GSK、ボトックスの上肢痙縮・下肢痙縮の小児における用法・用量追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得

  • 公知申請に基づき、上肢痙縮・下肢痙縮の小児(2歳以上)の用法・用量追加が承認

グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、本日、A型ボツリヌス毒素製剤「ボトックス注用50単位」、「ボトックス注用100単位」(以下ボトックス)について、公知申請*に基づき、上肢痙縮および下肢痙縮の2歳以上の小児における用法・用量追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことをお知らせします。

小児のボトックス治療において、海外では、ボツリヌス毒素製剤による小児の上肢痙縮および下肢痙縮に対する治療は診療ガイドラインに記述されており1、ボトックスを含むA型ボツリヌス毒素製剤による治療はレベルAの推奨がされています2。上肢痙縮および下肢痙縮の小児の適応については、オーストラリアで2008年に承認されて以降、小児の上肢痙縮については20ヵ国以上で、小児の下肢痙縮については60ヵ国以上で承認されています(2024年1月時点)。日本においては、2009年2月に「2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足」が承認されていますが、上肢痙縮および下肢痙縮(「2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足」を除く)は承認範囲外でした。このたびの承認は、小児における国内の使用実態や海外試験結果、国内外の公表文献、診療ガイドラインなどを基に、日本においても、上肢痙縮および下肢痙縮に対する小児患者さんに見合った適切な用法および用量の設定を行うため、公知申請*を行いました。なお、「2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足」は、本承認に伴い、下肢痙縮に統合されます。

(*)公知申請とは、効能又は効果等が医学薬学上公知であるとして、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく行う医薬品(効能・効果追加等)の承認申請のことです。

小児痙縮とボツリヌス療法について
痙縮は脳卒中や脳性麻痺、頭部外傷、脊髄損傷、多発性硬化症といった疾患に伴って発現します。このうち脳性麻痺は、小児の運動障害を生じる代表的な疾患のひとつであり、脳性麻痺児における痙縮の合併頻度は90%前後に上ることが報告されています3。また、小児の脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷といった疾患も、それぞれ痙縮を引き起こすことが知られています4,5,6。小児期における上下肢の痙縮は、運動障害に加えて二次的な関節の変形、拘縮、脱臼、側彎などを伴い、正常な発達を阻害し得るため7,8、これらの発症を予防するための早期治療が重要となります。

小児の痙縮に対して一般的に行われている複数の治療法の中で、ボツリヌス療法は、神経の末端で神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害することで、過剰な筋活動を軽減する作用があります。標的とする筋肉内に簡便な手法で局所投与され、感覚神経障害を引き起こさずに運動神経終末のみに作用する神経ブロック療法の1つとして国内外のガイドラインで推奨されています。国内における診療ガイドラインにおいて、ボツリヌス療法は小児の痙縮の治療法として唯一、推奨グレードAの評価を得ています8

ボトックスについて
ボトックスは2024年1月現在、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアを含む世界の100ヵ国以上で承認されています。日本においては、これまでに「眼瞼痙攣」、「片側顔面痙攣」、「痙性斜頸」、「上肢痙縮」、「下肢痙縮」、「重度の原発性腋窩多汗症」、「斜視」、「痙攣性発声障害」、「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」、「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁」の10の適応を取得しています。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。GSKは、免疫学、遺伝学、先端テクノロジーを駆使し、感染症、免疫・呼吸器疾患、オンコロジーをはじめとする疾患領域の研究開発に注力しています。そして、ワクチン、スペシャリティ医薬品、ジェネラル医薬品を通じて、病気の予防と治療に貢献します。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

本日、GSKの3製品で小児に関わる承認を同日取得しました

 


1 National Institute for Health and Care Excellence. Spasticity in under 19s: management. Clinical guideline(https://www.nice.org.uk/guidance/cg145). Last updated 29 November 2016.
2 Delgado MR, Hirtz D, Aisen M, et al. Practice parameter: pharmacologic treatment of spasticity in children and adolescents with cerebral palsy(an evidence-based review): report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology and the Practice Committee of the Child Neurology Society. Neurology. 2010;74:336-343.
3 Reid SM, Carlin JB, Reddihough DS. Distribution of motor types in cerebral palsy: how do registry data compare? Dev Med Child Neurol. 2011;53:233-238.
4 Bakheit AMO. Botulinum toxin in the management of childhood muscle spasticity: comparison of clinical practice of 17 treatment centres. Eur J Neurol. 2003;10:415-419.
5 van Rhijn J, Molenaers G, Ceulemans B. Botulinum toxin type A in the treatment of children and adolescents with an acquired brain iniury. Brain Inj. 2005;19:331-335.
6 平島 淑子, 二見 徹. 当センターにおけるボツリヌス治療の現状. 日小整会誌. 2014;23:398-401.
7 Odding E, Roebroeck ME, Stam HJ. The epidemiology of cerebral palsy: incidence, impairments and risk factors. Disabil Rehabil. 2006;28:183-191.
8 日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会, 日本リハビリテーション医学会脳性麻痺リハビリテーションガイドライン策定委員会編. 脳性麻痺リハビリテーションガイドライン(第2版), 金原出版, 東京, 2014.