GSK、50歳以上の成人を対象とした「シングリックス」の中国での市販後試験において帯状疱疹の予防効果100%を示す新たなデータを発表

この資料は、英国GSK plcが2023年8月23日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年8月23日 英国ロンドン発>

GSK、50歳以上の成人を対象とした「シングリックス」の中国での市販後試験において帯状疱疹の予防効果100%を示す新たなデータを発表

  • ランダム化臨床試験において「シングリックス」を投与された被験者では帯状疱疹の症例報告なし1

  • 中国で実施した「シングリックス」の最初の市販後試験で有効性が示される

  • 本試験の安全性および有効性データはGSKの主要な第III相試験ZOE-50とZOE-70試験と一致1

GSK(本社:英国)は、「シングリックス筋注用(遺伝子組換え帯状疱疹ワクチン)、以下、シングリックス」について、中国で実施した最初の市販後試験で有効性に関する肯定的な結果が得られたことを発表しました。これらの結果は、50歳以上の成人を対象にシングリックスの帯状疱疹予防効果と安全性を評価した市販後の第IV相試験(ZOSTER-076)から得られたものです。本試験では約6,000例を1:1でシングリックスまたはプラセボ群に無作為に割り付け、観察者盲検、プラセボ対照比較試験を行いました。プラセボ群では帯状疱疹31例が報告されたのに対し、シングリックス群での報告はありませんでした1

この結果は、シングリックスの有効性および安全性を検討した主要な第III相試験であるZOE-50とZOE-70試験で、約4年間の追跡調査期間中、50歳以上の成人でのワクチンの有効性が最大97%であった結果2と同等でした2,3。今回の試験で認められた安全性プロファイルは、これまでに確立されたワクチンの安全性プロファイルと一致していました1。50歳以上の成人における帯状疱疹の予防について、シングリックスの有効性および安全性プロファイルを裏付ける一連のエビデンスは得られており、今回新たにこれらのデータが追加されます1

世界の成人の90%以上は、水痘の原因と同じウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスを有するとされます4,5。水痘・帯状疱疹ウイルスは体内の神経系で休眠していますが、加齢に伴い、再活性化することで帯状疱疹を発症します8,9。中国の65歳以上の人口は急速に増加しており、その割合は、2000年の6.8%であったのに対し、2050年までに23.6%に増加すると予測されています6。中国では毎年約600万人が帯状疱疹を発症すると推定されており6、この数は人口の高齢化に伴って増加すると予測されます。

中国において、シングリックスは50歳以上の成人の帯状疱疹予防を目的として2019年に初めて承認されました。今回の市販後試験は、シングリックス2回投与における帯状疱疹の予防効果と安全性を評価しており、中国規制当局の要件を満たすために実施しました。今回の試験により、性別、地域、祖先/民族を問わず、50歳以上の成人での帯状疱疹の予防についてシングリックスの有効性がさらに示されました。

今回の第IV相試験の結果については、今年下半期に査読付きジャーナルへ論文を投稿予定です。

ZOSTER-076試験について
ZOSTER-076試験は、中国の50歳以上の成人を対象にシングリックスを2回に分けて筋肉内投与したときの帯状疱疹に対する予防効果と免疫原性、安全性を評価するランダム化、観察者盲検、プラセボ対照、多施設共同、第IV相試験として行いました1

本試験は成人約6,000例(n=5,956)を対象として2021~2023年に実施されました。帯状疱疹の発症率がシングリックス群で0/1,000人年、プラセボ群で8.2/1,000人年であり(p<0.0001)1、ワクチンの有効性は100%(95%CI:89.82%~100%)でした。また本試験で認められた安全性プロファイルは、これまでに確立されたワクチンの安全性プロファイルと一致していました1

帯状疱疹について
帯状疱疹は、子供の頃などに感染した水ぼうそうと同じウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、体の中で再活性化することで発症する皮膚の病気です7。50歳以上のほとんどは帯状疱疹の原因となるウイルスがすでに体内に潜んでいる可能性があり、帯状疱疹を発症するリスクがあります4,5。加齢に伴い、免疫系は強力かつ有効な免疫応答を引き起こす能力を失い、帯状疱疹を発症するリスクが高まります4,5,7,8,9。免疫系の抑制または低下している人も帯状疱疹の発症リスクがあります10

帯状疱疹の症状には通常、胸部、腹部または顔面に痛みを伴う水疱を伴う発疹が出現します7。その痛みは、ズキズキとした痛み、灼熱感、刺すような痛みまたは耐え難い痛みなどと表現されることが多いです9。発疹が消えた後も、帯状疱疹後神経痛(PHN)が生じることがあります。PHNは持続性の神経痛であり、数週間から数カ月にわたり持続することがありますが、場合によっては数年間持続することもあります9。PHNは帯状疱疹の最も一般的な合併症であり、患者さんの年齢にもよりますが、帯状疱疹の全症例の5~30%に発現します11

シングリックスについて
シングリックス(帯状疱疹ワクチン[遺伝子組換え、AS01Bアジュバント添加])は、生ワクチンではない遺伝子組換えアジュバント添加サブユニットワクチンで、遺伝子組換え抗原である糖タンパクEおよびアジュバントであるAS01Bを組み合わせたものです。シングリックスは、50歳以上の成人の帯状疱疹の予防を適応としています。50歳以上の成人を帯状疱疹から守るための課題である加齢に伴う自然な免疫機能低下を克服することに寄与する可能性があります12,13。なお、水痘の一次感染(水ぼうそう)の予防効能は有していません。

シングリックスは、一部の国において帯状疱疹の発症リスクが高いと考えられる18歳以上を対象として承認を取得しています。

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 GSK data on file.
2 Lal H et al. Efficacy of an Adjuvanted Herpes Zoster Subunit Vaccine in Older Adults. N Engl J Med. 2015;372:2087-96.
3 Cunningham AL, Lal H, Kovac M, et al. Efficacy of the Herpes Zoster Subunit Vaccine in Adults 70 Years of Age or Older. N Engl J Med. 2016;375(11):1019-1032. doi:10.1056/NEJMoa1603800.
4 Bollaerts K et al. A systematic review of varicella seroprevalence in European countries before universal childhood immunization: deriving incidence from seroprevalence data. Epidemiol Infect 2017;145:2666–2677.
5 Bricout H et al. Herpes zoster-associated mortality in Europe: a systematic review. BMC Public Health 2015;15:466.
6 Zhang Z et al. The incidence of herpes zoster in China: A meta-analysis and evidence quality assessment. Hum Vaccin Immunother. 2023;19 (2):2228169.
7 Mueller, NH et al. Varicella Zoster Virus Infection: Clinical Features, Molecular Pathogenesis of Disease and Latency. Neurologic Clinics, 2008; 26;675-697.
8 Johnson RW et al. Herpes zoster epidemiology, management, and disease and economic burden in Europe: a multidisciplinary perspective. Therapeutic Advances in Vaccines. 2015;3(4):109-120.
9 Harpaz R et al. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Prevention of herpes zoster: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR Recomm Rep. 2008;57(RR-5):1-30.
10 Huang C-T et al. Association Between Diabetes Mellitus and the Risk of Herpes Zoster: A Systematic Review and Meta-analysis. J Clin Endocrinol Metab 2022;107:586–597.
11 Kawai K, Gebremeskel BG, Acosta CJSystematic review of incidence and complications of herpes zoster: towards a global perspectiveBMJ Open 2014;4:e004833. doi: 10.1136/bmjopen-2014-004833.
12 Cunningham et al. Vaccine profile of herpes zoster (HZ/su) subunit vaccine. Expert Review of Vaccines. 2017;16:7;661-670.
13 The GSK proprietary AS01 adjuvant system contains QS-21 Stimulon® adjuvant licensed from Antigenics LLC, a wholly owned subsidiary of Agenus Inc. (NASDAQ: AGEN), MPL and liposomes.