GSKとVir Biotechnology 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として開発中の抗体医薬「VIR-7831」のCOMET-ICE第3相臨床試験を、世界に拡大して実施

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2020年10月6日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細は https://www.gsk.com/ をご参照ください。

<2020年10月6日 英国ロンドン、米国サンフランシスコ発>

GSKとVir Biotechnology
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として開発中の抗体医薬「VIR-7831」のCOMET-ICE第3相臨床試験を、世界に拡大して実施

  • 2020年9月30日、独立データモニタリング委員会は、第2相導入期の安全性および忍容性データに対する肯定的な評価に基づき、第3相臨床試験の実施を勧告

  • 第3相臨床試験初期の結果は2020年末に、主要評価項目の結果については2021年第1四半期(現時点の見通しでは2021年1月)に得られる見込み

  • 結果が良好であれば、VIR-7831によりCOVID-19に対する外来患者の治療進展の可能性も

  • 患者さんの組み入れは進行中:登録用ウェブサイト:https://vircovid19study.com/

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)とVir Biotechnology, Inc.(本社:米国、以下Vir社)は本日(10月6日)、入院リスクの高い患者さんを対象とした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の早期治療薬として開発中のVIR-7831を評価するCOMET-ICE試験(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial - Intent to Care Early)の第3相臨床試験を、世界に拡大して実施することをお知らせします。

VIR-7831(別称GSK4182136)は、完全ヒト抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体であり、ウイルスの細胞感染を阻止(中和)し、感染細胞を死滅させるとともに、薬剤耐性に対する高いバリアと(主な感染部位である)肺における高いバイオアベイラビリティを有する可能性があることから選定されました。2020年9月30日、本試験導入期から得られた非盲検安全性データに対する独立データモニタリング委員会の肯定的な評価を受け、北米、南米および欧州においてCOMET-ICE試験の実施施設を拡大し実施することにしました。

Vir社の最高経営責任者であるジョージ・スカンゴス博士は次のように述べています。
「この度、重要なマイルストーンが迅速に達成されたということは、生命を脅かすこのウイルスによる最悪の結果を招かないようにと、我々がリソースを結集し急ピッチで開発を進めているということです。VIR-7831は、複数のメカニズムで、入院や死亡を予防することができる特性を持つ抗体です。今後もGSKと引き続き協働することで、開発を加速させていきたいと考えています。」

GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであり、研究開発部門のプレジデントであるハル・バロンは次のように述べています。
「患者さんの差し迫ったニーズを考えると、Vir社との提携発表からわずか6カ月で、VIR-7831の開発を前臨床試験から第3相臨床試験まで進めることができたのは、大変喜ばしいことです。我々は、この中和抗体が持つ薬剤耐性に対する高バリア性、優れたエフェクター機能、および肺における高いバイオアベイラビリティは、今回のグローバルパンデミックと闘う上で、優れた薬剤となる可能性があることを示唆するものと考えています。」

COMET-ICE試験の第3相臨床試験では、入院していない、世界約1,300名の患者さんを対象に、VIR-7831またはプラセボを単回静脈内投与し、安全性および有効性を評価します(670例をVIR-7831での治療群、約670例をプラセボ群に割り付け)。有効性の主要評価項目は、無作為化の後、29日以内に症状が悪化(入院が必要もしくは死亡と定義)した患者さんの割合です。中間解析では、安全性、医学的無益性および有効性を評価し、早ければ2020年末にも結果が得られる見込みです。また主要評価項目の結果は、2021年第1四半期(現時点の見通しでは2021年1月)に得られる予定です。

COMET臨床開発プログラムでは、VIR-7831に対して、更に2つの試験を計画しています。1つは入院患者に対する治療、もう1つは症状を伴う感染症の予防に関する試験です。両社は2020年後半に、VIR-7832を評価する第1b/2a相臨床試験を開始する予定です。VIR-7832は、現在開発中の2つ目のSARS-CoV-2中和抗体で、VIR-7831と同様の特徴と強化されたエフェクター機能を備えており、T細胞反応を刺激することにより、治療または予防において更なる有効性を示す可能性があります。

VIR-7831/GSK4182136について
VIR-7831(GSK4182136)は、in vitroとin vivoでSARS-CoV-2の生ウイルスの中和能を示したモノクローナル抗体で、SARS-CoV-2のエピトープと結合します。これは、SARS-CoV-1(SARSとして知られる)と共有され、保存性が高いことが示されるエピトープで、そのためエスケープ変異が生じにくくなると考えられます。またVIR-7831/GSK4182136は、肺におけるバイオアベイラビリティが高められ、半減期も延長する可能性があります。

VIR-7832について
VIR-7832は、in vitroでSARS-CoV-2の生ウイルスの中和能を示したモノクローナル抗体で、SARS-CoV-2のエピトープと結合します。これは、SARS-CoV-1(SARSとして知られる)と共有され、保存性が高いことが示されるエピトープで、そのためエスケープ変異が生じにくくなると考えられます。またVIR-7832は、肺におけるバイオアベイラビリティが高められ、半減期も延長されています。さらに、治療用および/または予防用のT細胞ワクチンとしても機能する可能性があります。

VIR社とGSKの協働について
2020年4月、Vir Biotechnology社とGSKは、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2を含むコロナウイルスに対するソリューションの研究開発において、提携する契約を締結しました。この提携では、Vir社独自のモノクローナル抗体プラットフォーム技術を駆使し、今回のCOVID-19の世界的大流行と今後発生する可能性のある大流行に対応するため、治療薬やワクチンとして選択肢となりうる既存の抗ウイルス抗体の開発を加速させ、新規抗ウイルス抗体を同定します。また両社は、機能ゲノミクス分野でGSKが持つ専門性を活用するとともに、CRISPRスクリーニングと人工知能の分野において両社が培った技術を結集し、細胞宿主遺伝子を標的とした抗コロナウイルス化合物を同定します。さらに、両社それぞれの専門性をSARS-CoV-2やその他のコロナウイルスワクチンの研究に活用します。

Vir Biotechnologyについて
Vir Biotechnologyは、免疫学的考察と最先端技術を組み合わせ、重篤な感染症の治療と予防にフォーカスした臨床段階の免疫系専門企業です。Vir社は、自然免疫過程に関する重要な所見を探索することで、免疫系を刺激し活性化するための4つの技術プラットフォームを確立しました。現在、同社が有する開発パイプラインには、B型肝炎ウイルス、A型インフルエンザ、SARS-CoV-2、ヒト免疫不全ウイルス、および結核菌を標的とした製品候補が含まれています。詳細については、www.vir.bio をご覧ください。

GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報については https://jp.gsk.com/ をご覧ください。