GSK、腎性貧血の効能にて米国承認申請中のダプロデュスタットに関する米国FDA諮問委員会の結果を報告

この資料は、英国GSK plcが2022年10月26日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2022年10月26日 英国ロンドン発>

GSK、腎性貧血の効能にて米国承認申請中のダプロデュスタットに関する米国FDA諮問委員会の結果を報告

GSK(本社:英国)は10月26日、米国食品医薬品局(FDA)の循環器・腎臓薬諮問委員会(Cardiovascular and Renal Drugs Advisory Committee、以下CRDAC)が、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease、以下CKD)に伴う貧血(以下、腎性貧血)の成人透析患者において、ダプロデュスタットによる治療の有益性がリスクを上回ることを13対3で支持したと発表したことをお知らせします。また、腎性貧血の成人非透析患者においては、ダプロデュスタットによる治療の有益性がリスクを上回ることが5対11で支持されませんでした。

FDAは、新薬承認申請(New Drug Application、以下NDA)の審査にあたりCRDACからの投票、フィードバック、勧告を考慮しますが、委員会の勧告に拘束されることはありません。CRDACはFDAに対し、独立した専門家としての助言を提供し、循環器疾患および腎疾患の治療に使用される市販医薬品および新薬候補の安全性と有効性に関する入手可能なデータを審査および評価します。FDAは、ダプロデュスタットのNDAを2022年4月に受理し、処方薬ユーザーフィー法の適用日を2023年2月1日と設定しました。

CKDは、世界中で7億人以上が罹患しており、そのうち約7人に1人が貧血も発症すると推定されていますv,vi。また、CKDは罹患率や死亡率を上昇させ、生活の質の低下をもたらし、世界中で公衆衛生上の負担を増大させていますiii。特定の患者さんにおいて適切に管理されない場合、疲労をもたらし、日常生活における活動が制限される可能性があります。腎性貧血は、未治療または十分な治療を受けないまま放置されると、臨床転帰の不良につながり、患者さんや医療システムに大きな負担をもたらしますiv。そのため、現行の治療法と同等の有効性と安全性を有する簡便な治療選択肢に対するアンメットニーズが依然として存在しています。

GSKの開発部門シニアバイスプレジデントであるChris Corsicoは次のように述べています。
「今回の活発な議論は、ダプロデュスタットの審査における重要な一歩でした。限られた治療選択肢の中で腎性貧血に苦しむ特定の患者さんをダプロデュスタットが支援できる可能性があることについて、諮問委員会が認識したことを喜ばしく受け止めています。本疾患に関する貴重な洞察を共有くださった医療従事者、患者さん、アドボカシーコミュニティの皆様に感謝いたします。新薬承認申請の審査完了に向けて、FDAと引き続き協力していきたいと考えています。」

経口低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬(HIF-PHI)であるダプロデュスタットは、ASCEND第III相臨床試験プログラムにおいて評価されました。この臨床試験には、CKDのあらゆるステージの貧血治療におけるダプロデュスタットの有効性と安全性を評価する5つの主要臨床試験が含まれており、5つの主要臨床試験すべてが主要評価項目を達成しました。2021年11月には非透析(ASCEND-ND)と透析(ASCEND-D)のCKD患者を対象とした2つの試験の結果が、New England Journal of Medicineに発表されました。また、非透析(ASCEND-ND)と透析(ASCEND-D)CKD患者を含む追加の結果がNew England Journal of Medicine補遺に発表されています。

欧州医薬品庁は、現在規制当局の審査中であるダプロデュスタットの販売承認申請の妥当性を2022年3月に確認し、2023年上半期に規制当局の決定が予定されています。ダプロデュスタットは、日本において腎性貧血患者の治療薬「ダーブロック錠」として厚生労働省に2020年6月に承認されました。「ダーブロック錠」は日本のマーケットリーダーであり、国内で推奨されるHIF-PHIです。

ASCEND第III相臨床試験プログラムについて
ASCENDプログラムは、CKDの様々なステージにおける腎性貧血を対象としたダプロデュスタットの有効性および安全性を評価する5つの第III相試験で構成されます。このプログラムには、最長4.26年間の治療を受けた8,000例以上の患者が登録されました。5つの試験すべての結果が、米国腎臓学会の学術集会(Kidney Week 2021)で発表されました。

非透析患者および透析患者をそれぞれ対象とした、2つの主要な心血管系アウトカム試験であるASCEND-ND試験とASCEND-D試験の結果は、New England Journal of Medicineに掲載されましたi,ii

  • ASCEND-ND試験(Anaemia Studies in CKD: Erythropoiesis via a Novel PHI Daprodustat-Non-Dialysis)には、標準治療(ESA:赤血球造血刺激因子製剤)からの切替えまたはESA治療を受けていない非透析患者3,872例が組み入れられ、ダプロデュスタットまたは対照薬としてESA(ダルベポエチンアルファ)のいずれかが投与されました。本試験では、両群に対し、鉄補充の管理プロトコールが適応されました。本試験では、安全性および有効性の主要評価項目を達成しました。その結果、ダプロデュスタットがこれらの患者のHb値を目標値(10~11.5g/dL)以内に改善および/または維持することが示され、ITT集団を対象とした主要安全性解析では、ダプロデュスタットはESA(対照薬)と比較して主要心血管イベント(MACE)の非劣性を達成したことが示されました。

  • ASCEND-D試験(Anaemia Studies in CKD: Erythropoiesis via a Novel PHI Daprodustat-Dialysis)には、標準治療(ESA)から切り替えた透析患者2,964例が組み入れられ、ダプロデュスタットまたは対照薬としてESAのいずれかが投与されました。両群に対し、鉄補充の統一管理プロトコールが適応されました。本試験では、安全性および有効性の主要評価項目を達成しました。その結果、ダプロデュスタットがこれらの患者のHb値を目標値(10~11.5g/dL)以内に改善または維持することが示され、ITT集団を対象とした主要安全性解析では、ダプロデュスタットはESA(対照薬)と比較してMACEの非劣性を達成したことが示されました。

その他の結果はNew England Journal of Medicine補遺にも掲載されました。

腎性貧血について

進行性の腎機能低下を特徴とする慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)は、世界中で公衆衛生上の負担を増大させていますiii。CKDのリスク因子には、高血圧、糖尿病、肥満および原発性腎疾患が含まれますiii。さらに、CKDは心血管疾患の独立したリスク因子ですiii。腎性貧血はCKDの重要かつ頻度の高い合併症ですiv。しかしながら、透析を受けていないなどの早期ステージにあるCKD患者では、しばしば腎性貧血の診断を受けておらず、治療が不十分ですiv。世界中で7億人を超える患者がCKDに罹患しており、7人に1人が貧血を有すると推定されていますv,vi。腎性貧血は、未治療又は治療不十分のままでは臨床転帰が不良となり、患者や医療システムに大きな負担をもたらしますiv

ダプロデュスタットについて

ダプロデュスタットは、経口のHIF-PHIで、透析の有無に関わらず、成人の腎性貧血を対象として研究されている治療薬です。酸素を検知するプロリン水酸化酵素を阻害することで低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、貧血の改善に関与するエリスロポエチンやその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられています。ダプロデュスタットは、腎性貧血患者に対する利便性の高い経口の治療選択肢として開発されました。

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


i Singh A, et al. Daprodustat for the Treatment of Anemia in Patients Not Undergoing Dialysis.N Engl J Med.2021; 385:2313-2324.
ii Singh A, et al. Daprodustat for the Treatment of Anemia in Patients Undergoing Dialysis.N Engl J Med.2021;385:2325-2335.
iii Hill NR, Fatoba ST, Oke JL, et al. Global prevalence of chronic kidney disease - A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2016;11(7):e0158765.
iv St Peter WL, Guo H, Kabadi S, et al. Prevalence, treatment patterns, and healthcare resource utilization in Medicare and commercially insured non-dialysisdependent chronic kidney disease patients with and without anemia in the United States. BMC Nephrol. 2018;19(1):67.
v Bikbov B, Purcell CA, Levey AS, et al. Global, regional, and national burden of chronic kidney disease, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2020;395(10225):709-733.
vi Stauffer ME, Fan T. Prevalence of anemia in chronic kidney disease in the United States. PLoS One. 2014;9(1):e84943.