GSKのJemperli(ドスタルリマブ)と化学療法の併用療法における、初発進行または再発の子宮体がんを有する全ての成人患者さんを対象とした適応拡大について欧州医薬品庁が承認

  • 適応拡大には、子宮体がん症例の約75%を占めるMMRp/MSS腫瘍が含まれる

  • 本承認は、第III相RUBY試験パート1の結果に基づいており、Jemperliと化学療法との併用療法における全生存期間の中央値は44.6カ月であったのに対し、化学療法単独では28.2カ月

  • Jemperliと化学療法との併用療法は、全患者集団において統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるOS延長効果を示すがん免疫療法

 


この資料は、英国GSK plcが2025年1月20日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、Jemperli(ドスタルリマブ)と化学療法(カルボプラチンおよびパクリタキセル)との併用療法を、全身療法が適応となる初発進行または再発の子宮体がんの成人患者さんの一次治療として欧州委員会が承認したことを発表しました。本承認により、Jemperliと化学療法との併用療法の効能・効果が欧州連合(European Union:EU)で拡大され、ミスマッチ修復機能を有する(mismatch repair proficient:MMRp)/マイクロサテライト安定性(microsatellite stable:MSS)がんの患者さんが含まれるようになります。MMRp/MSSがんの患者さんは、子宮体がんと診断された患者さんの約75%を占めており、治療選択肢が限られています。

GSKのR&Dオンコロジー部門グローバルヘッドでシニアバイスプレジデントのヘシャム・アブドラ(Hesham Abdullah)は次のように述べています。
「初発進行または再発の子宮体がんを有する全ての患者さんに対し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間の延長を示すがん免疫療法がEUで初めて承認されました。Jemperliが、患者さんの治療に変化をもたらすことができることを嬉しく思います。」

デンマークのコペンハーゲン大学病院のチーフオンコロジストであり、RUBY試験の治験責任医師であるマンスール・ラザ・ミルザ(Mansoor Raza Mirza)氏は次のように述べています。
「臨床現場では、MMRp/MSSの初発進行または再発の子宮体がん患者さんの全生存期間に意味のある延長を示すがん免疫療法を、治療選択肢として何年も前から待ち望んでいました。今回の適応拡大は重要な進歩であり、現在、ミスマッチ修復機能欠損(mismatch repair deficient:dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability-high:MSI-H)のがんに苦しむ患者さんとMMRp/MSSのがんに苦しむ患者さんのいずれにも希望になります。」

本承認は、第III相RUBY試験パート1の結果に基づいています。本試験は、初発進行または再発の子宮体がんの全患者集団で臨床的に意義のあるかつ統計学的に有意な全生存期間(overall survival:OS)の延長効果を示す臨床試験であり、化学療法単独と比較して死亡リスクが31%低下しました(HR:0.69、95% CI:0.54~0.89)。

2.5年の時点での生存確率は、Jemperliと化学療法との併用療法群(245例)において61%(95% CI:54~67)であったのに対し、化学療法群(249例)では49%(95% CI:43~55)でした。さらに、Jemperliと化学療法との併用療法群では化学療法単独群と比較して、OS中央値は16.4カ月の延長が認められました(前者が44.6カ月[95% CI:32.6~NR]、後者が28.2カ月[95% CI:22.1~35.6])。なお、追跡期間の中央値は3年を超えています1。RUBY試験パート1の安全性と忍容性の解析によると、Jemperliとカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用投与したときの安全性プロファイルは、個々の薬剤の既知の安全性プロファイルと概ね一致していました。Jemperliと化学療法との併用療法において10%以上の頻度で発現した有害事象は、発疹、斑状丘疹状皮疹、甲状腺機能低下症、発熱、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加および皮膚乾燥でした。

OSデータは、2024年3月16日に米国婦人科腫瘍学会(SGO)の2024年女性がん年次総会(2024 SGO Annual Meeting on Women’s Cancer)において発表され、その後2024年6月9日にAnnals of Oncology誌へ掲載されました。Jemperliの米国での適応は、2024年8月に初発進行または再発の全ての成人子宮体がん患者さんに拡大されました。

子宮体がんについて
子宮体がんは、子宮内膜と呼ばれる子宮の内壁に発生するがんです。子宮体がんは先進国で最も多くみられる婦人科がんで2、病期を問わず子宮体がんとともに生きる人が160万人いると推定されています3。また世界では毎年約417,000件の新規症例が報告されており3、発生率は2020~2040年に約40%上昇すると予想されています4。欧州では、毎年約121,000人が初発進行または再発の子宮体がんと診断されると推定されています5。子宮体がんの患者さんのうち約15~20%が診断時に進行がんと診断され6、初発進行または再発の子宮体がんの患者さんのうち約70〜75%がMMRpまたはMSSの子宮体がんとされています7

RUBY試験について
RUBY試験は、初発進行または再発の子宮体がんの785人の患者さんを対象とした国際共同無作為化二重盲検多施設共同第III相試験であり、2つのパートで構成されています。パート1では、ドスタルリマブをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にドスタルリマブを投与した群を、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与した群と比較評価しています。パート2では、ドスタルリマブをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にドスタルリマブとニラパリブを併用投与した群を、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与した群と比較評価しています。

パート1の主要評価項目は、PFS(治験担当医師が「固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)」v1.1に基づいて判定)とOSの2つです。統計解析計画書では、事前に規定したdMMRまたはMSI-Hの患者集団および全患者集団におけるPFS、ならびに全患者集団におけるOSの解析を含めていました。また、MMRpまたはMSSの患者集団におけるPFSおよびOS、ならびにdMMRまたはMSI-Hの患者集団におけるOSについても事前に規定した探索的解析を実施しました。RUBY試験パート1では、臨床試験から除外されることが多い組織型も含め幅広い集団を対象とし、約10%をがん肉腫、20%を漿液性がんが占めていました。

パート2の主要評価項目として、治験担当医師の評価によるPFSとし、全患者集団の次にMMRpまたはMSSの集団の順番で評価することとしました。また全患者集団のOSを主要な副次的評価項目としました。またパート1およびパート2の副次的評価項目は、PFS(盲検下独立中央判定による)、PFS2、全奏効率、奏効期間、疾患コントロール率、患者さんの報告によるアウトカム、安全性および忍容性としました。

RUBY試験は、欧州婦人科腫瘍学会(ESGO)の研究ネットワークであり、欧州31カ国、22の臨床試験グループが共同で試験を実施している欧州婦人科腫瘍治験ネットワーク(ENGOT)および婦人科腫瘍領域の標準治療の変革を目的とする非営利組織であるGOG財団との国際共同試験の一環として実施しています。

Jemperli(ドスタルリマブ)について
Jemperliはプログラム細胞死1(programmed death receptor-1、以下PD-1)受容体阻害薬であり、GSKが現在実施中の腫瘍免疫領域の研究開発プログラムにおいて中核に据えられています。臨床試験プログラムとして、婦人科がん、大腸がん、肺がんを対象にJemperliの単剤療法や他の治療との併用投与を検討する試験などを行っており、これらの試験から革新的な結果が生まれる可能性を秘めています。

米国では、Jemperliをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用療法に続くJemperliの単剤療法が、MMRpまたはMSSならびにdMMRまたはMSI-Hのがん患者さんを含む初発進行または再発の成人子宮体がん患者さんの治療に適応となっています。また、Jemperliは、米国FDAの承認を受けた検査においてdMMRと判定された再発または進行の子宮体がんの成人患者さんで、プラチナ製剤を含むレジメンでの治療中または治療後に進行が認められ、根治手術または放射線療法の対象とならない患者さんへの治療として承認されています。さらに米国では、FDAが承認した検査でdMMRと判定された再発または進行固形がん患者さんのうち、前治療中または治療後に進行が認められ、十分な代替治療がない患者さんに対してもJemperliが適応とされています。本適応は、腫瘍縮小効果が認められた患者さんの割合および効果の持続性を根拠として、米国で迅速承認されました。検証的試験で臨床上の有効性を実証することができれば、固形がんに対する本適応の承認が継続されます。

JemperliはAnaptysBio社で開発され、2014年3月に署名された共同独占的ライセンス契約によりTESARO, Inc.社が権利を有しています。上記契約に基づきGSKは、JemperliおよびTIM-3拮抗薬であるcobolimab(GSK4069889)に関し、進行中の研究、開発、商品化、製造に責任を負っています。

 

GSKのオンコロジー領域における取り組み
GSKは新たな治療領域としてオンコロジー領域に注力しており、がん免疫療法および腫瘍細胞標的療法の画期的な治療法の開発を通じて、血液悪性腫瘍、婦人科がん、その他固形腫瘍領域を中心に、患者さんの予後改善に向けて取り組んでいます。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Powell MA, Bjørge L, Willmott L, et al. Overall survival in patients with endometrial cancer treated with dostarlimab plus carboplatin-paclitaxel in the randomized ENGOT-EN6/GOG-3031/RUBY trial, Annals of Oncology.2024. doi: https://doi.org/10.1016/j.annonc.2024.05.546.
2 Faizan U, Muppidi V. Uterine Cancer. [Updated 2022 Sep 5]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2022 Jan. Available at: www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562313/.
3 Sung H, Ferlay J, Siegel R, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
4 International Research on Cancer. Global Cancer Observatory. Cancer Tomorrow. Gco.iarc.fr/tomorrow/en/dataviz/. Accessed 04 October 2024.
5 Concin N, Matias-Guiu X, Vergote I, et al ESGO/ESTRO/ESP guidelines for the management of patients with endometrial carcinoma International Journal of Gynecologic Cancer 2021;31:12-39.
6 CMP: CancerMPact® Patient Metrics Mar-2023, Cerner Enviza. Available at www.cancermpact.com. Accessed 18 December 2024.
7 Based on CMP:CancerMPact® [Patient Metrics], Cerner Enviza. Available from www.cancermpact.com. Accessed 18 December 2024.