GSK、薬剤耐性(AMR)に取り組むフレミング・イニシアティブの創設パートナーに

この資料は、英国GSK plcが2024年5月16日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2024年5月16日 英国ロンドン発>

GSK、薬剤耐性(AMR)に取り組むフレミング・イニシアティブの創設パートナーに

  • 科学、技術、臨床、政策、民間の専門家からなる新たなAMR治療の開発に取り組む世界的ネットワーク「フレミング・イニシアティブ(Fleming Initiative)」を支援するため、GSKは4,500万ポンドを拠出

  • AMRは緊急かつ世界的な公衆衛生の脅威であり、効果的な措置を講じなければ2050年までに年間1,000万人の死亡の可能性

  • GSKの感染症予防と治療の分野におけるリーダーシップと、インペリアル・カレッジ・ロンドンおよびインペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストの世界トップクラスの臨床と研究における専門知識が結集するパートナーシップを構築

GSK(本社:英国)は、「フレミング・イニシアティブ(Fleming Initiative)」の最初の創設パートナーになりましたことをお知らせします。フレミング・イニシアティブとは、インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストおよびインペリアル・カレッジ・ロンドンが主導する世界の薬剤耐性(antimicrobial resistance、以下AMR)の課題に対する革新的かつ協力的な取り組みです。

AMRは、世界保健機関(WHO)をはじめ、緊急かつ世界的な公衆衛生上の脅威として広く認識されています。薬剤耐性菌による感染症を直接の原因とする死亡は2019年では120万人と推定され、効果的な措置を講じなければ、2050年までに年間1,000万人もの人々がAMRによって死亡し、その結果、世界の経済損失は最大100兆ドルに達する可能性があります1

フレミング・イニシアティブのユニークで革新的な取り組みにより、世界レベルの科学、技術、政策、行動科学の専門知識が、世界の各拠点のネットワークでの臨床経験と結集され、AMRに対する解決策を見つけ、検証し、評価されます。

GSKによる4,500万ポンドの拠出は、AIなどの新技術を用い複雑な科学データをより良く解釈し利用するために活用され、新しい治療薬と治療法を開発するための新たな機会を特定し、薬剤耐性菌による感染症の感染経路や予防方法に関する理解を深め、感染症の検出と追跡を向上させるためのサーベイランスのアプローチを理解するために役立てられます。また、フレミング・イニシアティブは、適切な抗菌薬が必要とする人々に投与されるようにするための診断技術やAMRを減少させる行動変容を支援するための教育および市民参画にも重点を置きます。

フレミング・イニシアティブは、AMRの影響が最も大きい国々を重点的に支援します。これらの国々では貧困、気候変動、健康格差が薬剤耐性感染症による問題を悪化させています。これらの国々を支援し、大規模化を図る役割を担う初のフレミングセンター(Fleming Centre)は、1928年にアレクサンダー・フレミングがペニシリンを発見したロンドンのセント・メアリー病院に設置されます。本センターは、世界的な活動を推進するために、世界中の戦略上の各地域に設けた機関と緊密に連携します。

GSKは70年以上にわたり、抗菌薬を発見、製造し、患者さんにお届けしてきました。GSKの前身会社はペニシリンの研究と製造に重要な役割を果たし、第2次世界大戦中には英国のペニシリンの約80%を供給しました。現在GSKは、業界最大のAMRに関連する研究開発パイプラインを有しており、30種類以上の医薬品およびワクチンが開発段階にあり、そのうち12種類はWHOおよび米国疾病管理予防センターが「重要」または「緊急」と判断した病原体を標的としています。

GSK最高経営責任者(CEO)のエマ・ウォームズリーは次のように述べています。
「これは、GSKにとってAMRへの長年にわたるコミットメントと疾病予防に注力する重要な協力関係になると考えます。フレミング・イニシアティブは、多様な分野から世界的なリソースと専門知識を結集することで、増大する脅威の要因をより良く理解し、そして最も重要なこととして、行動と解決策を推進していくものになるでしょう。私たちは創設パートナーであることを誇りに思い、他の方々にもこの緊急の優先課題への対処を支援していただけることを願っています。」

本パートナーシップで合意されたGSKのコミットメントについては、英国保健省と英国王立協会が5月16日に開催したAMRに対処するための世界的な取り組みとイニシアティブを称えるイベントにおいて、フレミング・イニシアティブの委員長でインペリアル・カレッジ・ロンドン教授のアラ・ダルジ卿とGSKのCEOエマ・ウォームズリーによって発表されました。フレミング・イニシアティブ創設を呼びかける後援者であるプリンス・オブ・ウェールズの参画も予定されています。

フレミング・イニシアティブの委員長のアラ・ダルジ卿(Lord Darzi)は次のように述べています。
「アレクサンダー・フレミングの驚くべき発見は、産業界とのパートナーシップを通じて世界に恩恵をもたらしました。彼の画期的な発見から100周年を迎える今、GSKがフレミング・イニシアティブの創設パートナーとなり、GSKの貴重な専門知識と経験の活用を通じて、組織的な活動を確実なものとし、そして将来の世代を守れるようになっていくことを喜ばしく思います。」

インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストの最高経営責任者であるティム・オーチャード教授(Tim Orchard)は次のように述べています。
「薬剤耐性は、依然として、NHSをはじめ世界中の医療機関が直面している最大の課題のひとつです。感染症治療に対する実績を有する世界的なバイオファーマ企業に支援いただけることは、薬物耐性感染症に対処するための新たな解決策や治療法を見出すという私たちの目標を大きく後押しします。アレクサンダー・フレミング卿が100年近く前にペニシリンを発見したセント・メアリー病院に本部を置くフレミングセンターは、フレミング・イニシアティブの中核になるとともに、急速に拡大する研究とイノベーションのエコシステムの一部として、地域社会や国際社会双方に利益をもたらすでしょう。」

インペリアル・カレッジ・ロンドンの学長のヒュー・ブレイディ教授(Hugh Brady)は、次のように述べています。
「薬剤耐性は、人類が直面する極めて深刻な課題のひとつです。社会的関与、政策研究、収斂科学に関する素晴らしい実績をもつインペリアル・カレッジ・ロンドンがこの課題に正面から取り組むことがフレミング・イニシアティブから期待されていると考えます。重要なことは、フレミング・イニシアティブが、GSKのような大手製薬企業、研究助成機関、慈善家、医療機関、政府との前例のない規模のパートナーシップを伴う世界的なイニシアティブであるということです。」

英国保健大臣のアンドルー・スティーブンソン(Andrew Stephenson)は次のように述べています。
「私たちの社会にとって最大の脅威のひとつであるAMRの問題に対処するための世界的な取り組みについて、民間企業が支援することは素晴らしいことです。国際社会を守るために世界的に誇れる科学、研究、技術を結集したフレミング・イニシアティブによる輝かしい成果の実現を支援するために、GSKが多大な資金を提供されたことを称賛します。」

薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)について
AMRは、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫を含む微生物が時間の経過とともに変化し、社会的にこれらの治療や予防に用いられる薬剤や治療法に効果がなくなることです。AMRに対処するための措置が緊急に実施されなければ、その影響は甚大なものになり、合併症を伴わない感染症や軽微な外傷でも生命を脅かす可能性があります。

AMRによって毎年100万人以上の命が奪われており、結核、大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌など主な死因となる感染症の治療がますます困難になります。

ヒトや家畜における抗生物質やその他の抗菌薬の誤用と過剰使用が広く行われるために薬剤耐性を持つ微生物が世界中で急速に広がってしまうことがその一因です。AMRに効果的に対処するためには、科学の急速な進歩だけでなく、世界的な認識の高まりや行動の変化が必要です。

フレミングセンター(Fleming Centre)について
フレミング・イニシアティブの世界的ネットワークの中心に位置するフレミングセンターは、2028年にロンドンのセント・メアリー病院に設置される予定です。本センターは、アレクサンダー・フレミング卿が本病院でペニシリンを発見してから100周年を記念するものです。プリンス・オブ・ウェールズのウィリアム皇太子殿下は、フレミング・イニシアティブ創設の呼びかけの後援者として、今後4年間にわたり、フレミング・イニシアティブのプログラムの国際本部設立のための取り組みを支援します。インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストとインペリアル・カレッジ・ロンドンのパートナーシップにより設立されるフレミングセンターは、最先端の研究、市民参画、政策立案者と協働しながら、世界的な変化を推進します。

インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)について
インペリアル・カレッジ・ロンドンは、世界トップ10の大学であり、世界的に高い評価を受けています。学生22,000人と職員8,000人で、科学、医学、工学、ビジネスにおける重要な課題の解決に取り組んでいます。クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds:QS)による世界大学ランキングで6位(2024年)、タイムズ・ハイアー・エデュケーションの世界大学ランキングでは8位(2024年)です。また、2021年の英国の研究評価枠組み(Research Excellence Framework:REF)では世界を牽引する研究の割合が英国の他のどの大学よりも高く、2023年の教育評価枠組み(Teaching Excellence Framework:TEF)では金賞を受賞しました。そして、デイリー・メイルの2024年版大学ガイド(Daily Mail University Guide 2024)では「今年の大学」(University of the Year)、また、タイムズ&サンデータイムズ紙の2024年版イギリス大学ガイド(Times and Sunday Times Good University Guide 2024)では「今年の大学(卒業後就職)」(University of the Year for Graduate Employment)に選出されました。COVID-19への対応に関して女王記念賞(Queen’s Anniversary Prize)も受賞しています。詳細情報はhttps://www.imperial.ac.uk/をご参照ください。

インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラスト(Imperial College Healthcare NHS Trust)について
インペリアル・カレッジ・ヘルスケアは、イングランドで最大のNHSトラストのひとつで、15,000人以上の職員が、年間100万人以上に急性期医療および専門医療を提供しています。また、ロンドン中心部および西部で5つの病院(チャリング・クロス、ハマースミス、クイーン・シャーロット・アンド・チェルシー、セント・メアリー、ウェスタン・アイ)を運営しています。また、インペリアル・カレッジ・ロンドンと提携し、英国国立保健研究所インペリアル生物医学研究センター(National Institute for Health and Care Research Imperial Biomedical Research Centre)も運営しています。詳細情報はwww.imperial.nhs.ukをご参照ください。

GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。

 


1 World Health Organization Report (15 May 2023). https://www.who.int/news/item/15-05-2023-new-who-report-highlights-progress-but-also-remaining-gaps-in-ensuring-a-robust-pipeline-of-antibiotic-treatments-to-combat-antimicrobial-resistance-(amr)