GSKのヒブサーゴ(べピロビルセン)、B型肝炎ウイルス持続感染における機能的治癒を適応として、世界で初めて承認を取得
機能的治癒の達成割合の改善を示した主要な第III相試験(B-Well 1、B-Well 2試験)の結果1に基づく承認
先駆的医薬品指定制度による指定品目2として初の承認
日本ではB型肝炎ウイルス(HBV)持続感染の患者数は約100万人と推計されており3、HBV持続感染は肝がんの主要原因のひとつとされる4
グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、本日、「ヒブサーゴ皮下注150mgシリンジ(一般名:ベピロビルセンナトリウム、以下べピロビルセン)」、について、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus:HBV)持続感染における機能的治癒を適応として、製造販売承認を取得したことをお知らせします。
本承認は、第III相B-Well 1試験およびB-Well 2試験の結果1に基づいており、ベピロビルセンに対する世界で初めての規制当局による承認となります。べピロビルセンは2024年8月に日本で先駆的医薬品に指定され2、先駆的医薬品指定制度が創設されてから、指定品目の中で初めての承認となりました。先駆的医薬品指定制度は、前身となる「先駆け審査指定制度」をもとに、2019年の法改正*により法制化され、2020年より施行されています。指定要件には、「治療薬の画期性」、「対象疾患の重篤性」、「対象疾患に係る極めて高い有効性」に加え、「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制」が含まれます。ベピロビルセンは、高いアンメット・メディカル・ニーズを有するHBV持続感染に対する新たな治療選択肢となる可能性が評価され、日本における優先的かつ迅速な審査の対象となりました。
*医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部改正(令和元年法律第63号)
HBV持続感染は公衆衛生上の大きな課題であり、国内において、この疾患による負担の軽減に向けて継続的に取り組みが行われています5。日本におけるHBV持続感染の患者数は約100万人と推計されており、年間約4,000人の死亡に関連しているとされています3。
GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「ヒブサーゴは、日本のHBV持続感染の患者さんに対して、HBV持続感染における機能的治癒を適応とする初めての治療選択肢となります。ヒブサーゴを投与することで、患者さんは生涯にわたる薬物治療を終了できる可能性があります1。これは、HBV持続感染治療における重要な前進であり、GSKの肝疾患領域ポートフォリオにおいても重要なマイルストーンとなります。今後の他国における規制当局による審査の進展も期待しています」
GSK代表取締役社長のポール・リレットは次のように述べています。
「HBV持続感染は肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあり、依然として医療上のアンメット・ニーズが高い疾患です。この度のヒブサーゴの承認により、日本のHBV持続感染の患者さんに、26年振りに新たな作用機序をもつ治療選択肢をお届けできることを嬉しく思います。今後もアンメット・ニーズを満たす医薬品を通じて、患者さんとそのご家族のより良い未来に貢献してまいります」
第III相B-Well 1試験およびB-Well 2試験の統合解析では、べピロビルセンを24週間投与した患者群において、全体集団(HBs抗原量が100 IU/mLより高く、3,000 IU/mL以下の成人患者)で統計的に有意な19%の機能的治癒の達成割合(ベピロビルセン群1,220例中233例、プラセボ群614例中0例;両試験ともp<0.001)を示し、主要評価項目を達成しました。また、重要な副次評価項目では、ベースライン時のHBs抗原量が1,000 IU/mL以下の患者群において26%の機能的治癒の達成割合(ベピロビルセン群768例中200例、プラセボ群393例中0例;両試験ともp<0.001)が認められました。なお、世界で診断される患者さんのうち、HBs抗原量が1,000 IU/mL以下は約45%を占めるという調査結果があります6。
両試験の治験開始後1~24週における最も頻度の高い有害事象の上位3つは、注射部位の紅斑31%(384/1223)、注射部位の痛み23%(277/1223)、一過性の肝酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の血中濃度上昇22%(269/1223)でした。
なお、機能的治癒とは、すべての治療を中止した後、少なくとも24週間にわたり、HBV DNAおよびウイルスタンパク質であるB型肝炎表面抗原(HBs抗原)が血中で検出されない状態を指します。これは、薬物療法を行わなくても患者さん自身の免疫システムによって疾患が制御されていることを意味します7。現在の標準治療では、長期にわたる治療が必要となることがあり、治療を始めて1年後の機能的治癒の達成割合はペグインターフェロン(pegylated interferon:PegIFN)で2~8%未満、核酸アナログ(nucleoside/nucleotide analogues:NA)の経口治療薬で1%未満と報告されています8。
GSKは、世界各国でべピロビルセンの承認取得に向けた申請を進めており、今後他の主要市場における承認取得も期待されています。
ヒブサーゴ(一般名:ベピロビルセンナトリウム)について
ヒブサーゴは、B型肝炎ウイルスの複製やタンパク質合成に関与するRNAを認識してその産生を阻害することを目的に設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)です。HBV関連のRNAおよびウイルスタンパク質の産生を低下させ、血中のHBs抗原を抑制します。また、ヒブサーゴは免疫刺激作用を有しており、この作用も抗ウイルス活性の一部に寄与している可能性があると考えられています。
GSKはIonis Pharmaceuticals社からヒブサーゴをライセンス取得し共同で開発を進めてきました。ヒブサーゴは、B型肝炎における高いアンメット・ニーズに対応する可能性が認められ、米国食品医薬品局(FDA)によるファストトラックおよびブレイクスルー指定、中国における画期的治療薬および優先審査指定、日本における先駆的医薬品指定など、世界各国の規制当局から評価を受けています。
B-Well 1およびB-Well 2臨床試験について
B-Well 1試験およびB-Well 2試験は、29カ国で実施された多施設共同、無作為化二重盲検プラセボ対照の国際共同第III相試験です。両試験では、核酸アナログ(nucleoside/nucleotide analogues:NA)による治療中の成人で、B型肝炎表面抗原(HBs抗原)量が100 IU/mLより高く、3,000 IU/mL以下のHBV持続感染患者さんを対象に、有効性、安全性、薬物動態プロファイルおよび機能的治癒の持続性を評価しました。主要評価項目は、ベースラインのHBs抗原量が3,000 IU/mL以下の患者さんにおける機能的治癒の達成割合を評価しました。重要な副次評価項目では、ベースラインのHBs抗原量が1,000 IU/mL以下の患者さんにおける機能的治癒の達成割合を評価しました。機能的治癒は、すべての治療中止後少なくとも24週間にわたりB型肝炎ウイルス(HBV)DNAおよびHBs抗原が血中で検出されないことと定義され、薬物療法を行わずに患者さん自身の免疫システムによって疾病が制御されていることを指します7。ベピロビルセンは24週間投与され、試験ではその後の評価で条件を満たした患者さんについて48週時点で核酸アナログ(NA)治療の中止を行い、72週時点で機能的治癒を評価しました。
探索的解析では、72週時点で、ベピロビルセン投与患者の全体集団において49%(1220例中598例)で、HBs抗原量が100 IU/mL以下に低下したことが示されました。また、1,000 IU/mL以下のサブグループでは、ベピロビルセン投与例の62%(768例中476例)で、同様に100 IU/mL以下に低下が認められました6。
B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus:HBV)持続感染について
B型肝炎は肝臓のウイルス感染症であり、急性肝疾患および慢性肝疾患の両方を引き起こします。HBV持続感染とは、免疫システムが感染したHBVを排除できずに持続する長期感染であり、患者数は世界で2億4,000万人以上と言われています9。本疾患は年間約110万人の死亡原因となり9、世界の肝がんの主要原因の一つとされています4。
現在、多くの患者さんがウイルス抑制のために生涯にわたる抗ウイルス療法を必要としており、EASL(European Association for the Study of the Liver:欧州肝臓学会)ガイドラインでは機能的治癒の達成は疾患管理における重要な目標となります*。機能的治癒は、すべての治療中止後少なくとも6カ月にわたりB型肝炎ウイルス(HBV)DNAおよびHBs抗原が血中で検出されない状態を指し、薬物療法をせずに患者さん自身の免疫システムによって疾病が制御されていることを意味します7。また、100 IU/mL以下の低いHBs抗原レベルは、HBV特異的免疫制御の改善と良好な臨床転帰との関連性が示唆されています10,11,12,13。
*日本肝臓学会の「B型肝炎治療ガイドライン」(第5版)では、HBV持続感染患者さんに対する抗ウイルス治療の治療目標は「HBV感染者の生命予後およびQOLを改善すること」となっています。この目標達成に最も有用な代替マーカーはHBs抗原であるとして、本ガイドラインではHBV持続感染患者さんにおける抗ウイルス治療の長期目標を「HBs抗原消失」に設定しています14。
GSKの肝臓領域ポートフォリオについて
GSKは炎症分野で培った専門知識を活かし、線維化を伴う慢性かつ生命を脅かす肝疾患を抱える何百万人もの人々に向けた次世代の革新的治療の創出を目指しています。GSKは、免疫学の知見と最先端技術を活用して肝臓領域の開発パイプラインを拡大しており、B型慢性肝炎や代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)、アルコール関連肝疾患(ALD)に注力しています。
グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。GSKは、免疫系科学と先端技術に重点をおき、呼吸器・免疫・炎症、オンコロジー、感染症をはじめとする疾患領域の研究開発に注力しています。そして、スペシャリティ医薬品、ワクチン、ジェネラル医薬品で、病気を予防し治療します。詳しくはhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1. Hou J, Lim S-G, Buti M, et al. Phase 3 results of bepirovirsen treatment for chronic hepatitis B virus infection. N Engl J Med 2026;394:2395-406. DOI: 10.1056/NEJMoa2515131
2. GSKプレスリリース、GSKのベピロビルセンナトリウムがB型肝炎ウイルス持続感染に対する先駆的医薬品に指定 2024年8月28日
3. Polaris Observatory Dashboard. Available at https://cdafound.org/polaris/dashboard (last accessed: August 2026)
4. Rumgay H et al . Global burden of primary liver cancer in 2020 and predictions to 2040. J Hepatol. 2022;77:1598–1606. doi: 10.1016/j.jhep.2022.08.021
5. Korenaga M, Kanto T. Testing, diagnosis of viral hepatitis, and the follow-up policy in Japan. Glob Health Med. 2021 Oct 31;3(5):308-313. doi: 10.35772/ghm.2021.01072. PMID: 34782874; PMCID: PMC8562087.
6. GSK data on file, 2026
7. EASL, “Clinical Practice Guidelines on the management of hepatitis B virus infection” in Journal of Hepatology, Volume 83, Issue 2, August 2025, Pages 502-583. Available at: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168827825001746 (last accessed: August 2026).
8. Slaets, L. et al. “Systematic review with meta-analysis: hepatitis B surface antigen decline and seroclearance in chronic hepatitis B patients on nucleos(t)ide analogues or pegylated interferon therapy” in GastroHep 2, 106–116 (2020)
9. WHO, Global hepatitis report 2026, April 2026. Available at: https://www.who.int/publications/i/item/9789240122383 (last accessed August 2026)
10. Tseng TC et al. Gut 2025;74:1896–1906
11. Zhou K et al. Lancet Gastroenterol Hepatol 2019;4:227–238
12. Tseng TC et al. Hepatology 2012;55:68–76
13. Kim, J.H., et al. “Circulating serum HBsAg level is a biomarker for HBV-specific T and B cell responses in chronic hepatitis B patients”. Sci Rep 10, 1835 (2020).
14. 一般社団法人日本肝臓学会編.B型肝炎治療ガイドライン 第5版.2026年6月. https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html. アクセス日2026年8月