GSKのJemperli(dostarlimab)と化学療法との併用療法について、dMMR/MSI-Hの原発性進行・再発の子宮体がんに対する初の一次治療のがん免疫療法として、欧州委員会が承認
この資料は、英国GSK plcが2023年12月11日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。
<2023年12月11日 英国ロンドン発>
GSKのJemperli(dostarlimab)と化学療法との併用療法について、dMMR/MSI-Hの原発性進行・再発の子宮体がんに対する初の一次治療のがん免疫療法として、欧州委員会が承認
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さらに、欧州委員会は、dMMR/MSI-Hの再発・進行性の子宮体がんの二次治療として、Jemperliを条件付き承認から完全承認に変更
GSK(本社:英国)は、ミスマッチ修復欠損(mismatch repair deficient、以下dMMR)もしくは高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability-high、以下MSI-H)の原発性進行・再発子宮体がん患者さんのうち、全身療法が適応される成人を対象にした、Jemperli(dostarlimab)とカルボプラチンおよびパクリタキセル(化学療法)の併用療法について、欧州委員会(European Commission、以下EC)が承認したことを発表しました。加えて、ECによる本適応の承認に伴い、dMMRもしくはMSI-Hの進行・再発性の子宮体がん患者さんのうち、プラチナ製剤を含むレジメンによる治療中またはその後に進行した成人に対する単剤療法として条件付きで承認されていたJemperliが完全承認に変更されました。
GSKのR&Dオンコロジー部門のグローバルヘッドでシニアバイスプレジデントのヘシャム・アブドラ(Hesham Abdullah)は次のように述べています。
「このような子宮体がんの患者さんの多くは、現在の標準治療を行っても、病勢が進行し長期予後が不良になります。今回の承認によって、欧州では、治療早期の段階から、より多くの患者さんがJemperliの恩恵を受けられることになります。免疫療法の基礎を築き、子宮体がんの一次治療のあり方に変革をもたらすことができるJemperliがこのたび承認されたことを嬉しく思います。」
デンマークのコペンハーゲン大学病院のチーフオンコロジストであり、RUBY試験の治験責任医師であるマンスール・ラザ・ミルザ(Mansoor Raza Mirza)氏は次のように述べています。
「今回の承認によって、欧州の特定の進行・再発性の子宮体がん患者さんが、新たな標準治療を受けられるようになるのは歓迎すべきことです。今回の承認の根拠となるRUBY試験の結果は、dostarlimabがこうした患者さんに対する治療に大きな変革をもたらす可能性を示唆しています。」
今回の承認は、第III相試験であるRUBY/ENGOT-EN6/GOG3031/NSGO試験の第一部(パート1)におけるdMMRもしくはMSI-Hの患者集団を対象とした中間解析結果(追跡期間中央値25カ月以上)に基づいています。本試験では、dMMRもしくはMSI-Hの患者集団において、Jemperliとカルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用投与群は、化学療法単独群と比較して、主要評価項目である治験責任医師評価による無増悪生存期間(progression-free survival、以下PFS)について、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長効果を示しました。また上記の集団では、化学療法単独群と比較して、病勢の悪化または死亡のリスクが72%低下しました(HR:0.28[95%CI:0.16~0.50])。
また、dMMRまたはMSI-Hの患者集団に対し、全生存期間(overall survival、以下OS)に関する事前に規定した探索的解析を行ったところ、Jemperliを化学療法と併用することにより、化学療法単独群と比較して死亡リスクが70%低下しました(HR: 0.30[95%CI:0.13-0.70])。
本結果は、2023年3月27日に欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル総会ならびに米国婦人科腫瘍学会(SGO)の年次総会で発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌に掲載されました。
RUBY試験パート1のもう一つの主要評価項目である全体集団におけるOSについても、その後の事前に規定した解析において、統計学的に有意かつ臨床的意義のある延長によるベネフィットが確認されました。
Jemperliをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与したときの安全性および忍容性プロファイルは、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一貫していました。Jemperliと化学療法との併用投与群で最もよくみられた副作用(10%以上)は、発疹、甲状腺機能低下症、アラニンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加(血液中の肝酵素の増加)、発熱および皮膚乾燥でした。
子宮体がんについて
子宮体がんは、子宮内膜と呼ばれる子宮の内壁に発生するがんです。子宮体がんは先進国で最も多くみられる婦人科がんです。世界では毎年約417,000件の新規症例が報告されており1、その発生率は、2020~2040年の間に約40%増加すると予想されています2,3。子宮体がんの患者さんのうち約15~20%が診断時に進行がんと診断され4、子宮体がん全体の約20~29%がdMMRもしくはMSI-Hであるとされています5。欧州4カ国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)では、毎年約3,000人(推定)の患者さんがdMMRもしくはMSI-Hの原発性進行・再発子宮体がんと診断されています6。
RUBY試験について
RUBY試験は、原発進行・再発性の子宮体がんの患者さんを対象とした国際共同無作為化二重盲検多施設共同第III相試験であり、第一部と第二部の2つのパートで構成されています。パート1では、dostarlimabをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にdostarlimabを投与した群を、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与した群と比較評価しています。パート2では、dostarlimabをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にdostarlimabとニラパリブを併用投与した群を、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与した群と比較評価しています。
パート1の主要評価項目は、PFS(治験責任医師が「固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)」v1.1に基づいて判定)とOSの2つです。統計解析計画書では、dMMRもしくはMSI-Hの患者集団および全患者集団におけるPFS、ならびに全体集団におけるOSの解析を事前に規定しました。ミスマッチ修復能良好(mismatch repair proficient)もしくはマイクロサテライト安定(microsatellite stable)の集団におけるPFSおよびOS、ならびにdMMRもしくはMSI-Hの集団におけるOSについて事前に規定した探索的解析も実施しました。RUBY試験パート1では、臨床試験から除外されることが多い組織型も含め幅広い集団を対象とし、約10%をがん肉腫患者さんが占め、また20%を漿液性がん患者さんが占めていました。パート2の主要評価項目は、治験責任医師の評価によるPFSとしました。またパート1およびパート2の副次的評価項目はPFS(盲検下独立中央判定による)、全奏効率、奏効期間、疾患コントロール率、患者さんの報告によるアウトカム、安全性および忍容性としました。
RUBY試験は、欧州婦人科腫瘍学会(ESGO)の研究ネットワークであり、欧州31カ国、22の臨床試験グループが共同で試験を実施している欧州婦人科腫瘍治験ネットワーク(ENGOT)および婦人科腫瘍領域の標準治療の変革を目的としている非営利組織であるGOG財団との国際共同試験の一環として行われています。
Jemperli(dostarlimab)について
Jemperliは、プログラム細胞死1(Programmed deadth-1、以下PD-1)阻害抗体であり、PD-1受容体に結合することでPD-1のリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害します7。
米国では、Jemperliとカルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用療法に続くJemperliの単剤療法が、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けた検査でdMMRと判定された、もしくはMSI-Hと判定された原発進行・再発性の子宮体がんの成人患者さんに対する治療として承認されています。本適応に関する生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologic License Application)は、FDAの画期的治療薬(Breakthrough Therapy)として指定されました。また、Jemperliの単剤投与が、FDAの承認を受けた検査においてdMMRと判定された再発または進行性子宮体がんの成人患者さんで、プラチナ製剤を含むレジメンでの治療中または治療後に進行が認められ、根治手術または放射線療法の対象とならない患者さんへの治療として承認されています。さらに、食品医薬品局(FDA)が承認した検査でdMMRと判定された再発または進行固形がん患者さんのうち、前治療中または治療後に進行が認められ、十分な代替治療がない患者さんに対してもJemperliが適応とされています。本適応は、腫瘍縮小効果が認められた患者さんの割合および効果の持続性を根拠として、迅速承認されました。検証的試験における臨床上の有用性が実証、説明されれば、固形がんに対する適応は完全承認されるものと考えられます。
JemperliはAnaptysBio社で開発され、2014年3月に署名された共同独占的ライセンス契約によりTESARO, Inc.社が権利を有しています。上記契約に基づきGSKは、JemperliおよびTIM-3拮抗薬であるcobolimab(GSK4069889)に関し、進行中の研究、開発、商品化および製造に責任を負っています。
効能・効果
Jemperliの効能・効果は以下のとおりです。
- 成人におけるミスマッチ修復欠損(dMMR)もしくは高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の原発性進行・再発の子宮体がんで、全身療法の対象となる患者さんの治療を目的とした、カルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用療法
- 成人におけるミスマッチ修復欠損(dMMR)もしくは高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の再発または進行性子宮体がんおいて、プラチナ製剤を含むレジメンでの治療中または治療後に進行が認められた患者さんの治療を目的とした単剤療法
オンコロジー領域におけるGSK
GSKは、革新的な医薬品を通じて患者さんの生存期間をできるだけ長くすることに取り組んでいます。がん免疫療法および腫瘍細胞標的療法、ならびに血液悪性腫瘍、婦人科がん、その他の固形腫瘍に対する画期的な治療法の開発に注力しています。
グラクソ・スミスクライン(GSK)について
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1 Faizan U, Muppidi V. Uterine Cancer. [Updated 2022 Sep 5]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2022 Jan-. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562313/.
2 Braun MM, et al. Am Fam Physician. 2016;93(6): 468-474.
3 International Research on Cancer. Global Cancer Observatory. Cancer Tomorrow. https://gco.iarc.fr/tomorrow/en/dataviz/. Accessed 13 July 2022.
4 Kantar Health, Cust Study (2018).
5 Cerner Enviza CancerMPact® [Treatment Architecture]. Available from www.cancermpact.com. Accessed 14 Apr 2023.
6 Based on CMP:CancerMPact® [Patient Metrics], Cerner Enviza. Available from www.cancermpact.com. Accessed 28 Sept 2023.
7 Laken H, Kehry M, Mcneeley P, et al. Identification and characterization of TSR-042, a novel anti-human PD-1 therapeutic antibody. European Journal of Cancer. 2016;69,S102. doi:10.1016/s0959-8049(16)32902-1.