GSK、ヌーカラの鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎における成人を対象とした効能・効果追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得

  • ヌーカラは本適応症で、4週間ごとに1回投与する日本初かつ唯一の抗IL-5抗体製剤

  • 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は患者さんに身体的および心理的に大きな負担をもたらす

  • IL-5が病態に関与する疾患において、ヌーカラとして日本で3つ目の適応追加

グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、本日、抗インターロイキン-5(IL-5)抗体薬である「ヌーカラ皮下注100mgペン」「ヌーカラ皮下注100mgシリンジ」(一般名:メポリズマブ(遺伝子組換え)、以下「ヌーカラ」)について、成人における鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)に対する効能・効果追加のための製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことをお知らせします。

鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は世界の人口の1~4%が罹患しており1,2、そのうち40%の患者さんは既存治療で効果不十分な状態であるといわれています1,2。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんには、鼻閉塞、嗅覚の消失、顔面痛、睡眠障害、鼻汁などの症状が現れ、患者さんの心理的かつ身体的な健康に大きな影響を与えることがあります3。日本では、慢性副鼻腔炎患者さんは約200万人いるといわれており、そのうち鼻茸などを有することによる手術対象の患者さんが約20万人いると推定されています4

GSKのシニアバイスプレジデントおよび呼吸器・免疫部門のR&Dグローバルヘッドであるカイヴァン・カヴァンディは次のように述べています。
「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんに与える慢性的かつ重篤な影響は、しばしば過小評価されています。日本におけるヌーカラの本承認によって、手術や全身ステロイドに代わる新たな治療選択肢として患者さんへお届けできることとなります。」

GSK代表取締役社長のポール・リレットは次のように述べています。
「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は、限られた治療法しか存在しないにも関わらず再発を繰り返すことが多く、患者さんにとって身体的および心理的な負担が大きい疾患です。再発にも関与すると考えられる好酸球を、より選択的にコントロールできるヌーカラが新たな治療選択肢に加わることによって、日本の患者さんの生活の質が向上し、より快適な日々を過ごすことができるよう願っています。」

鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は、鼻腔の慢性炎症に起因して、副鼻腔や鼻腔内に発生する鼻茸と呼ばれる軟組織の増殖を引き起こします3。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんの約80%以上が2型炎症を有しており、これは疾患の重症度や鼻茸の再発と関連しています5-8。IL-5は、この2型炎症を促進する重要なサイトカインであり、鼻茸の組織内で多く存在します3,5-8。手術は鼻茸の除去に効果的であるものの、基礎となる2型炎症の存在により再発の傾向があります7,8

本承認は、日本人、中国人およびロシア人の既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんを対象として、52週にわたりヌーカラの有効性と安全性を検討した第III相MERIT試験の結果と、400人以上の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者さんを対象にヌーカラとプラセボの効果を比較検討した国際共同第III相SYNAPSE試験のデータに基づいています3,9

日本においてヌーカラは、6歳以上の小児および成人の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)の治療薬として、また、既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の成人患者さんの治療薬として承認されています。

 

MERIT試験について9
第III相MERIT試験の主要評価項目は、52週時の内視鏡検査における鼻茸スコアの合計のベースラインからの変化量、および52週時の直前4週間における鼻閉の視覚アナログ尺度(VAS)症状スコアの平均値のベースラインからの変化量としました1。ヌーカラの投与により、鼻閉のVAS症状スコアが有意に改善され(平均治療差:-1.43 [95% CI: -2.37, -0.50]; p=0.003)、52週時の鼻茸スコアの数値的な減少が示されました(-0.43 [-0.89, 0.03]; p=0.067)。また、患者さんの生活の質の指標となる鼻副鼻腔炎に関する自覚症状調査票(SNOT-22)において、ヌーカラはプラセボと比較してスコアの改善を示しました。安全性と忍容性については、ヌーカラの既知のプロフィールと一致していました3,5。ヌーカラおよびプラセボによる治療を受けた患者さんの有害事象(AE)は、それぞれ84例中68例(81%)および85例中65例(76%)で発生しました。また、治療関連のAEは全体で7例(プラセボ:5例、ヌーカラ:2例)でいずれも重篤なAEではありませんでした。

ヌーカラ(メポリズマブ)について
米国で2015年に初めて重症好酸球性喘息(Severe eosinophilic asthma: SEA)に対して承認されたヌーカラは、好酸球の成熟と活性化に関与する主要なサイトカインであるIL-5を標的として結合する独自のモノクローナル抗体です。IL-5は、喘息や鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の発症に関与する好酸球というタイプの白血球の増殖、分化、活性化に重要な役割を果たしています10,11。また、IL-5が好酸球以外の他の細胞タイプにも影響を与え、気道疾患における炎症に寄与していることも示されています12-16。ヌーカラは直接IL-5分子に結合し、その活性を阻害します10,11。ヌーカラは、2型炎症に関連するさまざまなIL-5が病態に関与する疾患の治療薬として開発されました10,11

呼吸器領域におけるGSKの取り組み
GSKは、何十年にもわたる呼吸器領域の先進的な取り組みを基盤とし、より意欲的な治療目標を達成し、次世代の標準治療を開発し、何億人もの呼吸器疾患の患者さんのために将来の呼吸疾患治療のあり方を変えていきます。業界をリードする呼吸器治療薬のポートフォリオとワクチン、生物学的標的製剤、吸入薬のパイプラインを有するGSKは、あらゆる種類の喘息やCOPDに加え、難治性の慢性咳嗽や間質性肺疾患を伴う全身性強皮症のような希少疾患とともに生きる患者さんの転帰と生活を改善することに注力しています。GSKは、基礎疾患の機能不全を改善し、疾患の進行を予防するために最新の科学技術を活用しています。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。GSKは、免疫学、遺伝学、先端テクノロジーを駆使し、感染症、免疫・呼吸器疾患、オンコロジーをはじめとする疾患領域の研究開発に注力しています。そして、ワクチン、スペシャリティ医薬品、ジェネラル医薬品を通じて、病気の予防と治療に貢献します。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


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