裏付けるものとして、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局にも提出します。

(*)欧州委員会は、欧州連合加盟国および欧州経済領域(EEA)加盟国のアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの医薬品を承認する権限を有しています。

治験デザインについて
NCT06389487
は、RSウイルス感染症のリスクが高くなっている18~49歳の成人(395例)を対象に、60歳以上の成人(417例)と比較した免疫応答の非劣性と、GSKのRSウイルスワクチンの安全性を評価する第IIIb相非盲検試験です。6カ国の52施設で1,457例の被験者を登録しました。

試験の主要評価項目は、RSV-AおよびRSV-Bの中和抗体価の幾何平均比(リスクの高い高齢の成人に対する比率)と、ワクチン投与1カ月後のRSV-AおよびRSV-Bの中和抗体価で評価する血清反応としました。安全性および免疫原性についても、副次的評価項目で評価しました。初回のコホートの安全性追跡調査とは別に、18~49歳の被験者601例からなる追加のコホートで有害事象を追跡調査しました。本試験は、ワクチン接種後6カ月までにさらなる安全性および免疫原性データを収集するために進行中で、2025年に終了する予定です。

NCT05921903は、肺移植および腎移植により免疫低下状態にある成人(18歳以上)を対象に、GSKのRSウイルスワクチンを単回接種した50歳以上の免疫抑制状態ではない成人からなる対照群(125例)と比較してGSKのRSウイルスワクチンの免疫応答と安全性を評価する第IIb相、ランダム化、対照、非盲検、国際共同試験であり、2回目のワクチン接種から1カ月(30~42日)後に1回目接種と2回目接種(1回目接種は131例、2回目接種は130例)を比較検討しました。8カ国の48施設で386例を登録しました。

本試験の主要評価項目として、GSKのRSウイルスワクチンの1回目接種および2回目接種後のRSV-AおよびRSV-Bの中和抗体価を評価し、2回目接種から約1カ月後の時点の1回目接種に対する幾何平均の上昇として示しました。安全性および免疫原性についても、副次的評価項目で評価しました。本試験は、最終投与から12カ月後までにさらなる安全性および免疫原性データを収集するために進行中で、2025年に終了する予定です。

GSKのRSウイルスワクチンについて
アレックスビーは、アジュバント添加RSウイルスワクチンであり、膜融合前型で安定化した遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。

本ワクチンは公式の推奨事項に従って使用されます。他のワクチンと同様に、すべてのワクチン接種者で防御免疫応答が誘導されるわけではありません。

アレックスビーは、日本、ヨーロッパ、米国を含む50カ国以上で、60歳以上を対象にRSウイルス感染による下気道疾患の予防を効能または効果として承認されています。また、米国および欧州連合加盟国/欧州経済領域の国々では、特定の基礎疾患によりリスクが高い50~59歳を対象に承認されており、日本を含む他の国々でも規制当局による審査が進行中です。承認地域以外の商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 STIMULONアジュバントが含まれています。STIMULONはAgenus社の子会社であるSaponiQx社の商標です。

GSK(グラクソ・スミスクライン)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Based on a study focusing on US adults aged 20-49.Among adults aged 20-49 years in the US, a total of 17.0% (N=21 million/125 million) had at least one diagnosed risk factor for severe RSV disease (including CHF, CHD, stroke, angina, MI, COPD, current asthma, diabetes, current liver disease, and/or renal disease) - in E.Horn et al, “Characteristics Associated with the Presence of One or More Risk Factors for Severe Respiratory Syncytial Virus Disease among Adults in the United States”, poster presented at ID Week poster [available on demand: P691 - https://idweek2024.eventscribe.net/index.asp]
2 Clinicaltrials.gov, “A Study on the Immune Response and Safety of Vaccine Against Respiratory Syncytial Virus (RSV) Given to Adults 18 to 49 Years of Age at Increased Risk for Respiratory Syncytial Virus Disease, Compared to Older Adults 60 Years of Age and Above” - available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT06389487
3 Clinicaltrials.gov, “A Study on the Immune Response and Safety of an RSV Vaccine When Given to Adults 18 Years of Age and Above Who Received Lung or Kidney Transplant and Are at an Increased Risk of Respiratory Syncytial Virus Lower Respiratory Tract Disease and Compared to Healthy Adults 50 Years of Age and Above (RSV OA=ADJ-023)” - available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05921903
4 National Institute of Allergy and Infectious Diseases, Respiratory Syncytial Virus (RSV). Available at: https://www.niaid.nih.gov/diseases-conditions/respiratory-syncytial-virus-rsv - last accessed: September 2024.
5 Branche AR et al., Incidence of Respiratory Syncytial Virus Infection Among Hospitalized Adults, 2017-2020 in Clinical Infectious Diseases, 2022:74:1004-1011
6 CDC, Clinical overview of RSV.Available at: https://www.cdc.gov/rsv/hcp/clinical-overview/index.html .Last accessed: October 2024.
7 A.Njue et al., “Systematic Literature Review of Risk Factors for Poor Outcomes Among Adults With Respiratory Syncytial Virus Infection in High-Income Countries” in Open Forum Infectious Diseases, Volume 10, Issue 11, November 2023, ofad513, https://doi.org/10.1093/ofid/ofad513