GSK、腎性貧血の成人透析患者さんを対象とした治療薬、ダプロデュスタット(Jesduvroq)が米国FDAより承認取得

この資料は、英国GSK plcが2023年2月1日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2023年2月1日 英国ロンドン発>

GSK、腎性貧血の成人透析患者さんを対象とした治療薬、ダプロデュスタット(Jesduvroq)が米国FDAより承認取得

  • ダプロデュスタットは、透析を受けている成人の腎性貧血患者さんの新たな経口治療薬として、米国で承認された最初のHIF-PHI

GSK(本社:英国)は、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬(以下、HIF-PHI)であるJesduvroq(以下、ダプロデュスタット)が、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease、以下CKD)に伴う貧血(以下、腎性貧血)で4ヵ月以上透析を受けている成人患者さんへの1日1回投与の経口治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことをお知らせします。

ダプロデュスタットは、30年ぶりとなる貧血治療薬で、米国で承認された最初のHIF-PHIであり、透析を受けている米国の腎性貧血の患者さんにとって、経口という新たな治療選択肢となります。

GSKのプレジデントであり、チーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるTony Woodは次のように述べています。
「過去数十年にわたり、腎性貧血における治療選択肢は限られていました。選択肢が増えてほしいという患者さんの願いがある中、新たな経口治療薬としてダプロデュスタットを開発することができたことを誇りに思います。」

FDAの承認は、透析患者における腎性貧血治療薬としてのダプロデュスタットの有効性と安全性を評価するASCEND-D試験の結果に基づいています。本試験の結果および追加の結果は、New England Journal of Medicineに掲載されています。

CKDは、全世界で7億人以上が罹患し、そのうち7人に1人が貧血も発症すると推定されている公衆衛生上の負担を増大させている疾患です1,2。腎性貧血は、未治療または十分な治療を受けないまま放置されると、臨床転帰の不良につながり、患者さんや医療システムに大きな負担をもたらします3。そのため、現行の治療法と同様の有効性と安全性を有する経口治療選択肢に対するアンメットニーズが依然と存在しています。

米国腎臓基金(American Kidney Fund)のプレジデントで、チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのLaVarne Burtonは次のように述べています。
「このたびのダプロデュスタットの承認は、腎性貧血を有する透析患者さんにとって、貧血管理における治療選択肢が増えたことを意味しています。」

現在、欧州医薬品庁によりダプロデュスタットの販売承認申請の審査が行われており、2023年の上半期には規制当局による決定が予定されています。ダプロデュスタットは、日本において腎性貧血患者さんの治療薬「ダーブロック錠」として厚生労働省に2020年6月に承認されました。

ダプロデュスタット(Jesduvroq)について
ダプロデュスタットは、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬(Hypoxia-inducible factor prolyl-hydroxylase inhibitor: HIF-PHI)で、成人の透析患者さんにおける腎性貧血に対する新しいクラスの経口治療薬です。酸素濃度に依存するプロリン水酸化酵素を阻害することで、低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、貧血の改善に関与するエリスロポエチンやその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられています4,5。ダプロデュスタットは透析を受けている成人腎性貧血患者さんを対象とする経口治療薬で6、米国においては5種類(1mg、2mg、4mg、6mg、8mg)の用量の錠剤となっています(日本では4種類:1mg、2mg、4mg、6mg)。

ASCEND第III相臨床試験プログラムについて
ASCENDプログラムは、CKDの様々なステージにおける腎性貧血を対象としたダプロデュスタットの有効性および安全性を評価する5つの第III相試験で構成されます。このプログラムには、最長4.26年間の治療を受けた8,000例以上の患者さんが登録されました。5つの試験すべての結果が、米国腎臓学会の学術集会(Kidney Week 2021)で発表されました。透析患者さんを対象とした主要な心血管系アウトカム試験であるASCEND-D試験の結果は、New England Journal of Medicineに掲載されています6

  • ASCEND-D試験(Anaemia Studies in CKD: Erythropoiesis via a Novel PHI Daprodustat-Dialysis)には、標準治療(ESA)から切り替えた透析患者2,964例が組み入れられ、鉄補充の統一管理プロトコールのもと、ダプロデュスタットまたは対照薬としてESAのいずれかが投与されました。その結果、本試験では、安全性および有効性の主要評価項目を達成しました。ダプロデュスタットはこれらの患者さんのHb値を目標値(10~11.5g/dL)以内に改善または維持することが示され、ITT集団を対象とした主要安全性解析では、ダプロデュスタットはESAと比較してMACEの非劣性を達成したことが示されました。

腎性貧血について
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)は、進行性の腎機能低下を特徴とする疾患です7。貧血は、CKDの重要かつ頻度の高い合併症であり、罹患率および死亡率の上昇、ならびに生活の質の低下と関連しています8。早期ステージにあるCKD患者さんでは、しばしば腎性貧血の診断を受けておらず、治療が不十分です9。世界中で7億人を超える患者さんがCKDに罹患しており、7人に1人が貧血も発症すると推定されています1,2。米国では約3,900万人がCKDに罹患しており、約600万人が貧血も発症しています1,2。米国では末期腎疾患の患者さんが約81万人おり10、このうち55万8,000人が透析を受けています10。このうち48万1,000人が血液透析を受け、77,000人が在宅透析または腹膜透析を受けています10。腎性貧血は未治療または十分な治療を受けないまま放置されると、臨床転帰の不良につながり、患者さんや医療システムに大きな負担をもたらします3

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。


1 Bikbov B, Purcell CA, Levey AS, et al. Global, regional, and national burden of chronic kidney disease, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2020;395(10225):709-733.
2 Stauffer et al. Prevalence of anemia in chronic kidney disease in the United States. PLoS One. 2014;9(1):e84943.
3 Hanna RM et al. Burden of anemia in chronic kidney disease: beyond erythropoietin. Adv Ther. 2021;38(1):52-75.
4 Ariazi JL, Duffy KJ, Adams DF, et al. Discovery and preclinical characterization of GSK1278863 (daprodustat), a small molecule hypoxia inducible factor-prolyl hydroxylase inhibitor for anemia. J Pharmacol Exp Ther. 2017;363(3):336-347.
5 Maxwell PH, Eckardt KU. HIF prolyl hydroxylase inhibitors for the treatment of renal anaemia and beyond. Nat Rev Nephrol. 2016;12(3):157-168.
6 Singh A, et al. Daprodustat for the Treatment of Anemia in Patients Undergoing Dialysis. N Engl J Med. 2021;385:2325-2335.
7 Hill NR, Fatoba ST, Oke JL, et al. Global prevalence of chronic kidney disease - A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2016;11(7):e0158765.
8 Palaka E, et al. The Impact of CKD Anaemia on Patients: Incidence, Risk Factors, and Clinical Outcomes-A Systematic Literature Review. Int J Nephrol. 2020 Jul 1;2020:769;2376.
9 St Peter WL, Guo H, Kabadi S, et al. Prevalence, treatment patterns, and healthcare resource utilization in Medicare and commercially insured non-dialysisdependent chronic kidney disease patients with and without anemia in the United States. BMC Nephrol. 2018;19(1):67.
10 United States Renal Data System. 2022 USRDS Annual Data Report: Epidemiology of kidney disease in the United States. National Institutes of Health, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, Bethesda, MD, 2022. Available at: https://usrds-adr.niddk.nih.gov/2022/end-stage-renal-disease/1-incidence-prevalence-patient-characteristics-and-treatment-modalities.