GSK、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてベランタマブ マホドチンを日本で承認申請

  • 第III相国際共同試験DREAMM-7およびDREAMM-8の結果に基づき承認申請

  • 承認された場合、ベランタマブ マホドチンとBorDexまたはPomDexとの併用療法が、再発又は難治性の多発性骨髄腫の新たな治療選択肢となる可能性

  • 日本では毎年約7,200人以上が新たに多発性骨髄腫と診断されている1

 


この資料は、英国GSK plcが2024年9月17日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として開発中のベランタマブ マホドチンについて、厚生労働省に製造販売承認申請したことをお知らせします。本申請は、ベランタマブ マホドチンとボルテゾミブおよびデキサメタゾン(bortezomib plus dexamethasone、以下BorDex)またはポマリドミドおよびデキサメタゾン(pomalidomide plus dexamethasone、以下PomDex)との併用療法における申請です。ベランタマブ マホドチンは、高い医療上の必要性から、厚生労働省により希少疾病用医薬品に指定されており、再発又は難治性の多発性骨髄腫の承認審査における優先審査の対象品目です。

これは、今年7月の欧州医薬品庁(EMA)2と今年9月の英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)による本剤併用療法の販売承認申請の受理に続く、3つ目の主要な承認申請です。

GSKのR&Dオンコロジー部門のグローバルヘッドでシニアバイスプレジデントのヘシャム・アブドラ(Hesham Abdullah)は次のように述べています。
「DREAMM-7およびDREAMM-8の試験結果から、このベランタマブ マホドチンの併用療法が再発又は難治性の多発性骨髄腫治療の転帰を変える可能性を示唆しています。世界各国の当局と協力し、ベランタマブ マホドチンを用いた新たな治療選択肢をできるだけ早く患者さんにお届けできるよう取り組んでまいります。」

日本では、多発性骨髄腫と診断される患者さんの数が過去約50年間にわたり増加傾向にあり3,4、本疾患に対する医療上の懸念はますます高まっています。このため、日本の患者さん、特に現行の標準治療に対して治療抵抗性となった患者さんに対する治療選択肢を増やすことが急務です。

本申請は、第III相試験DREAMM-7およびDREAMM-8の中間結果に基づくものです。両試験とも主要評価項目を満たしており、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんに対してベランタマブ マホドチンの併用療法は、標準治療の併用療法と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の延長を示しました。中間解析時点では統計学的に有意ではありませんでしたが、両試験とも全生存期間(OS)に延長傾向が認められました。OSについては、追跡調査を継続していきます。 DREAMM-7試験ではベランタマブ マホドチンとBorDexの併用とダラツムマブとBorDexの併用とを比較検討し、DREAMM-8試験ではベランタマブ マホドチンとPomDexの併用とボルテゾミブとPomDexの併用とを比較検討しています。

また、その他すべての有効性の副次評価項目においても臨床的に意義のある改善が認められており、対応する標準治療の併用療法と比較して、持続的な深い奏効が示されました。DREAMM-7およびDREAMM-8試験でみられたベランタマブ マホドチンの併用療法の安全性および忍容性のプロファイルは、個々の薬剤で既知のプロファイルとおおむね一致していました。

多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は世界で3番目に多い血液のがんで、一般に治療可能であるものの治癒困難な疾患と考えられています1,5。この疾患では、世界で約180,000人以上6、日本で約7,200人以上1が毎年新たに多発性骨髄腫と診断されているといわれています。多発性骨髄腫は、既存の治療に対して治療抵抗性となることが多いため、新しい治療法の開発が求められています7

DREAMM-7試験について
DREAMM-7試験は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴を有し、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベランタマブ マホドチンとBorDexとの併用療法と、ダラツムマブとBorDexとの併用療法とで有効性および安全性を比較する第III相多施設共同無作為化非盲検試験です。

本試験では、日本人患者さんを含む合計494例の患者さんを、ベランタマブ マホドチンとBorDexの併用療法、またはダラツムマブとBorDexの併用療法に1:1の比率で無作為に割り付けました。ベランタマブ マホドチンは2.5mg/kgの用量を3週間ごとに静脈内に投与しました。

主要評価項目は、独立効果判定委員会の評価によるPFSとし、重要な副次評価項目は、OS、奏効期間(duration of response:DOR)、次世代シークエンシングにより評価した微少残存病変(minimal residual disease:MRD)陰性率としました。その他の副次評価項目は、全奏効率(overall response rate:ORR)、安全性、患者さんの報告による生活の質のアウトカムとしました。

DREAMM-7試験の結果は、2024年2月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズで初めて発表され8、2024年ASCO年次総会でアンコール発表として共有されました。また、この結果はNew England Journal of Medicine誌に掲載されました。

DREAMM-7試験では、日本人患者さんにおいて更に評価するため、拡大コホートを設定しています。日本人患者さんの結果は、今後学会で発表される予定です。

DREAMM-8試験について
DREAMM-8試験は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴(レナリドミドを含む治療を含む)を有し、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベランタマブ マホドチンとPomDexとの併用療法と、ボルテゾミブとPomDexとの併用療法とで有効性および安全性を比較する第III相多施設共同無作為化非盲検試験です。DREAMM-7試験の対象とした患者さんの集団と比較して、DREAMM-8試験の患者さんは前治療の割合が高く、全例にレナリドミドの投与歴があり、75%がレナリドミドに抵抗性を示していました。また25%にダラツムマブの投与歴があり、その大半がダラツムマブに抵抗性を示していました。

本試験では、日本人患者さんを含む合計302例の患者さんを、ベランタマブ マホドチンとPomDexの併用療法、またはボルテゾミブとPomDexの併用療法に1:1の比率で無作為に割り付けました。

主要評価項目は、独立効果判定委員会の評価によるPFSとし、重要な副次評価項目は、OS、次世代シークエンシングにより評価したMRD陰性率としました。その他の副次評価項目は、ORR、DOR、安全性、患者さんの報告による生活の質のアウトカムとしました。

DREAMM-8試験の結果は、2024年ASCO年次総会で初めて発表され9、New England Journal of Medicine誌に掲載されました。

DREAMM-8試験では、日本人患者さんにおいて更に評価するため、拡大コホートを設定しています。日本人患者さんの結果は、今後学会で発表される予定です。

ベランタマブ マホドチンについて
ベランタマブ マホドチン(Blenrep)は、非切断型のリンカーを介して、ヒト化抗BCMAモノクローナル抗体に細胞傷害性薬剤であるアウリスタチンFを結合させた抗体薬物複合体です。薬剤リンカー技術はSeagen社からライセンス供与されています。また、モノクローナル抗体は、協和キリングループのBioWa社からライセンス供与を受けたPOTELLIGENT技術を用いて製造しています。ベランタマブ マホドチン(Blenrep)は、香港、イスラエル、シンガポールにおいて単剤療法として承認されています。副作用の一覧および重要な安全性情報の詳細については、各国の製品特性概要や添付文書をご参照ください。

オンコロジー領域におけるGSKの取り組み
GSKは新たな治療領域としてオンコロジー領域に注力しており、がん免疫療法および腫瘍細胞標的療法の画期的な治療法の開発を通じて、血液悪性腫瘍、婦人科がん、その他固形腫瘍領域を中心に、患者さんの予後改善に向けて取り組んでいます。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 National Cancer Registry (Ministry of Health, Labour and Welfare), tabulated by Cancer Information Service, National Cancer Center, Japan. Available here: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/en.html. 2024年9月12日アクセス
2 GSK press release issued 2 August 2024.多発性骨髄腫に対するBlenrep併用療法の承認申請について欧州医薬品庁が受理. https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240802-blenrep-belantamab-mafodotin-combinations-in-multiple-myeloma-application-accepted-for-review-by-the-european-medicines-agency/
3 Ozaki S, Handa H, Saitoh T, et al. Trends of survival in patients with multiple myeloma in Japan: a multicenter retrospective collaborative study of the Japanese Society of Myeloma. Blood Cancer J. 2015 Sep 18;5(9):e349.
4 Handa H, Ishida T, Ozaki S et al. Treatment pattern and clinical outcomes in multiple myeloma patients in Japan using the Medical Data Vision claims database. PLoS One. 2023 Apr 6;18(4):e0283931.
5 Sung H, Ferlay J, Siegel R, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
6 Global Cancer Observatory. International Agency for Research on Cancer. World Health Organization. Multiple Myeloma fact sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/35-multiple-myeloma-fact-sheet.pdf. 2024年7月5日アクセス
7 Nooka AK, Kastritis E, Dimopoulos MA. Treatment options for relapsed and refractory multiple myeloma. Blood. 2015;125(20).
8 GSK press release issued 28 February 2024. 再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象とした第III相DREAMM-7試験において、GSKのBlenrepの併用療法が標準治療の併用療法と比較して、無増悪生存期間の中央値を3倍近く延長. https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240228-dreamm-7-phase-iii-trial-shows-pfs-improvement-and-strong-os-trend-for-blenrep-combo-versus-soc-combo-in-multiple-myeloma/
9 GSK press release issued 12 June 2024. 再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象としたGSKのBlenrepの併用療法と標準治療との比較試験であるDREAMM-8において、Blenrepの併用療法での病勢進行または死亡のリスクが約50%低下 https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240612-blenrep-combination-reduced-the-risk-of-disease-progression/