GSKとメディカゴ社、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアジュバント添加ワクチン候補の第II相臨床試験から良好な中間解析結果が得られたと発表

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2021年5月18日(英国現地時間)に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2021年5月18日、英国ロンドン、カナダ ケベック発>

GSKとメディカゴ社、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアジュバント添加ワクチン候補の第II相臨床試験から良好な中間解析結果が得られたと発表

  • 2回接種後に成人および高齢者で同程度の抗体反応を確認

  • COVID-19から回復した人の約10倍高い中和抗体価を確認

  • 接種に関連した重篤な副反応の報告なし

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)とメディカゴ社(本社:カナダ ケベック市、以下メディカゴ社)は、5月18日、GSKのアジュバントを添加したメディカゴ社の植物由来COVID-19ワクチン候補の第II相臨床試験において、安全性および免疫原性に関し良好な中間解析結果が得られたことを発表しました。

今回の結果は現在進行中の第II/III相試験で得られたもので、第I相臨床試験実施時に認められた有望なプロファイルを再確認するものでした。免疫原性の評価項目である中和抗体価は、COVID-19から回復した患者の血清検体から得た値よりも約10倍高い値を示しました。接種に関連した重篤な有害事象は報告されず、また副反応はその多くが軽度~中程度で、持続期間も短いものでした。

メディカゴ社のサイエンティフィック・メディカルアフェアーズ部門エグゼクティブ・バイスプレジデントであるナタリー・ランドリーは次のように述べています。
「今回確認された第II相臨床試験の中間解析結果は良好で、大きな期待が持てます。アジュバント添加ワクチン候補は、2回接種した全ての被験者において、年齢を問わず安定した中和抗体と細胞性免疫応答を誘導しました。引き続き第III相臨床試験へと進めていく上で、今回の結果は大きな自信となります。現在、世界中で行われているワクチン接種の取り組みの中で、特に交差免疫は重要な課題となっています。COVID-19との世界規模の闘いにおいて、このワクチン候補が有望な選択肢となることを願っています。」

GSKワクチンのチーフ・メディカル・オフィサーであるトーマス・ブリューワーは、次のように述べています。
「GSKのアジュバントを添加したメディカゴ社のCOVID-19ワクチン候補が安定した免疫応答を示したことを喜ばしく思います。また、候補ワクチンの忍容性は良好で、その潜在的ベネフィットもさらに確認されました。GSKは、パンデミックとの世界的な闘いにおける前進に寄与するという意味でも、冷蔵庫で安定して保管できるこのワクチン候補による現在進行中の第III相試験の結果に期待しています。」

このワクチン候補の第III相臨床試験は2021年3月16日より開始しています。現在、カナダ、米国、英国、およびブラジルの治験実施施設で被験者の組み入れが行われており、数週間以内にはこの施設数をさらに増加する予定です。このワクチン候補は、米国食品医薬品局(FDA)からファスト・トラック指定を受けています。また、カナダ保健省(Health Canada)は、暫定的命令(Interim Order)の下、段階的申請の審査を開始しました。

・第II相臨床試験について:結果の概要
成人および高齢者を対象とした第II相試験から得られた中間解析結果はMedRxivのオンライン・プレプリントサーバーに掲載されています。

  • 本論文では、18~64歳の成人と65歳以上の高齢者から得られた、安全性、忍容性ならびに中和抗体(NAb)と細胞性免疫(IFN-γ/IL-4 ELISpot)で評価した免疫原性に焦点を置いている
  • GSKのアジュバントを添加したメディカゴ社のワクチン候補の副反応は一過性で、多くが軽度または中等度であり、安全性プロファイルは許容範囲内であった
  • 高齢者で認められた副反応は、成人で認められた副反応よりも限定的であった
  • ワクチン候補の2回接種後、いずれの年齢層においても同程度の液性免疫応答が誘導された
  • 1回目の接種後は、高齢者よりも成人で高い液性免疫応答が誘導されたものの、2回目の接種後はいずれの年齢層でも上昇し、抗体価はCOVID-19から回復した人から採取した血清パネルから得られた値よりも約10倍高値であった

・第II/III相臨床試験について
第II/III相試験は複合的にデザインされた試験で、18~64歳までの健康な成人、65歳以上の高齢者、基礎疾患のある成人を対象として、予め選定したコロナウイルス様粒子(CoVLP)製剤と接種方法(GSKのアジュバントを添加したCoVLP 3.75μgを21日間の間隔を開けて、2回接種)を用いた場合に、免疫原性および安全性プロファイルが許容範囲内であることを確認するものです。

本試験の第II相パートは、18歳以上を対象にGSKのアジュバントを添加したメディカゴ社の植物由来COVID-19ワクチン候補の安全性および免疫原性を評価する無作為化、評価者盲検、プラセボ対照試験でした。本パートはカナダと米国にある複数の施設で、健康な成人(18~64歳)、高齢者(65歳以上)、および基礎疾患のある成人を対象に行われました。各年齢群に最大306人の被験者を組み入れ、被験者はアジュバント添加CoVLPワクチン候補群とプラセボ群に5:1の割合で割り付けられました。また、高齢者は2:1の割合で65~74歳と75歳以上に層別化されました。本パートでは、最後のワクチン接種から12カ月間、全被験者を追跡調査し、ワクチン候補の安全性と免疫応答の持続性について、最終解析が行われます。

本試験の第III相パートは、event-driven(主要評価項目として設定した疾患の発現が予め規定した例数に達するまで継続する)、無作為化、評価者盲検、プラセボ対照クロスオーバー試験です。北米、中南米、および欧州における第II相パートと同じ対象集団(最大30,000人)を対象として、アジュバント添加CoVLPワクチン候補の有効性および安全性を評価します。

・COVID-19に対するGSKの取り組み
COVID-19に対するGSKの取り組みは、業界内でも最も幅広いものであり、提携企業との協力のもと、複数のワクチン候補に加え、3種類の治療薬候補の開発を進めています。

GSKは、アジュバント技術を提供することで、複数の企業や団体と協力し、COVID-19ワクチンの開発に取り組んでいます。サノフィ社との協働に加え、メディカゴ社とのアジュバント添加植物由来ワクチン候補の共同開発は、現在、後期臨床試験の段階にあります。またSK Bioscience社と初期段階の協働も進めており、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を受け、COVAXファシリティを通じて世界に供給できるよう、手頃な価格で入手可能な差別化されたCOVID-19ワクチンの開発を行っています。アジュバントの使用は、パンデミックの状況下では特に重要です。アジュバントを使用することにより、1回の接種に必要な抗原の量が抑えられるため、ワクチンの生産量を増やすことができ、より多くの人々を守ることに貢献できるからです。

GSKはまた、メッセンジャーRNA技術を専門とするCureVac社と、1つのワクチンで複数の新たな変異株に対処できるCOVID-19次世代多価mRNAワクチンの開発も協働で進めています。さらに、CureVac社の第一世代COVID-19ワクチンについて、最大で1億回分の製造も支援します。また、Novavax社のCOVID-19ワクチンについて、英国における最大で6,000万回分の製造支援を行っています。

加えて、COVID-19患者さんに対する治療薬や治療選択肢の開発にも取り組んでいます。Vir Biotechnology社と協働し、COVID-19に対する治療や予防の選択肢として使用可能な既存の抗ウイルス抗体医薬の開発や、新たな抗体医薬の特定に取り組んでいます。先日両社は、入院リスクの高いCOVID-19成人患者さんの早期治療を目的に、VIR-7831の単独療法時の有効性を評価する第III相COMET-ICEの中間解析の結果、十分な有効性が確認され、独立データモニタリング委員会より、新規組み入れの中止が勧告されたことを発表しました。現在、米国における緊急使用許可や、その他の国々での承認取得を目指しています。さらに、過剰な免疫反応が生じている70歳以上のCOVID-19重症患者さんを対象に、モノクローナル抗体オチリマブの評価も行っています。

・メディカゴ社について
メディカゴ社は、植物由来の技術を活用してグローバルヘルスに貢献することを使命としています。先駆的なアプローチと綿密な研究でヘルスケアにおける新たなソリューションを提供するという信念のもと、1999年に設立されました。メディカゴ社は、植物由来の治療薬のパイオニアです。ケベックを本拠地とし、カナダと米国に製造施設があります。450人以上の科学分野における専門家と従業員は、同社の技術を用い、新たなグローバルヘルスの課題に迅速に対応し、生命を脅かす疾患に対する治療薬を世界中で発展させることに尽力しています。
詳細情報についてはwww.medicago.comをご覧ください。

・GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報についてはhttps://jp.gsk.comをご覧ください。