GSK、再発又は難治性の多発性骨髄腫におけるブーレンレップの承認申請について、米国FDAによる審査期間の延長を発表
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新たな審査終了予定日は2025年10月23日
この資料は、英国GSK plcが2025年7月23日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。
GSK(本社:英国)は、少なくとも1ライン以上の治療歴を有する多発性骨髄腫の成人患者さんに対する、ブーレンレップ(ベランタマブ マホドチン)の併用療法1の生物学的製剤承認申請(Biologics License Application:BLA)について、米国食品医薬品局(FDA)の審査期間が延長されたことをお知らせします。処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act:PDUFA)による新たな審査終了予定日は2025年10月23日で、申請を支持する追加情報がそれまでの期間に審査されます。
BLAは、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する第III相試験であるDREAMM-7試験とDREAMM-8試験で示された有効性の結果に基づいています。両試験において、ブーレンレップの併用療法は標準治療の3剤併用療法と比較して無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、DREAMM-7試験ではダラツムマブをベースとする3剤併用療法と比較して全生存期間(OS)の延長が認められました。また、ブーレンレップの併用療法の安全性および忍容性プロファイルは、個々の薬剤の既知のプロファイルとおおむね一致しています。
GSKはブーレンレップの併用療法を支持するデータに自信をもっており、審査期間中、FDAとの建設的な対話を継続していきます。
現在、ブーレンレップの併用療法は、日本2、英国3、カナダ、スイス(現時点ではDREAMM-8試験のみ)、アラブ首長国連邦で承認され、欧州連合(EU)4や中国5(DREAMM-7試験の結果に基づき、併用療法は画期的治療薬指定を受け、承認申請は優先審査)を含む世界の主要国で審査中です(*)。(*追記:EUでは本プレスリリース後に承認取得済み)
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は世界で3番目に多い血液のがんで、一般的に治療可能であるものの治癒困難な疾患と考えられています6,7。世界で毎年約18万人以上の患者さんが新たに多発性骨髄腫と診断されています8。多発性骨髄腫は、既存の治療に対して抵抗性を示すことが多いため、新しい治療法の開発が求められています9。多発性骨髄腫患者さんの多くは地域のがん治療施設で治療を受けており、専門医療機関外でも投与可能で、副作用が管理しやすい、新しい効果的な治療法が早急に求められています10,11。
ブーレンレップ(Blenrep、一般名:ベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え))について
ブーレンレップは、非切断型のリンカーを介して、ヒト化抗BCMAモノクローナル抗体に細胞傷害性薬剤であるアウリスタチンFを結合させた抗体薬物複合体です。薬剤リンカー技術はSeagen社からライセンス供与されています。また、モノクローナル抗体は、協和キリングループのBioWa社からライセンス供与を受けたPOTELLIGENT技術を用いて製造されています。
適応症
英国では、ブーレンレップは成人患者さんに対する以下の多発性骨髄腫治療が適応となります。
- 1ライン以上の治療歴を有する患者さんを対象としたボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用療法
- 1ライン以上の治療歴(レナリドミドを含む治療を含む)を有する患者さんを対象としたポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法
DREAMM-7試験について
DREAMM-7試験は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴を有し、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベランタマブ マホドチンとBorDexとの併用療法と、ダラツムマブとBorDexとの併用療法とで有効性および安全性を比較する第III相多施設共同無作為化非盲検試験です。本試験では、合計494例の患者さんを、ベランタマブ マホドチンとBorDexの併用療法、またはダラツムマブとBorDexの併用療法に1:1の比率で無作為に割り付けました。ベランタマブ マホドチンについては、最初の8サイクルでは併用療法として2.5mg/kgの用量で3週間ごとに静脈内に投与し、その後は単剤として継続投与しました。主要評価項目は、独立効果判定委員会の評価によるPFSとし、主な副次評価項目は、OS、奏効期間(duration of response:DOR)、微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の陰性達成率(次世代シークエンシングにより評価)としました。その他の副次的評価項目は、全奏効率(overall response rate:ORR)、安全性、患者さんの報告による生活の質のアウトカムとしました。
DREAMM-7試験では、ブーレンレップの併用療法はダラツムマブをベースとする対照療法に対してPFSの中央値を約3倍に延長しました(それぞれ36.6カ月と13.4カ月。ハザード比[hazard ratio、以下HR]:0.41[95% 信頼区間(CI):0.31~0.53]、p<0.00001)。DREAMM-7試験ではまた、追跡期間の中央値39.4カ月の時点で、重要な副次評価項目であるOSも達成し、ダラツムマブをベースとする対照療法(251例)と比較して、ブーレンレップの併用療法(243例)で死亡リスクが42%低下し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められました(HR:0.58、95% CI:0.43~0.79、p=0.00023)。3年時点でのOS率は、ブーレンレップの併用療法群では74%、ダラツムマブの併用療法群では60%でした。
PFSの結果は、2024年2月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズで発表され、New England Journal of Medicine誌に掲載されました。またOSの結果は、2024年12月に米国血液学会(ASH)の年次総会で発表されました12,13。
DREAMM-8試験について
DREAMM-8試験は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴(レナリドミドを含む治療を含む)を有し、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベランタマブ マホドチンとポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(BelaPd療法)と、ボルテゾミブとポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(PVd療法)とで有効性および安全性を比較する第III相多施設共同無作為化非盲検試験です。本試験では、合計302例の患者さんを、BelaPd療法またはPVd療法に1:1の比率で無作為に割り付けました。DREAMM-7試験の対象とした患者さんの集団と比較して、DREAMM-8試験の患者さんは前治療の割合が高く、全例にレナリドミドの投与歴があり、78%がレナリドミドに抵抗性を示していました。また25%にダラツムマブの投与歴があり、その大半がダラツムマブに抵抗性を示していました。ベランタマブマホドチンについては、1サイクル目に2.5mg/kgを静脈内投与し、その後4週ごとに1.9mg/kgの用量を静脈内投与しました。主要評価項目は、独立効果判定委員会の評価によるPFSとし、重要な副次評価項目は、OS、次世代シークエンシングにより評価した微少残存病変(minimal residual disease:MRD)陰性率としました。その他の副次評価項目は、全奏効率(overall response rate:ORR)、奏効期間(duration of response:DOR)、安全性、患者さんの報告による生活の質のアウトカムとしました。
追跡期間の中央値21.8カ月の時点での主解析では、PFSの中央値は、ベランタマブ マホドチンの併用療法でまだ到達しておらず(95% CI:20.6~未達[not yet reached、以下NR])、ボルテゾミブの併用療法では12.7カ月(95% CI:9.1~18.5)でした。全生存期間(OS)の改善傾向が認められるものの、統計学的有意差を示す基準には達していませんでした(HR:0.77[95% CI:0.53~1.14])。OSの追跡調査を継続し、さらなる解析を実施していく予定です。
追跡調査では、臨床的に意義のある改善が引き続き認められ、ベランタマブ マホドチンの併用療法群のPFSの中央値がボルテゾミブの併用療法群のほぼ3倍に達しました(それぞれ32.6か月対12.5か月、HR: 0.49 [95% CI: 0.35-0.68])。1年後の時点で病勢進行が認められず生存していた患者さんの割合は、ベランタマブ マホドチンの併用療法群で71%(95% CI:63~78)であったのに対し、ボルテゾミブの併用療法群では51%(95% CI:42~60)でした。さらに、予後不良のサブグループ(レナリドミドに対する抵抗性を示す患者さんや細胞遺伝学的高リスクの患者さんなど)を含め事前に規定したすべてのサブグループで、ベランタマブ マホドチンとPomDexの併用療法のベネフィットが認められました。
結果は、2024年ASCO年次総会で初めて発表され、New England Journal of Medicine誌に掲載されました14。また追加の追跡調査によりアップデートしたPFSの結果は2025年の欧州血液学会議(EHA)で発表されました15。
DREAMM-7試験およびDREAMM-8試験において眼に関する副作用発現時には投与間隔の延長や減量等を行い、治療中止率はいずれも約9%でした12,14。ブーレンレップの併用療法で最も多く報告された眼科所見以外の有害事象(患者さんの30%超)は、DREAMM-7試験で血小板減少症(87%)と下痢(32%)、DREAMM-8試験で好中球減少症(63%)、血小板減少症(55%)、新型コロナウイルス感染症(37%)でした。
GSKのオンコロジー領域における取り組み
GSKは、がん患者さんの生活の質(QOL)の向上やより長く生きること、予後改善に貢献することを目指しており、現在注力している血液悪性腫瘍と婦人科がんに加え、肺がんや消化器がんを含む固形腫瘍へも治療領域を拡大し、研究開発に取り組んでいます。
グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするグローバルなバイオ医薬品企業です。詳しくはhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1 Belantamab mafodotin in combination with bortezomib plus dexamethasone (BVd) and belantamab mafodotin in combination with pomalidomide plus dexamethasone (BPd).
2 GSK press release issued 19 May 2025. GSK、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するブーレンレップの併用療法について日本で製造販売承認を取得 https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20250519-blenrep/.
3 GSK press release issued 17 April 2025. 再発または難治性の多発性骨髄腫に対するBlenrepの併用療法を英国医薬品医療製品規制庁が承認 https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20250430-blenrep-belantamab-mafodotin-combinations-approved-by-uk-mhra-in-relapsedrefractory-multiple-myeloma/.
4 GSK press release issued 24 July 2025. Blenrep (belantamab mafodotin) combinations approved in EU for treatment of relapsed/refractory multiple myeloma. Available at: Blenrep (belantamab mafodotin) combinations approved in EU for treatment of relapsed/refractory multiple myeloma | GSK.
5 GSK press release issued 9 December 2024. Blenrep (belantamab mafodotin) combination accepted for priority review in China in relapsed/refractory multiple myeloma. Available at: https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/blenrep-belantamab-mafodotin-combination-accepted-for-priority-review-in-china-in-relapsedrefractory-multiple-myeloma/
6 Sung H, Ferlay J, Siegel R, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
7 Kazandjian D. Multiple myeloma epidemiology and survival: A unique malignancy. Semin Oncol. 2016;43(6):676–681.doi: 10.1053/j.seminoncol.2016.11.004.
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11 Crombie J, Graff T, Falchi L, et al. Consensus recommendations on the management of toxicity associated with CD3×CD20 bispecific antibody therapy. Blood (2024) 143 (16): 1565–1575.
12 Hungria V, Robak P, Hus M et al. Belantamab Mafodotin, Bortezomib, and Dexamethasone for Multiple Myeloma. N Engl J Med. 2024 Aug 1;391(5):393-407. doi: 10.1056/NEJMoa2405090. Epub 2024 Jun 1. PMID: 38828933.
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14 Dimopoulos MA, Beksac M, Pour L, Delimpasi S et al. Belantamab Mafodotin, Pomalidomide, and Dexamethasone in Multiple Myeloma. N Engl J Med. 2024 Aug 1;391(5):408-421. doi: 10.1056/NEJMoa2403407. Epub 2024 Jun 2. PMID: 38828951.
15 Dimopoulos MA, Beksac M, Pour L et al. Updated results from phase 3 DREAMM-8 study of Belantamab Mafodotin, Pomalidomide and Dexamethasone versus Pomalidomide plus Bortezomib and Dexamethasone in relapsed/refractory multiple myeloma. HemaSphere | 2025;9(S1) 846 EHA 2025 Congress.