GSKのJemperli(dostarlimab)と化学療法との併用療法について、初発進行または再発の子宮体がんを有する全ての成人患者さんへの適応拡大を米国食品医薬品局が承認

  • Jemperli(dostarlimab)と化学療法との併用療法は全生存期間の延長を示す初かつ唯一のがん免疫療法

  • 子宮体がんの大部分を占めるMMRp/MSSを有する患者さんへ適応拡大

  • Jemperliと化学療法の併用療法群で、化学療法単独群と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある31%の死亡リスク低下が示された

 


この資料は、英国GSK plcが2024年8月1日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細は https://www.gsk.comをご参照ください。


 

GSK(本社:英国)は、Jemperli(dostarlimab)とカルボプラチンおよびパクリタキセル(化学療法)との併用、それに続くJemperliの単剤療法は、初発進行または再発の子宮体がんの成人患者さんへの治療を適応として米国食品医薬品局(FDA)が承認したことを発表しました。Jemperliと化学療法との併用療法の適応拡大により、子宮体がんと診断された患者さんの70~75%を占める、治療選択肢が限られているミスマッチ修復機能(mismatch repair proficient、以下MMRp)またはマイクロサテライト安定性(microsatellite stable、以下MSS)を有するがん患者さんも対象となります。この適応拡大を裏付ける生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)は、優先審査指定を受けており、処方薬ユーザーフィー法に基づくFDA審査完了予定日に先立ち承認されました。

GSKのR&Dオンコロジー部門のグローバルヘッドでシニアバイスプレジデントのヘシャム・アブドラ(Hesham Abdullah)は次のように述べています。
「Jemperliと化学療法との併用療法は、初発進行または再発の子宮体がんの成人患者さんにおいて、バイオマーカーの状態にかかわらず、全生存期間の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した最初で唯一のがん免疫療法です。治療選択肢が限られていた中、子宮体がんと診断された患者さんの70~75%を占めるMMRp/MSSを有するがん患者さんも含め1、この治療選択肢を米国のより多くの患者さんへお届けできることを嬉しく思います。」

今回の適応拡大は、第III相のRUBY試験のパート1より得られた治験責任医師の評価による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)という2つの主要評価項目の結果に基づいています。RUBY試験パート1は、初発進行または再発の子宮体がんの患者さんの全体集団で、統計学的に有意なOS延長を示した唯一の臨床試験であり、化学療法単独と比較して死亡リスクが31%低下しました(HR:0.69、95% CI:0.54~0.89)。

2.5年の時点で生存率は、化学療法群では49%(95%CI:43~55)であったのに対し、Jemperliと化学療法との併用療法群では61%(95%CI:54~67)になりました。さらに、Jemperliと化学療法の併用群では化学療法単独群と比較してOS中央値で16.4カ月の改善が認められました[44.6カ月(95%CI:32.6~未達)対28.2カ月(95%CI:22.1~35.6)]。なお、追跡期間の中央値は3年を超えています2。またRUBY試験パート1の安全性および忍容性の解析において、Jemperliをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用したときの安全性プロファイルは、個々の薬剤の既知の安全性プロファイルと概ね一致していました。Jemperliと化学療法との併用療法群で主にみられた治験薬投与下で発現した有害事象(20%以上)は、悪心、脱毛症、倦怠感、末梢神経障害、貧血、関節痛、便秘、下痢、筋肉痛、発疹、低マグネシウム血症、食欲減退、末梢性感覚ニューロパチー、嘔吐でした。

ワシントン大学医学部婦人腫瘍科長であり、RUBY試験の米国担当治験責任医師であるマシュー・パウエル(Matthew Powell)医師は以下のように述べています。
「Jemperliと化学療法との併用療法の最初の承認時は、ミスマッチ修復機能欠損または高頻度マイクロサテライト不安定性を有する初発進行または再発の患者さんに対する診療のあり方を変えるものでした。今回の適応拡大により、さらに多くの患者さんの転帰の改善が期待されます。この治療法は、全患者集団において、統計学的に有意な全生存期間の延長を示した唯一のがん免疫療法であり、治癒困難な子宮体がんの治療における大きな前進です。」

がん経験者で、アフリカ系アメリカ人のための子宮体がん活動ネットワーク(Endometrial Cancer Action Network for African-Americans:ECANA)の設立メンバーであり会長のエイドリアン・ムーア(Adrienne Moore)は次のように述べています。
「Jemperliと化学療法との併用療法の適応拡大は、子宮体がんのコミュニティが待ち望んでいた新たな治療法をもたらしました。初発進行または再発の子宮体がん患者さんがより長く生存できる可能性があり、患者さんとそのご家族にとって希望となります。これは、がん患者さんや支援者の方々にとっても喜ばしいニュースであり、特に、子宮体がんと診断された米国のより多くの患者さんが新たな治療選択肢を持てるようになることを嬉しく思います。」

子宮体がんについて
子宮体がんは、子宮内膜と呼ばれる子宮の内壁に発生するがんです。子宮体がんは先進国で最も多くみられる婦人科がんで3、病期を問わず活動性疾患とともに生きる人が160万人いると推定されています4。また世界では毎年約417,000件の新規症例が報告されており4、発生率は2020~2040年に約40%上昇すると予想されています5。子宮体がんの患者さんのうち約15~20%が診断時に進行がんと診断され6、初発進行または再発の子宮体がんの患者さんのうち約70〜75%がMMRpまたはMSSを有する子宮体がんとされています1

RUBY試験について
RUBY試験は、初発進行または再発の子宮体がんの患者さんを対象とした国際共同無作為化二重盲検多施設共同第III相試験であり、2つのパートで構成されています。パート1では、dostarlimabをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にdostarlimabを投与した群を、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与した群と比較評価しています。パート2では、dostarlimabをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にdostarlimabとニラパリブを併用投与した群を、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与した群と比較評価しています。

パート1の主要評価項目は、PFS(治験責任医師が「固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)」v1.1に基づいて判定)とOSの2つです。統計解析計画書では、事前に規定したdMMRまたはMSI-Hの患者集団および全患者集団におけるPFS、ならびに全体集団におけるOSの解析を含めていました。また、MMRpまたはMSSの集団におけるPFSおよびOS、ならびにdMMRまたはMSI-Hの集団におけるOSについても事前に規定した探索的解析を実施しました。RUBY試験パート1では、臨床試験から除外されることが多い組織型も含め幅広い集団を対象とし、約10%をがん肉腫患者さん、20%を漿液性がん患者さんが占めていました。

パート2の主要評価項目として、治験責任医師の評価によるPFSを全患者集団、MMRpまたはMSSの集団の順に評価しました。また全患者集団のOSを主要な副次的評価項目としました。またパート1およびパート2の副次的評価項目は、PFS(盲検下独立中央判定による)、PFS2、全奏効率、奏効期間、疾患コントロール率、患者さんの報告によるアウトカム、安全性および忍容性としました。

RUBY試験は、欧州婦人科腫瘍学会(ESGO)の研究ネットワークであり、欧州31カ国、22の臨床試験グループが共同で試験を実施している欧州婦人科腫瘍治験ネットワーク(ENGOT)および婦人科腫瘍領域の標準治療の変革を目的とする非営利組織であるGOG財団との国際共同試験の一環として実施しています。

Jemperli(dostarlimab)について
Jemperliはプログラム細胞死1(programmed death receptor-1、以下PD-1)受容体阻害薬であり、GSKが現在実施中の免疫腫瘍領域の研究開発プログラムにおいて中核に据えられています。臨床試験プログラムとして、婦人科がん、大腸がん、肺がんを対象にJemperliの単剤療法や他の治療との併用投与を検討する試験などを行っており、これらの試験から革新的な結果が生まれる可能性を秘めています。

米国では、Jemperliをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用療法に続くJemperliの単剤療法が、MMRpまたはMSSならびにdMMRまたはMSI-Hを有するがん患者さんを含む初発進行または再発の子宮体がんの成人患者さんの治療に適応となっています。また、Jemperliは、米国FDAの承認を受けた検査においてdMMRと判定された再発または進行の子宮体がんの成人患者さんで、プラチナ製剤を含むレジメンでの治療中または治療後に進行が認められ、根治手術または放射線療法の対象とならない患者さんへの治療として承認されています。さらに米国では、FDAが承認した検査でdMMRと判定された再発または進行固形がん患者さんのうち、前治療中または治療後に進行が認められ、十分な代替治療がない患者さんに対してもJemperliが適応とされています。本適応は、腫瘍縮小効果が認められた患者さんの割合および効果の持続性を根拠として、米国で迅速承認されました。検証的試験で臨床上の有効性を実証することができれば、固形がんに対する本適応の承認が継続されます。

JemperliはAnaptysBio社で開発され、2014年3月に署名された共同独占的ライセンス契約によりTESARO, Inc.社が権利を有しています。上記契約に基づきGSKは、JemperliおよびTIM-3拮抗薬であるcobolimab(GSK4069889)に関し、進行中の研究、開発、商品化、製造に責任を負っています。

 

GSKのオンコロジー領域における取り組み
GSKは新たな治療領域としてオンコロジー領域に注力しており、がん免疫療法および腫瘍細胞標的療法の画期的な治療法の開発を通じて、血液悪性腫瘍、婦人科がん、その他固形腫瘍領域を中心に、患者さんの予後改善に向けて取り組んでいます。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Based on CMP:CancerMPact® [Patient Metrics], Cerner Enviza.Available from www.cancermpact.com.Accessed 12 Jun 2024.
2 Powell MA, Bjørge L, Willmott L, et al. Overall survival in patients with endometrial cancer treated with dostarlimab plus carboplatin-paclitaxel in the randomized ENGOT-EN6/GOG-3031/RUBY trial, Annals of Oncology.2024. doi: https://doi.org/10.1016/j.annonc.2024.05.546.
3 Faizan U, Muppidi V. Uterine Cancer. [Updated 2022 Sep 5].In: StatPearls [Internet].Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2022 Jan. Available at: www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562313/.
4 Sung H, Ferlay J, Siegel R, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries.CA Cancer J Clin.2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660
5 International Research on Cancer.Global Cancer Observatory.Cancer Tomorrow.Gco.iarc.fr/tomorrow/en/dataviz/.Accessed 12 Jun 2024.
6 CMP: CancerMPact® Patient Metrics Mar-2023, Cerner Enviza.Available at www.cancermpact.com.Accessed 12 Jun 2024.