GSKのベンリスタ、全身性強皮症の治療薬として米国FDAより希少疾病用医薬品に指定

この資料は、英国GSK plcが2023年2月1日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年2月1日 英国ロンドン発>

GSKのベンリスタ、全身性強皮症の治療薬として米国FDAより希少疾病用医薬品に指定

GSK(本社:英国)は、B細胞を阻害するモノクローナル抗体であるベンリスタ(一般名:ベリムマブ(遺伝子組換え))が、米国食品医薬品局(FDA)より、全身性強皮症の治療薬候補として希少疾病用医薬品指定(Orphan Drug Designation)を受けたことをお知らせします。

GSKは、全身性強皮症に伴う間質性肺炎(systemic sclerosis associated interstitial lung disease、以下SSc-ILD)に対するベリムマブの第II/III相試験を2023年上半期に開始する予定です。

全身性強皮症(systemic sclerosis、以下SSc)は、結合組織の非典型的な増殖を引き起こすまれな自己免疫疾患であり、筋骨格系、心臓、肺、腎臓、皮膚、その他の臓器に影響を及ぼす可能性があります。間質性肺炎(interstitial lung disease: ILD)はSScの死亡の主な原因であり、SSc患者さんの約半数が罹患しています1,2

SSc-ILDに対する治療選択肢は限られていることから、今回の希少疾病用医薬品指定は、さらなる研究の必要性と、ベンリスタがこの消耗性疾患の患者さんの重要なニーズに対応できる可能性があることを示しています。GSKは、引き続き、ベンリスタがB細胞による自己免疫疾患のアンメットニーズに応える可能性を科学的に追求するべく研究を進めます。

FDAの希少疾病用医薬品指定は、米国で20万人未満の人々が罹患している希少疾患や障害の治療、診断、または予防を目的とした新薬候補の開発および評価を支援するために付与される特別な措置です。

 

ベンリスタ(一般名:ベリムマブ(遺伝子組換え))について
ベンリスタ(一般名:ベリムマブ(遺伝子組換え))は可溶性Bリンパ球刺激因子(BLyS)に結合するBLySに特異的な阻害剤であり、全身性エリテマトーデス(SLE)およびループス腎炎(LN)などの全身性自己免疫疾患の患者さんではBLySの増加が認められています3。完全ヒト型モノクローナル抗体であるベンリスタは、BLySの増加によって延長された自己反応性B細胞を含むB細胞の生存を阻害し、B細胞の免疫グロブリン産生形質細胞への分化を抑制します。米国FDAは、疾患活動性を有するSLEの治療薬としてベンリスタを初めて承認しました。米国においてベンリスタは、SLE(成人と小児)およびLN(成人)を適応とする50年ぶりに承認された唯一の生物学的製剤です。

なお、日本において、ベンリスタの点滴静注用製剤(IV製剤)および皮下注製剤(SC製剤)は、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスを効能・効果として、日本で初めて承認された生物学的製剤です(2017年9月に製造販売承認取得)。また、小児SLE(5歳以上)に対しては、2019年9月にIV製剤で製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。

全身性強皮症に伴う間質性肺炎(systemic sclerosis associated interstitial lung disease: SSc-ILD)について
研究から、100万人あたり2.3~10人が罹患するまれな自己免疫疾患である全身性強皮症(systemic sclerosis: SSc)の病因には、BLySの増加と自己反応性B細胞が中心的な役割を果たすことが示されています4,5。SScは、多数の臓器における毛細血管の損傷、免疫の調節異常、および進行性の線維化を特徴とします2,6。間質性肺炎(interstitial lung disease: ILD)は、肺の炎症および瘢痕化した組織の蓄積を特徴とする、よく見られる重篤な合併症です。ILDはSSc患者さんの約半数に認められ、患者さんの疾病負荷や死亡率に大きく関連しています1。全身性強皮症に伴う間質性肺炎(systemic sclerosis associated interstitial lung disease: SSc-ILD)の治療には、有効で忍容性の高い疾患修飾療法の治療選択肢がさらに必要であることが認識されています2

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。


1 Vonk MC, Smith V, Sfikakis PP, Cutolo M, Del Galdo F, Seibold JR. Pharmacological treatments for SSc-ILD: Systematic review and critical appraisal of the evidence. Autoimmun Rev. 2021 Dec;20(12):102978. doi: 10.1016/j.autrev.2021.102978. Epub 2021 Oct 28. PMID: 34718159. Available at: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1568997221002585?via%3Dihub.
2 Fischer A, Patel NM, Volkmann ER. Interstitial Lung Disease in Systemic Sclerosis: Focus on Early Detection and Intervention. Open Access Rheumatol. 2019 Dec 9;11:283-307. doi: 10.2147/OARRR.S226695. PMID: 31849543; PMCID: PMC6910104. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6910104/.
3 Parodis I, Zickert A, Sundelin B, et alEvaluation of B lymphocyte stimulator and a proliferation inducing ligand as candidate biomarkers in lupus nephritis based on clinical and histopathological outcome following induction therapy Lupus Science & Medicine 2015;2:e000061. doi: 10.1136/lupus-2014-000061.
4 Thoreau, B., Chaigne, B., & Mouthon, L. (2022). Role of B-Cell in the Pathogenesis of Systemic Sclerosis. Frontiers in immunology, 13, 933468. https://doi.org/10.3389/fimmu.2022.933468.
5 Ghosh, S. K., Bandyopadhyay, D., Saha, I., & Barua, J. K. (2012). Mucocutaneous and demographic features of systemic sclerosis: a profile of 46 patients from eastern India. Indian journal of dermatology, 57(3), 201–205. https://doi.org/10.4103/0019-5154.96193.
6 Truchetet ME, Brembilla NC, Chizzolini C. Current Concepts on the Pathogenesis of Systemic Sclerosis. Clin Rev Allergy Immunol. 2021 Sep 6. doi: 10.1007/s12016-021-08889-8. Epub ahead of print. PMID: 34487318. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s12016-021-08889-8.