GSKのgepotidacin、成人および青年期女性を対象とした単純性尿路感染症の治療薬の申請が米国FDAの優先審査として受理

  • 主要な第III相試験(EAGLE-2およびEAGLE-3)の良好な結果に基づく承認申請

  • 米国FDAの審査終了予定日は2025年3月26日を予定

  • gepotidacinが20年超ぶりの単純性尿路感染症に対する新規作用機序を有する経口抗菌薬となる可能性

 


この資料は、英国GSK plcが2024年10月16日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、成人女性(40kg以上)および青年期女性(12歳以上、40kg以上)の単純性尿路感染症(uncomplicated urinary tract infection:uUTI)に対する新規作用機序を有する経口抗菌薬であるgepotidacinの新薬承認申請(New Drug Application:NDA)について、米国食品医薬品局(FDA)が受理したことをお知らせします。

FDAは本申請を優先審査とし、処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act:PDUFA)による審査終了予定日を2025年3月26日としました。

女性の半数以上が生涯で一度は単純性尿路感染症を発症し1、約30%の女性がuUTIの再発に苦しんでいます2。不快感や日常生活の制限など、患者さんは大きな負担を強いられています。現在使用されている抗菌薬に対する耐性率は高まっており、uUTI患者さんに対する経口抗菌薬の治療選択肢が少なくなっていることから3、新たな治療薬の開発が必要とされています。gepotidacinは、GSKの感染症薬のポートフォリオの開発後期にある感染症薬であり、uUTIに対する新規作用機序を有する経口抗菌薬として、20年超ぶりの新薬となる可能性があります。

本申請は、主要な第III相試験(EAGLE-2およびEAGLE-3)の良好な結果に基づいています。uUTIに対する標準治療薬であるニトロフラントインに感性の尿路病原細菌による成人女性(40kg以上)および青年期女性(12歳以上、40kg以上)のuUTI患者さんを対象とした本試験において、ニトロフラントインに対するgepotidacinの非劣性が示されました。EAGLE-3試験では、gepotidacinのニトロフラントインに対する統計学的に有意な優越性が示され、ニトロフラントインの治療成功率が43.6%(115/264例)であるのに対し、gepotidacinの治療成功率が58.5%(162/277例)でした(治療群間差14.6%、95%CI:6.4~22.8)。EAGLE-2試験では、gepotidacinの治療成功率は50.6%(162/320例)であったのに対し、ニトロフラントインでは47.0%(135/287例)でした(治療群間差4.3%、95% CI:-3.6、12.1)。

第III相試験(EAGLE-2およびEAGLE-3)でみられたgepotidacinの安全性および忍容性プロファイルは、過去のgepotidacinの試験の結果と一致していました。gepotidacinの治療を受けた患者さんで最も多く報告された有害事象は胃腸障害でした。最も多く報告された有害事象は下痢で(16%)、次いで悪心(9%)でした。gepotidacinの治療を受けた患者さんのうち、胃腸障害の有害事象が報告された患者さんでの最大重症度は、そのほとんどが軽度(グレード1、69%)および中等度(グレード2、28%)でした。グレード3の胃腸障害が報告された患者さんは、胃腸障害が報告された患者さんの3%で、全ての患者さんの1%未満でした。両試験をあわせて、治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象が、各治療群(gepotidacin群およびニトロフラントイン群)で1件認められました。

gepotidacinの開発は、米国保健福祉省の戦略的準備・対策局の生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)のフェデラルファンド(契約番号HHSO100201300011C)および米国国防総省の国防脅威削減局のフェデラルファンド(契約番号HDTRA1-07-9-0002)より資金提供を受けて行われています。

EAGLE(Efficacy of Antibacterial Gepotidacin Evaluated)第III相プログラムについて
成人および青年期の患者さんを対象としたgepotidacinの国際共同第III相臨床プログラムは、3つの試験で構成されています。

EAGLE-2試験およびEAGLE-3試験(単純性尿路感染症の非劣性試験)は、単純性尿路感染症の成人女性患者さん1,531例と青年期女性患者さん1,605例を対象に、gepotidacin(1,500mgを1日2回5日間経口投与)の有効性と安全性をニトロフラントイン(100mgを1日2回5日間経口投与)と比較しています。いずれの試験も治験期間は約28日間です。主要評価項目は、ニトロフラントインに感受性を持つ適格な尿路病原細菌を有する患者さんでの治癒判定(Test-of-Cure:ToC)来院時(Day10~13)の臨床的消失および細菌学的消失を指標とした複合評価項目です。EAGLE-1試験(泌尿生殖器の淋菌感染症の非劣性試験)は、単純性淋菌感染症患者さん628例を対象として、gepotidacinの有効性と安全性を、セフトリアキソンとアジスロマイシンの併用と比較しています。

gepotidacinについて
gepotidacinは、GSKの科学者により発見され開発が進められている新規抗菌薬です。他の抗菌薬とは異なる作用機序によって細菌のDNA複製を阻害する、新規の作用機序を有する抗菌薬であり、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素に結合してバランスよく阻害します。これにより、既存薬への耐性を示す分離株を含む、ほとんどの尿路病原細菌(大腸菌および腐性ブドウ球菌など)や淋菌に対して抗菌活性を示します。有効性および安全性は、薬剤耐性菌によるものも含むuUTIおよび淋菌感染症の患者さんを対象とした第III相臨床試験において確認されています。また、gepotidacinは、2つの標的酵素にバランスよく結合し阻害することから、病原菌がgepotidacinに対する耐性を獲得するためには、両酵素の変異が必要となります。

GSKの感染症領域における取り組み
70年以上にわたり感染症領域でのイノベーションをリードしているGSKは、業界最大かつ最も多様な医薬品およびワクチンのパイプラインを有している企業のひとつで、世界的にアンメットニーズの高い疾患に対する予防と治療薬の開発を目指しています。GSKは、イノベーション、アクセス、適正使用における専門知識と能力をもとに、抗菌薬耐性の予防とその軽減という課題に取り組んでいます。

抗菌薬ではgepotidacinに加え、Spero Therapeutics Inc.社との間で、複雑性尿路感染症(complicated urinary tract infections:cUTI)の治療薬候補として開発後期段階の抗菌薬であるテビペネムHBrをパイプラインに追加する独占的ライセンス契約を2022年9月に締結しました。GSKは現在、第III相試験であるPIVOT-PO試験の組入れを行っています。また、SCYNEXIS社との間で、外陰腟カンジダ症(vulvovaginal candidiasis:VVC)の治療およびVVCの再発率低下を適応とした新規の抗真菌薬であるBrexafemme(ibrexafungerp錠)に対する独占的ライセンス契約を2023年3月に締結しました。

GSK(グラクソ・スミスクライン)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Czajkowski, K., et al. Urinary tract infection in women.Prz Menopauzalny.2021;20(1):40-7.
2 Little P, Merriman R, Turner S, et al. Presentation, pattern, and natural course of severe symptoms, and role of antibiotics and antibiotic resistance among patients presenting with suspected uncomplicated urinary tract infection in primary care: observational study.BMJ.2010;340:b5633.
3 Kaye KS, et al. Antimicrobial resistance trends in urine Escherichia coli isolates from adult and adolescent females in the United States from 2011 to 2019: rising ESBL strains and impact on patient management.Clin Infect Dis 2021;73:1992-1999. doi: 10.1093/cid/ciab560.