GSK、B型肝炎ウイルス持続感染に対する治療薬としてベピロビルセンを日本で承認申請
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第III相B-Well試験において、機能的治癒(functional cure)の達成割合が統計学的に有意な改善を示した1
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日本ではB型肝炎ウイルス持続感染の患者数は約100万人と推計され2、肝臓がんの主要原因のひとつ3
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べピロビルセンは先駆的医薬品指定による優先審査の対象であり4、世界で初めて日本が承認申請を行う
グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、本日、成人のB型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus、以下HBV)持続感染の治療薬として開発中の、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide:ASO)のベピロビルセンナトリウム(Bepirovirsen Sodium、以下ベピロビルセン)について、厚生労働省に製造販売承認申請をしたことをお知らせします。
HBV持続感染は公衆衛生上の大きな課題であり、患者数は世界で2億5,000万人を超え、日本では約100万人とされています2。現在の治療選択肢では機能的治癒の達成割合が、ペグインターフェロン(pegylated interferon:PegIFN)で2~8%未満、核酸アナログ(nucleoside/nucleotide analogues:NA)の経口治療薬で1%未満となっています5。機能的治癒とは、すべての治療を中止後少なくとも24週間にわたり、HBV DNAおよびウイルスタンパク質であるB型肝炎表面抗原(hepatitis B surface antigen:HBsAg、以下HBs抗原)が、血液中で検出されないほど低いレベルになり、薬物療法をせずに患者さん自身の免疫システムによって制御できるようになることです。世界で肝がん症例の約56%がHBV持続感染に起因すると推定されており3、HBV持続感染の機能的治癒は、肝がんなどの長期的な肝関連合併症リスクの低下と関連しています6。
今回の承認申請は、B-Well1試験およびB-Well2試験の第III相試験の良好な結果に基づくものです。両試験において、NAによる標準治療を受けている患者さんに対し、プラセボを投与した群(NA単独群)とべピロビルセンを投与した群を比較したところ、べピロビルセンを投与した群では統計学的に有意な機能的治癒の達成割合が示されました1。有効性および安全性に関するデータの詳細は、2026年中に学会および査読誌で発表される予定です。
日本においてベピロビルセンは、2024年8月に先駆的医薬品に指定されました4。先駆的医薬品指定制度は、「治療薬の画期性」、「対象疾患の重篤性」、「対象疾患に係る極めて高い有効性」に加え、「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制」が指定要件とされています。本制度による迅速な審査プロセスは、重篤な疾患の治療や満たされていない医療ニーズに対応し、患者さんが画期的な医薬品へより早期にアクセスすることを可能にします。
臨床試験プログラム
B-Well1試験(NCT05630807)およびB-Well2試験(NCT05630820)とは、29カ国で実施された多施設共同、無作為化二重盲検プラセボ対照の国際共同第III相試験です。両試験では、核酸アナログ(nucleoside/nucleotide analogues:NA)による治療中のHBV持続感染患者さんで、かつ肝硬変がなく、ベースラインのB型肝炎表面抗原(hepatitis B surface antigen:HBsAg、以下HBs抗原)量が3000 IU/mL以下の参加者を対象に、有効性、安全性、および薬物動態プロファイルを評価しました。主要評価項目では、ベースラインのHBs抗原量が3000 IU/mL以下の患者さんにおける機能的治癒の達成割合を評価しました。重要な副次評価項目では、ベースラインのHBs抗原量が1000 IU/mL以下の患者さんにおける機能的治癒の達成割合を評価しました。
B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus:HBV)持続感染について
B型肝炎はウイルス感染症であり、急性肝疾患および慢性肝疾患の両方を引き起こします。HBV持続感染とは、感染したHBVが体内から排除されず、長期間にわたり肝臓内にとどまっている状態を指します。現在、患者数は世界で2億5,000万人以上とされ、毎年約110万人の死亡原因となっています7。日本国内でも、毎年約4,000人が亡くなっています2。多くの患者さんがウイルス抑制を目的とした生涯にわたる抗ウイルス療法を必要とするため、機能的治癒の達成は疾患管理における重要な目標です。
ベピロビルセン(bepirovirsen)について
ベピロビルセンは、3つの作用(HBs抗原の減少、B型肝炎ウイルスのゲノム複製阻害、免疫賦活化)を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide:ASO)です。慢性疾患を引き起こす可能性のあるB型肝炎ウイルスの遺伝子構成要素(プレゲノムRNAを含むmRNA)を認識して破壊する働きがあり、これにより患者さんの免疫システムがウイルスに対する反応を取り戻す可能性があります。ベピロビルセンは、血中のB型肝炎表面抗原(hepatitis B surface antigen:HBs抗原)量を抑制し、体内でのウイルスゲノムの複製を阻害し、免疫システムを刺激することで、持続的な効果の可能性を高めると考えられています。
GSKは、Ionis Pharmaceuticals社からベピロビルセンのライセンスを取得し、共同で開発を進めてきました。ベピロビルセンは、本製剤が持つ新しい作用機序によって、B型肝炎における高い医療ニーズに応え得ると評価されており、米国食品医薬品局(FDA)による迅速審査(ファストトラック)指定、中国での画期的治療薬指定、日本での先駆的医薬品指定など、世界各国でその可能性が広く認識されています。現在、べピロビルセンが承認されている国や地域はありません。
グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。GSKは、免疫系科学と先端技術に重点をおき、呼吸器・免疫・炎症、オンコロジー、感染症をはじめとする疾患領域の研究開発に注力しています。そして、スペシャリティ医薬品、ワクチン、ジェネラル医薬品で、病気を予防し治療します。詳しくはhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1 GSK Press release, GSK announces positive results from B-Well 1 and B-Well 2 phase III trials for bepirovirsen, a potential first-in-class treatment for chronic hepatitis B, January 2026. Available at: https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/gsk-announces-positive-results-from-b-well-1-and-b-well-2-phase-iii-trials-for-bepirovirsen-a-potential-first-in-class-treatment-for-chronic-hepatitis-b/. Last accessed: January 2026
2 Polaris Observatory Dashboard. Available at https://cdafound.org/polaris/dashboard/ Last accessed: January 2026
3 Rumgay H et al . Global burden of primary liver cancer in 2020 and predictions to 2040. J Hepatol. 2022;77:1598–1606. doi: 10.1016/j.jhep.2022.08.021
4 GSK Press release issued August 2024. GSKのベピロビルセンナトリウムがB型肝炎ウイルス持続感染に対する先駆的医薬品に指定 https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240828-bepirovirsen/ Last accessed: January 2026.
5 Slaets, L. et al. “Systematic review with meta-analysis: hepatitis B surface antigen decline and seroclearance in chronic hepatitis B patients on nucleos(t)ide analogues or pegylated interferon therapy” in GastroHep 2, 106–116 (2020)
6 EASL, “Clinical Practice Guidelines on the management of hepatitis B virus infection” in Journal of Hepatology Volume 83, Issue 2, August 2025, Pages 502-583. Available at: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168827825001746 Last accessed: January 2026
7 WHO. Global hepatitis report 2024. Available at: https://www.who.int/publications/i/item/9789240091672 Last accessed: January 2026