GSK、バイオ医薬品企業のAiolos Bio社を買収

この資料は、英国GSK plcが2024年1月9日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2024年1月9日 英国ロンドン発>

GSK、バイオ医薬品企業のAiolos Bio社を買収

  • 第II相試験開始可能な段階にある、臨床的に確立されたTSLP経路を標的とする長時間作用型の抗体AIO-001の追加により、GSKの呼吸器パイプラインを補強

  • AIO-001は、6カ月ごとの投与により、標準治療を再定義しうる可能性

  • GSKの呼吸器領域の生物学的製剤ポートフォリオの拡充により、喘息患者さんにより幅広い治療選択肢を提供しうる可能性

GSK(本社:英国)およびAiolos Bio社(以下、Aiolos社)は、GSKがAiolos社を買収する契約を締結したことを発表しました。Aiolos社は、特定の呼吸器および炎症性疾患の患者さんのアンメットメディカルニーズを満たすことに取り組む、臨床開発段階のバイオ医薬品を扱う企業です。本契約によって、GSKは契約一時金として10億ドルを支払い、また特定の薬事上のマイルストーン達成に応じて最大4億ドルを支払います。

この買収により、GSKは、Aiolos社のAIO-001を入手することになります。本剤は、ベストインクラスの治療薬となりうる可能性のある長時間作用型の胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)モノクローナル抗体であり、成人の喘息患者さんを対象として第II相試験を開始できる段階にあります。また、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎などの治療薬としても有望と考えられています。Aiolos社は、Jiangsu Hengrui Pharmaceuticals社(以下、Hengrui社)より、AIO-001の独占的ライセンスを中華圏以外で取得していました。

GSKチーフ・サイエンティフィック・オフィサーのトニー・ウッド(Tony Wood)は次のように述べています。
「GSKは呼吸器系の医薬品、特にIL-5によって引き起こされる好酸球の増加やType2炎症を伴う疾患に対する医薬品開発において、豊富な実績と深い専門知識を有しています。今回の買収により、TSLPを標的とした、ベストインクラスの治療薬となりうる可能性のあるAIO-001が加わることによって、GSKの呼吸器における生物学的製剤のポートフォリオで対応できうる範囲が拡大します。これにより、依然として新しい治療選択肢が必要な重症喘息患者さんのうち40%を占める、Type2炎症が優位ではない患者さんを治療対象としうる可能性があります1。」

TSLPを標的とすることで、主要なアレルギー性および炎症性疾患における炎症反応の促進因子を対象とした開発ができるようになります。TSLPは、バイオマーカーの状態に関係なく、喘息治療を可能とする標的として臨床的に確立されています。AIO-001の初期の試験では、健康な成人および喘息患者さんにおける初期の安全性、忍容性、薬物動態および生物学的活性が検討されました。さらにAIO-001は、効力を高めるための技術および半減期を延長する技術により、6カ月間隔の投与となる見込みがあり、標準治療を再定義しうる可能性があります。

GSKは、好酸球の増加や優位なType2炎症を示す喘息患者さんの治療を適応とした生物学的製剤をはじめとして、さまざまな呼吸器疾患を治療する医薬品および治験薬のポートフォリオを有し、業界をリードしています。AIO-001が加わることで、GSKの呼吸器ポートフォリオは、およそ3億1,500万人の喘息患者さんのうちType2炎症が優位ではない方を含めより幅広い患者さんに対し、バイオマーカーの状態によらず生物学的製剤の選択肢を提供できることになります2

Aiolos Bio社の最高経営責任者(CEO)キュレム・ファルーク(Khurem Farooq)は次のように述べています。
「当社の長時間作用型抗TSLPモノクローナル抗体であるAIO-001に高い可能性があることから、今回の契約締結に至りました。数十年におよぶ呼吸器疾患治療薬の開発経験があり、患者さんの生活を改善するという当社と共通のコミットメントをもつ業界のリーダーであるGSKと協力することにより、本剤の開発が加速され、患者さんの治療負担が大幅に軽減されることを期待しています。」

財務上の考慮事項
合意条件に基づき、GSKは契約一時金として10億ドルを支払い、また特定の薬事上のマイルストーン達成に応じて最大4億ドルが支払われます。また、GSKは、マイルストーン達成に応じた支払いに加えて、段階的なロイヤリティをHengrui社に支払う責任を負います。

本取引は、米国のハート・スコット・ロディノ法(Hart-Scott-Rodino Act)に基づく規制当局の承認を含め、慣習的な条件に従います。

Aiolos Bio社について
Aiolos社は、米国サンフランシスコと英国ロンドンを拠点とし、臨床開発段階にあるバイオ医薬品を扱う民間のバイオ医薬品企業として2023年に設立されました。呼吸器疾患の治療に変革をもたらすことを目的としています。

AIO-001について
AIO-001は新規のモノクローナル抗体であり、半減期が長く、効力によっても差別化がされていることから、6カ月間隔での投与が想定されます。AIO-001はヒトの胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)リガンドに結合することで、喘息を含む疾患における炎症の誘因に中心的な役割を果たすことが確認されているTSLPのシグナル伝達を阻害します。

呼吸器におけるGSKの取り組みについて
GSKは50年以上にわたり、呼吸器疾患管理を進歩させる薬剤の開発をリードしてきました。1969年の世界初となる選択的短時間作用型β刺激薬をはじめ、これまでに13種類の呼吸器疾患治療薬と6種類のワクチンを発売しており、現在のような業界をリードする呼吸器疾患の製品ポートフォリオを構築しています。GSKは、既存、新規を問わず呼吸器疾患の患者さんの転帰改善のために革新的な科学に投資し、何百万人もの患者さんの生活を改善できるよう、呼吸器科学のフロンティアを押し広げることに挑戦し続けています。

グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Frank C. Albers , Hana Müllerová , Necdet B. Gunsoy , Ji-Yeon Shin , Linda M. Nelsen , Eric S. Bradford , Sarah M. Cockle & Robert Y. Suruki (2018) Biologic treatment eligibility for real-world patients with severe asthma: The IDEAL study, Journal of Asthma, 55:2, 152-160.
2 To T, Stanojevic S, Moores G, Gershon AS, Bateman ED, Cruz AA, et al. . Global asthma prevalence in adults: findings from the cross-sectional world health survey. BMC Public Health (2012) 12:204.