GSKのRSウイルスワクチン「アレックスビー」、RSウイルスによる感染症のリスクが高い50~59歳への接種対象者拡大について米国FDAより承認を取得

この資料は、英国GSK plcが2024年6月7日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2024年6月7日 英国ロンドン発>

GSKのRSウイルスワクチン「アレックスビー」、RSウイルスによる感染症のリスクが高い50~59歳への接種対象者拡大について米国FDAより承認を取得

  • RSウイルスによって重症化リスクが高まる基礎疾患を有する米国での人口は50~59歳で1,300万人以上1

  • アレックスビーの臨床開発プログラムでは18歳以上を対象に免疫応答と安全性を評価する試験も継続しており、結果が得られるのは2024年下半期を予定

GSK(本社:英国)は、RSウイルスワクチン「Arexvy(アジュバント添加RSウイルスワクチン)(以下アレックスビー)」について、米国食品医薬品局(FDA)より、RSウイルスによる下気道疾患の予防を目的として、RSウイルスによる感染症に罹患するリスクが高いと考えられる50~59歳への接種対象者拡大の承認を取得しましたことをお知らせします。アレックスビーは、米国では60歳以上を対象に既に承認されており、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)より臨床的共同意思決定に基づく接種が推奨されています*。

米国のシステマティックレビューによると、RSウイルスによる入院は毎年米国の50~64歳で42,000人と推定されています2。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、心不全、糖尿病3などの基礎疾患を有する患者さんは、これらの疾患のない人と比べ、RSウイルス感染による重症化のリスクが高く、RSウイルスによってこれらの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡につながる可能性があります4

GSKチーフ・サイエンティフィック・オフィサーのトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「本承認は、ワクチンによってRSウイルス感染症を予防することの利点をリスクの高い50~59歳にも広げることの重要性を示唆しています。基礎疾患のある患者さんにとって、RSウイルスは深刻な結果をもたらす可能性があり、アレックスビーがRSウイルス感染症からこのような人々を守る最初のワクチンとなることを誇りに思います。」

本申請は、基礎疾患によりRSウイルスによる下気道疾患のリスクが高まる成人を含む50~59歳を対象とするアレックスビーの免疫応答と安全性を評価した第III相試験[NCT05590403]5の良好な結果に基づいています。

ロチェスター大学医学部のAnn R. Falsey教授は次のように述べています。
「GSKのRSウイルスワクチンが、下気道疾患のリスクの高い50~59歳の方々にも承認されたことを嬉しく思います。RSウイルスに関連するリスクとして年齢も重要な要因ではありますが、考慮すべき唯一の要因ではありません。50~59歳の多くは基礎疾患を有しており、そのような疾患のない人と比べてRSウイルス感染による重症化のリスクは高いのです4。このたびのRSウイルスワクチンの承認は、このような人々を守るためのものです。」

GSKは、日本、欧州、その他の地域において、RSウイルスによる感染症に罹患するリスクが高い50~59歳への接種対象者拡大について申請中で、現在、規制当局による審査が進行しています。リスクの高い18~49歳および免疫低下の18歳以上を対象としたワクチンの免疫応答と安全性を評価する試験は、2024年下半期に結果が得られる予定です。

(*)臨床的共同意思決定とは、医療従事者と患者さんが話し合った上で医療に関する意思を決めることです。

RSウイルスワクチン「アレックスビー」について
アジュバント添加RSウイルスワクチンで、膜融合前型で安定化した遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原を含有しています。この抗原には、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせています。

GSKのRSウイルスワクチンは、60歳以上のRSウイルスによる下気道疾患の予防を目的として米国FDAより2023年5月に承認を受けています。米国では公式の推奨事項に従って使用されます。他のワクチンと同様に、すべてのワクチン接種者で防御免疫応答が誘導されるわけではありません。

アレックスビー(Arexvy)は、日本(RSウイルスによる感染症の予防)、米国、欧州、英国を含む40ヵ国以上で、60歳以上を対象にRSウイルスによる下気道疾患の予防を効能または効果として承認されています。その他の国々でも規制当局による審査が進行中です。承認地域以外の商標名は各国の規制当局の承認に基づき決定されます。

GSKが所有するAS01アジュバントシステムには、Agenus社の完全子会社であるAntigenics社よりライセンス供与されたQS-21 STIMULONアジュバントが含まれています。STIMULONは、Agenus社の子会社であるSaponiQx社の商標です。

NCT05590403試験について
NCT05590403試験は、RSウイルスによる下気道疾患のリスクが高い基礎疾患を有する50~59歳の成人を含む集団を対象にGSKのRSウイルスワクチンを単回投与したときの免疫応答の非劣性を60歳以上の成人と比較して評価し、また安全性についても比較検討する第III相、プラセボ対照、観察者盲検、ランダム化、国際共同、免疫原性試験です。

本試験では、RSウイルスによる感染症のリスク増加の原因となるものとしてあらかじめ定義した慢性疾患を有し、病状が安定している50~59歳の成人570例で免疫応答を評価しました。あらかじめ定義した上記の慢性疾患を有しない50~59歳の成人を含めた570例における免疫応答についても、60歳以上の成人と比較して評価しました。本試験の主要評価項目として、ワクチン接種後1ヵ月の時点におけるRSV-A型およびRSV-B型に対する中和抗体価を50~59歳の成人を含む両群で、60歳以上の成人と比較しました。安全性および免疫原性に関する副次的評価項目および三次評価項目も設定しました。免疫応答と安全性のデータは最初のAReSVi-006の結果と一致していました。最も高頻度に認められた有害事象は、注射部位疼痛、疲労、筋肉痛、頭痛で、これらは全般的に軽度~中等度であり、一過性のものでした。

本試験の結果は、2023年10月のACIP(予防接種諮問委員会)および2024年2月のReSViNET(Respiratory Syncytial virus foundation)にて発表され、査読付き論文として投稿されています。データは、添付文書の接種対象者拡大の可能性を裏付けるものとして、その他の規制当局にも提出されます。

成人におけるRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)について
RSウイルスは、肺などの呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスです。基礎疾患、免疫低下状態、または加齢によって成人のRSウイルスによる疾患のリスクが高くなるといわれています4。RSウイルスにより、COPD、喘息、慢性心不全などの病態が悪化し、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります4。米国でのRSウイルスによる入院は毎年、65歳以上では約177,000人、50歳~64歳では42,000人と推定されています2,6

GSK(グラクソ・スミスクライン)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Horn et al, “Disparities in Risk Factors for Severe Respiratory Syncytial Virus Disease among Adults in the United States”, Abstract presented at National Foundation for Infectious Diseases – 27th Annual Conference on Vaccinology Research – NFID 2024; May 8-10, 2024.
2 McLaughlin JM et al, “Rates of Medically Attended RSV Among US Adults: A Systematic Review and Meta-analysis” in Open Forum Infectious Diseases, Volume 9, Issue 7, July 2022.
3 Branche AR et al., « Incidence of Respiratory Syncytial Virus Infection Among Hospitalized Adults, 2017–2020” in Clinical Infectious Diseases, 2022:74:1004–1011.
4 Centers for Disease Control and Prevention (CDC), RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions, 2024.
5 ClinicalTrials.gov, A Study on the Immune Response and Safety of a Vaccine Against Respiratory Syncytial Virus Given to Adults 50-59 Years of Age, Including Adults at Increased Risk of Respiratory Syncytial Virus Lower Respiratory Tract Disease, Compared to Older Adults 60 Years of Age and Above 2023. NCT05590403.
6 Falsey, AR et al. Respiratory syncytial virus infection in elderly and high-risk adults, in New Engl J Med 2005; 352:1749-59.