再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象としたGSKのBlenrepの併用療法と標準治療との比較試験であるDREAMM-8において、Blenrepの併用療法での病勢進行または死亡のリスクが約50%低下

この資料は、英国GSK plcが2024年6月2日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2024年6月2日 英国ロンドン発>

再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象としたGSKのBlenrepの併用療法と標準治療との比較試験であるDREAMM-8において、Blenrepの併用療法での病勢進行または死亡のリスクが約50%低下

  • 第III相試験DREAMM-8の主要評価項目である無増悪生存期間では統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した

  • 無増悪生存期間の中央値は追跡期間中央値21.8ヵ月の時点でBlenrepの併用療法で未達であったのに対し、ボルテゾミブ併用療法群では12.7ヵ月

  • DREAMM-8は、二次治療以降の再発または難治性の多発性骨髄腫の患者さんを対象として、標準治療に対し、Blenrep併用療法の明確な有効性を示した2つ目の試験

  • 本結果はNew England Journal of Medicine誌にも同時掲載

GSK(本社:英国)は、再発または難治性の多発性骨髄腫に対する二次治療以降の治療として、Blenrep(ベランタマブ マホドチン)とポマリドミドおよびデキサメタゾン(Pomalidomide plus Dexamethasone、以下PomDex)との併用療法と、標準治療であるボルテゾミブとPomDexとの併用療法を評価する第III相直接比較試験、DREAMM-8の中間解析で、良好な結果が得られたことを発表しました。米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2024年次総会(5月31日~6月4日、シカゴ)で発表された本試験の最新データは、ASCOの公式プレスプログラムで特集され、New England Journal of Medicine誌にも同時掲載されました。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)について、ボルテゾミブの併用療法(147例)と比べて、ベランタマブ マホドチンの併用療法(155例)で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました(ハザード比[hazard ratio、以下HR]:0.52[95%信頼区間(CI):0.37~0.73]、p<0.001)。追跡期間の中央値21.8ヵ月の時点でPFSの中央値は、ベランタマブ マホドチンの併用療法でまだ到達しておらず(95% CI:20.6~未達[not yet reached、以下NR])、ボルテゾミブの併用療法では12.7ヵ月(95% CI:9.1~18.5)でした。1年後の時点で病勢進行が認められず生存していた患者さんの割合は、ベランタマブ マホドチンの併用療法群で71%(95% CI:63~78)であったのに対し、ボルテゾミブの併用療法群では51%(95% CI:42~60)でした。さらに、予後不良のサブグループ(レナリドミドに対する抵抗性を示す患者さんや細胞遺伝学的高リスクの患者さんなど)を含め事前に規定したすべてのサブグループで、ベランタマブ マホドチンとPomDexの併用療法のベネフィットが認められました。

GSKのR&Dオンコロジー部門のグローバルヘッドでSVPのヘシャム・アブドラ(Hesham Abdullah)は次のように述べています。
「直接比較第III相試験であるDREAMM-8での良好な結果によって、私たちは、2つの第III相試験から、Blenrepの併用療法が、初回再発やそれ以降の再発の多発性骨髄腫の治療のあり方を変える可能性を示唆する一貫したデータを得ることができました。再発や初回治療に奏効しなくなった患者さんにおいて、新しい有効な併用療法について高いアンメットメディカルニーズがあることを考慮すると、このたびの結果は喜ばしいことです。引き続きデータを共有しながら、規制当局と今後について協議していきます。」

なお、今回の中間解析では、全生存期間(OS)の改善傾向が認められるものの、統計学的有意差を示す基準には未だ達していませんでした(HR:0.77[95% CI:0.53~1.14])。OSの追跡調査を継続し、さらなる解析を実施していく予定です。1年後の時点で生存していた患者さんの割合は、ベランタマブ マホドチンの併用療法群で83%(95% CI:76~88)であったのに対し、ボルテゾミブの併用療法群では76%(95% CI:68~82)でした。ベランタマブ マホドチンの併用療法の、安全性および忍容性のプロファイルは、各薬剤の既知の安全性プロファイルとおおむね一致するものでした。

ユニバーシティ・ヘルス・ネットワーク(カナダ・トロント)のプリンセス・マーガレットがんセンターの腫瘍・血液内科(Department of Medical Oncology and Hematology)のスザンヌ・トルデル(Suzanne Trudel)医師は次のように述べています。
「DREAMM-8試験で認められた無増悪生存期間の顕著な延長は、ベランタマブ マホドチンをポマリドミドおよびデキサメタゾンと併用することで、再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんの転帰を改善する可能性を示唆しています。今回検討した併用療法が、初回再発やそれ以降の再発の多発性骨髄腫の治療のあり方を変え、患者さんはこの新たな治療による恩恵を受けることができるでしょう。」

直接比較第III相試験DREAMM-7の結果と同様に、DREAMM-8試験でも、有効性の副次評価項目すべてでベランタマブ マホドチンの併用療法による臨床的に意義のある改善が一貫して認められ、ベランタマブ マホドチンの併用療法により、ボルテゾミブの併用療法と比較して持続的な奏効が得られることが示されました。改善がみられた主な項目は、完全奏効(CR)以上の奏効率(2倍超の改善)、微小残存病変(MRD)陰性率(5倍近い改善)、奏効期間(中央値がベランタマブ マホドチン併用療法で未達、ボルテゾミブ併用療法では17.5ヵ月)でした。

主な副次的評価項目およびその他の副次的評価項目の概要は以下のとおりです。

主な副次的評価項目およびその他の副次的評価項目
評価項目 ベランタマブ マホドチン+ポマリドミド+デキサメタゾン
(belantamab mafodotin + pomalidomide and dexamethasone:BPd)
(155例)
ポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン
(pomalidomide + bortezomib and dexamethasone:PVd)
(147例)
ORR(全奏効率、%[95% CI]) 77%(70.0~83.7) 72%(64.1~79.2)
 sCR(厳格な完全奏効、%) 9% 3%
 CR(完全奏効、%) 31% 14%
 VGPR(最良部分奏効、%) 24% 22%
 PR(部分奏効、%) 14% 34%
CR以上の奏効割合
(sCR + CR、%[95% CI])
40%(32.2~48.2) 16%(10.7~23.3)
VGPR以上の割合
(sCR + CR + GPR、%[95% CI])
64%(55.8~71.4) 38%(30.2~46.5)
MRD陰性率*
(%[95% CI])
23.9%(17.4~31.4) 4.8%(1.9~9.6)
奏効期間(ヵ月)の中央値
(95% CI)
NR(24.9~NR) 17.5ヵ月(12.1~26.4)
全生存期間**
HR(95% CI) 0.77(0.53~1.14)

*:sCRまたはCRの被験者で測定
**OSの追跡調査は進行中
NR:未達

臨床的に注目すべきグレード3以上の有害事象(眼に関する有害事象以外)として、ベランタマブ マホドチン併用療法群とボルテゾミブ併用療法群で好中球減少症(それぞれの発現割合57%と39%、両群とも100人年あたりそれぞれ42)、血小板減少症(38%と29%、100人年あたりそれぞれ28と31)、肺炎(17%と8%、100人年あたりそれぞれ13と8)がみられました。

ベランタマブ マホドチン投与の既知のリスクである眼に関連する副作用について、治験薬投与の中止に至った割合は9%でありおおむね可逆的で、用量変更により管理可能でした。ベランタマブ マホドチン併用療法を受けた患者さんにおける、グレード3以上の眼に関連する有害事象の発現割合は43%(グレード3:42%、グレード4:1%)であり、霧視(グレード3:17%、グレード4:0)、眼乾燥(グレード3:8%、グレード4:0)、眼の異物感(グレード3:6%、グレード4:0)が主にみられました。ベースラインで少なくとも片眼で最良矯正視力(BCVA)スコアが20/25以上であった患者さんのうち51例(34%)において、両眼のスコアが20/50以下に悪化しました。ただし、今回の解析の時点で、このような事象が当初みられた患者さんのうち92%で改善が認められており、また85%が回復しました。なお、回復までの期間の中央値は57日(範囲:14~451日)でした。

全般的な健康状態に関する生活の質(QOL)をEORTC-QLQ-C30で測定したところ、いずれの投与群でも時間的な推移が安定しており、健康に関するQOL全般が治療によって低下することはありませんでした。

ベランタマブ マホドチンの臨床開発プログラム(DRiving Excellence in Approaches to Multiple Myeloma:DREAMM)では、ベランタマブ マホドチンを多発性骨髄腫の初期治療に用いた際の評価や、同剤を新規治療や標準治療と併用した際の評価を引き続き行っていきます。DREAMM-8試験は、二次治療以降の多発性骨髄腫患者さんを対象としたベランタマブ マホドチンの併用療法について良好な結果を示した2つ目の第III相直接比較試験です。同様の治療条件で、ベランタマブ マホドチンとボルテゾミブおよびデキサメタゾン(Bortezomib and Dexamethasone:BorDex)の併用療法を、ダラツムマブとBorDexとの併用療法と直接比較した第III相試験であるDREAMM-7試験から得られた良好な結果は、2024年2月6日の米国臨床腫瘍学会(ASCO)のプレナリーシリーズで発表されたうえ1、2024年ASCO年次総会でアンコール発表として共有され、またNew England Journal of Medicine誌に掲載されました。

DREAMM-8試験について
DREAMM-8試験(DRiving Excellence in Approaches to Multiple Myeloma:DREAMM)は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴(レナリドミドを含む治療を含む)を有し、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベランタマブ マホドチンとPomDexとの併用療法と、ボルテゾミブとPomDexの併用療法とで有効性および安全性を比較する第III相多施設共同非盲検無作為化試験です。DREAMM-7試験の対象とした患者さんの集団と比較して、DREAMM-8試験の患者さんは前治療でレナリドミドやダラツムマブで投与された割合が高く、全例にレナリドミドの投与歴があり、75%がレナリドミドに抵抗性を示していました。また25%にダラツムマブの投与歴があり、その大半がダラツムマブに抵抗性を示していました。

本試験では、合計302例の患者さんを、ベランタマブ マホドチンとPomDexの併用療法、またはボルテゾミブとPomDexの併用療法に1:1の比率で無作為に割り付けました。

主要評価項目は、独立効果判定委員会の評価によるPFSとし、重要な副次的評価項目は、OS、次世代シークエンシングにより評価した微小残存病変陰性率、奏効期間としました。その他にORR、患者さんの報告による生活の質のアウトカム、有害事象、眼科検査所見、臨床検査所見を副次的評価項目としました。

多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は世界で3番目に多い血液のがんで、一般的に治療可能であるものの治癒困難な疾患と考えられています2,3。世界で毎年約176,000人の患者さんが新たに多発性骨髄腫と診断されています4。多発性骨髄腫は、既存の治療に対し治療抵抗性となってしまうことが多いため、新しい治療法の開発が求められています5

Blenrepについて
Blenrepは、非切断型のリンカーを介して、ヒト化抗BCMAモノクローナル抗体に細胞傷害性薬剤であるアウリスタチンFを結合させた抗体薬物複合体です。薬剤リンカー技術はSeagen社からライセンス供与されています。また、モノクローナル抗体は、協和キリングループのBioWa社からライセンス供与を受けたPOTELLIGENT技術を用いて製造しています。

オンコロジー領域におけるGSKの取り組み
GSKは新たな治療領域としてオンコロジー領域に注力しており、がん免疫療法および腫瘍細胞標的療法の画期的な治療法の開発を通じて、血液悪性腫瘍、婦人科がん、その他固形腫瘍領域を中心に、患者さんの予後改善に向けて取り組んでいます。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1. GSK press release issued 28 February 2024. 再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象とした第III相DREAMM-7試験において、GSKのBlenrepの併用療法が標準治療の併用療法と比較して、無増悪生存期間の中央値を3倍近く延長 https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240228-dreamm-7-phase-iii-trial-shows-pfs-improvement-and-strong-os-trend-for-blenrep-combo-versus-soc-combo-in-multiple-myeloma/
2. Sung H, Ferlay J, Siegel R, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries.CA Cancer J Clin.2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
3. Kazandjian D. Multiple myeloma epidemiology and survival: A unique malignancy.Semin Oncol.2016;43(6):676-681.doi:10.1053/j.seminoncol.2016.11.004.
4. Multiple Myeloma: Statistics.Cancer.net.Published February 2022. https://www.cancer.net/cancer-types/multiple-myeloma/statistics#:~:text=This%20year%2C%20an%20estimated%2034%2C470,with%20multiple%20myeloma%20in%202020. Accessed 19 October 2023.
5. Nooka AK, Kastritis E, Dimopoulos MA.Treatment options for relapsed and refractory multiple myeloma.Blood.2015;125(20).