GSKのリネリキシバット、原発性胆汁性胆管炎(PBC)における胆汁うっ滞性そう痒症患者さんの治療薬として米国FDAが新薬承認申請(NDA)を受理

  • 承認された場合、リネリキシバットは胆汁うっ滞性そう痒症(持続的な強いかゆみ)とそれに関連する睡眠障害に苦しむ患者さんの高いアンメットニーズに応えられる可能性

  • 本申請は、第III相試験GLISTENの良好な結果に基づく

  • 米国FDAの審査終了予定日は2026年3月24日

 


この資料は、英国GSK plcが2025年6月2日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、まれな自己免疫性肝疾患である原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis、以下PBC)に関連する胆汁うっ滞性そう痒症(持続的な強いかゆみ)を有する患者さんを対象とした、回腸胆汁酸トランスポーター(ileal bile acid transporter、以下IBAT)を標的とする阻害剤であるリネリキシバットの新薬承認申請について、米国食品医薬品局(FDA)が受理したことをお知らせします。処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act:PDUFA)による審査終了予定日は2026年3月24日です。

GSKのシニアバイスプレジデントおよび呼吸器・免疫・炎症部門のR&Dグローバルヘッドであるカイヴァン・カヴァンディ(Kaivan Khavandi)は、次のように述べています。
「FDAによる本申請の受理は、リネリキシバットの開発において重要な節目となります。リネリキシバットは、PBCに関連する持続的な強いかゆみや、それに起因する睡眠障害に苦しむ患者さんの生活に変化をもたらす可能性があると信じています。これらの症状は患者さんに深刻な影響を及ぼしますが、現在、治療の選択肢は非常に限られています。」

本申請は、5月に欧州肝臓学会(EASL)で発表された第III相試験GLISTENの良好な結果に基づいています。GLISTEN試験では、胆汁うっ滞性そう痒症およびかゆみに関連した睡眠障害に対し、プラセボ群と比較して迅速かつ有意で持続的な改善を示し、主要評価項目と主な副次評価項目が達成されました。またリネリキシバットの安全性プロファイルは、以前の試験およびIBAT阻害のメカニズムから想定されたものと一致していました。

リネリキシバットは現在、世界のどの国・地域でも承認されていません。

原発性胆汁性胆管炎における胆汁うっ滞性そう痒症について
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、胆汁うっ滞性肝疾患であり、肝臓からの胆汁の流れが障害を受けた結果、循環血中に過剰な胆汁酸が生じ、胆汁うっ滞性そう痒症(皮膚を掻いても軽減しない体内のかゆみ)を引き起こすと考えられています。そう痒症は、PBCの病期や肝機能検査値のコントロールの程度を問わず発現する可能性があり、海外ではPBC患者さんの最大90%がさまざまな程度の重症度で経験するとの報告があります1。PBCに対する一次治療は、約70%の患者さんで疾患自体の進展抑制が得られるものの、そう痒の重症度や生活への影響を軽減することはありません2,3。胆汁うっ滞性そう痒症は、睡眠障害、疲労、生活の質の低下をもたらし、患者さんを衰弱させる深刻な影響を及ぼす疾患であり、肝不全がなくとも肝移植を必要とする可能性も示唆されています3,4

リネリキシバット(Linerixibat:GSK2330672)について
リネリキシバットは、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)の阻害剤であり、原発性胆汁性胆管炎(PBC)というまれな自己免疫性肝疾患でみられる胆汁うっ滞性そう痒症(かゆみ)を治療できる可能性がある経口薬として開発されています。リネリキシバットは、胆汁酸の再吸収を阻害することにより、循環血中のさまざまな起痒物質を減少させます。米国食品医薬品局と欧州医薬品庁はリネリキシバットを、PBCにおける胆汁うっ滞性そう痒症の治療を適応とした希少疾病用医薬品に指定しています。

GLISTEN試験について
GLISTEN試験は、胆汁うっ滞性そう痒症を有する238人のPBC患者さんを対象として、実薬群とプラセボ群に均等に割り付けた(各群n=119)、第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験です(NCT04950127、GSK試験番号212620)。主要な解析では、リネリキシバットの有効性および安全性をプラセボと比較して評価しました。中等度から重度のそう痒症を有する参加者が登録されました。参加者はリネリキシバットまたはプラセボのいずれかの投与を受けたのち、試験のパートBに移行すると投与群が変わる場合もありました。主要評価項目及び副次評価項目として、0-10の数値評価スケールを用いた最大のかゆみ及びかゆみに関連した睡眠障害の評価を実施しました。試験中はガイドラインで推奨されているそう痒症治療を安定した用量で継続することが許容されました。本試験はPBC患者さんを対象とした国際共同臨床試験として初めて米国、欧州連合、中国および日本を含む世界19カ国において実施・完了した試験です。

GSKの肝臓領域における取り組み
GSKは、肝疾患患者さんのために複数の治療法の可能性を研究しています。原発性胆汁性胆管炎(PBC)に加え、慢性B型肝炎、アルコール関連肝疾患(ALD)、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に対する治療法の可能性を研究しています。

GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするグローバルなバイオ医薬品企業です。詳しくはhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Gungabissoon U, et al. BMJ Open Gastroenterol 2024; 11(1)
2 Carbone M, et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2018 Jul 13;3(9):626–634
3 Smith 2025; Hepatol Commun.9(3):e0635
4 Lindor KD, et al. Hepatology. 2019;69(1):394-419