GSK、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんを対象としたdepemokimabの第III相臨床試験ANCHOR試験の良好な結果を発表

  • 52週時点でプラセボと標準治療の併用と比較して鼻茸の大きさと鼻閉症状スコアについて統計学的に有意な減少を示し、主要評価項目を達成

  • depemokimabは、6カ月に1回の投与間隔による長時間作用型の生物学的製剤

  • 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんの多岐にわたる症状は過小評価されることが多く、現在の治療には課題が残されている

 


この資料は、英国GSK plcが2024年10月14日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の成人患者さんを対象にdepemokimabの有効性および安全性をプラセボと比較して評価した第III相臨床試験ANCHOR-1およびANCHOR-2において、良好な結果が得られたことを発表しました。52週時点の内視鏡検査における鼻茸スコアのベースラインからの変化量と、49週目から52週目の鼻閉症状スコアのベースラインからの平均変化量を2つの主要評価項目とし、両試験ともこれらを達成しました。両試験における治験薬投与下で発現した有害事象の全体的な発現割合と重症度は、depemokimab群とプラセボ群で同程度でした。現在、これらのデータの更なる解析を進めており、ANCHOR-1およびANCHOR-2の詳細な結果は、今後開催される学会で発表予定です。

シニアバイスプレジデントで呼吸器・免疫領域のR&Dグローバルヘッドのカイヴァン・カヴァンディ(Kaivan Khavandi)は、次のように述べています。
「世界では多くの患者さんがコントロール不良の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に苦しんでいます。その多くが2型炎症マーカーを示しています。こうした患者さんでは全身性のコルチコステロイドを使用し、手術後に鼻茸の再発を経験することが多くみられます。depemokimabが鼻茸の形成と鼻閉の症状に関わる主要な炎症経路を標的とし、これを持続的に抑制できる可能性を示したANCHOR試験の結果に大変勇気づけられています。今回得られたデータは、重症喘息に関する第III相臨床試験データとともに、世界各国の規制当局への承認申請時に提出する予定です。」

depemokimabは半減期が長く、インターロイキン-5(interleukin-5:IL-5)に対する結合親和性と高い効力を有し、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんに6カ月に1回の投与間隔を可能にし得る、第III相試験で評価された初めての長時間作用型生物学的製剤です1-3。IL-5は、鼻茸組織に高レベルで発現し、2型炎症の主体となるサイトカイン(タンパク質)です1,4-7

GSKは鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎のような2型炎症性疾患の患者さんの治療目標の前進のために取り組んでおり、これらのデータはその一環です。疾患とその進行を促進する炎症を持続的に抑制することができれば、規定の投与スケジュールが守れないことによる炎症の再発リスクを減らすことで、患者さんと臨床医に利益をもたらす可能性があります。また投与間隔を延長できれば、定期的な通院の必要性も減少する可能性もあります。

鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は、一般人口の最大4%が罹患している慢性疾患であり、そのうちの術後の患者さんの40%では疾患がコントロール不良となっています8,9。これは鼻茸という、鼻粘膜の炎症による粘膜下組織の増殖によるものです4,10。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんでは、鼻閉、嗅覚消失、顔面圧迫、睡眠障害、感染症、鼻汁などの症状がみられ、これらは精神的および身体的健康に重大な影響を及ぼす可能性があります4,10

また、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんの最大80%に、2型気道炎症の所見が認められますが、血中好酸球数がバイオマーカーとなる場合が多く、これは疾患の重症度および症状と関連しています4-7,11。こうした患者さんの多くは、副鼻腔手術の既往がありますが、鼻茸の再発リスクが高くなっており、また経口コルチコステロイド(OCS)の使用頻度が高くなっています7,10,11

ANCHOR-1試験およびANCHOR-2試験のデータは、重症喘息患者さんを対象としたdepemokimabの第III相試験であるSWIFT-1試験およびSWIFT-2試験のデータとともに、世界各国の規制当局への承認申請時に提出する予定です。depemokimabは現在、いずれの国においても承認されていません。

ANCHOR-1、ANCHOR-2試験について1,2
ANCHOR-1およびANCHOR-2試験は、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんを対象にdepemokimabの安全性および有効性を評価する第III相臨床試験として、いずれも、52週間の無作為化、二重盲検、並行群間比較、プラセボ対照、多施設共同試験として実施しました。解析対象集団に含まれた患者さんの数は、ANCHOR-1試験のdepemokimab群で143例、プラセボ群で128例そして、ANCHOR-2試験のdepemokimab群で129例、プラセボ群で128例でした。

depemokimab開発プログラムについて
depemokimabは半減期が長く、IL-5に対して高い効力および高い結合親和性を有することから、6カ月に1回の投与により、広範な炎症機能を持続的に阻害できる可能性があります。第III相試験プログラムでは、IL-5が関与する他の疾患に対するdepemokimabの評価も行っています。こうした疾患には重症喘息3,12,13、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)13および好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)が含まれます14。重症喘息の患者さんを対象とした初の第III相試験であるSWIFT-1およびSWIFT-2試験については、New England Journal of Medicine誌に掲載されました3

呼吸器領域におけるGSKの取り組み
GSKは、何十年にもわたる呼吸器領域の先進的な取り組みを基盤とし、より意欲的な治療目標を達成し、次世代の標準治療を開発し、何億人もの呼吸器疾患の患者さんのために将来の呼吸疾患治療のあり方を変えていきます。業界をリードする呼吸器治療薬のポートフォリオとワクチン、生物学的標的製剤、吸入薬のパイプラインを有するGSKは、あらゆる種類の喘息やCOPDに加え、難治性の慢性咳嗽や間質性肺疾患を伴う全身性強皮症のような希少疾患とともに生きる患者さんの転帰と生活を改善することに注力しています。GSKは、基礎疾患の機能不全を改善し、疾患の進行を予防するために最新の科学技術を活用しています。


GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1. ClinicalTrials.gov. Efficacy and Safety of Depemokimab (GSK3511294) in Participants With Chronic Rhinosinusitis With Nasal Polyps (ANCHOR-1). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05274750 Accessed Oct 2024
2. ClinicalTrials.gov. Efficacy and Safety of Depemokimab (GSK3511294) in Participants With Chronic Rhinosinusitis With Nasal Polyps (ANCHOR-2). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05281523 Accessed Oct 2024
3. Jackson DJ, et al. Six Monthly Depemokimab in Severe Asthma With an Eosinophilic Phenotype. NEJM. Published on September 9 at NEJM.org
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12. ClinicalTrials.gov. An Open-Label Extension Study of GSK3511294 (Depemokimab) in Participants Who Were Previously Enrolled in 206713 (NCT04719832) or 213744 (NCT04718103) (AGILE). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05243680 Last accessed May 2024.
13. ClinicalTrials.gov. A Study of GSK3511294 (Depemokimab) Compared With Mepolizumab or Benralizumab in Participants With Severe Asthma With an Eosinophilic Phenotype (NIMBLE). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04718389 Accessed May 2024.
14. ClinicalTrials.gov. Efficacy and Safety of Depemokimab Compared With Mepolizumab in Adults With Relapsing or Refractory Eosinophilic Granulomatosis With Polyangiitis (EGPA). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05263934 Accessed May 2024.