GSKと英オックスフォード大学、先端技術の活用と疾病機序の解明を目指す新たな研究所「Oxford-GSK 研究所」を設立
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2021年12月2日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。
<2021年12月2日 英国ロンドン発>
GSKと英オックスフォード大学、先端技術の活用と疾病機序の解明を目指す新たな研究所「Oxford-GSK 研究所」を設立
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アルツハイマー病やパーキンソン病などの複雑な疾患に対する理解を深め、創薬および薬剤開発の成功率を高めることを目的とした新たな大規模共同研究を開始
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オックスフォード大学ナフィールド医学部(University of Oxford’s Nuffield Department of Medicine)を拠点とする新研究所を設立
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)と英オックスフォード大学は、5年間の大規模共同研究を実施するための「Oxford-GSK 分子コンピューター医学研究所(Oxford-GSK Institute of Molecular and Computational Medicine)」を設立することを発表しました。オックスフォード大学を拠点とする本研究所は、ヒト遺伝学から得られた見識に基づき、機能ゲノミクスや機械学習などの先端技術を活用して、新薬の研究開発の成功とスピードを向上させることを目的としています。
遺伝学的エビデンスにより、新しい治療法の臨床試験の成功率が2倍になることがすでに示されており、ヒトの生物学的メカニズムを数値化し、遺伝子と患者さんをより密接に関連付けることで、創薬を改善できる可能性があります。本研究所では、このような科学的進歩を基盤として、細胞、タンパク質、組織レベルでの変化を測定する技法など、近年の病理学の進歩を活用しながら、疾患への理解を深めていきます。
GSKによる3千万英ポンドの拠出で設立された本研究所は、新薬の発見や開発方法をさらに改善するための先駆的な役割を担います。その中には、GSKとオックスフォード大学の科学者が、成功する可能性が最も高い初期の研究開発プログラムに優先順位を付け、最も奏効する可能性の高い患者さんとのマッチングを支援することも含まれます。
本研究所は、遺伝学、プロテオミクスおよびデジタル病理学の新しいアプローチを評価、統合し、個人によって異なる疾患の詳細なパターンを理解することを目指します。研究の初期段階では、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患に注力します。
ボリス・ジョンソン英首相は次のように述べています。
「わたしたちは、このパンデミックの間、英国の科学者と研究開発分野の創意工夫や開拓精神が、医薬品とワクチンの迅速な開発と世界への提供に寄与し、多くの命を救ったことを目のあたりにしました。」
「GSKとオックスフォード大学が、パーキンソン病を含む最も複雑な疾患に対する理解を深めるために、今回、さらなる一歩を踏み出したことを非常に喜ばしく思います。両社は、科学的な共同研究力を活用し、最先端技術の進展と創薬の加速を図り、生命科学分野の大国としての英国の役割をより強固にするために貢献します。」
GSKの最高経営責任者であるエマ・ウォルムズリーは次のように述べています。
「GSKがオックスフォード大学とこの新しい共同研究において連携できることを嬉しく思います。科学に根差す両社の強みを組み合わせ、先進技術を活用することで、Oxford-GSK 研究所は、生命科学における英国の実績と継続的な大望を実証します。わたしたちは、創薬と薬剤の研究開発を向上させ、患者さんにより良い新薬をお届けできるよう取り組んでまいります。」
オックスフォード大学副学長のルイーズ・リチャードソン教授(Professor Louise Richardson)は次のように述べています。
「オックスフォード大学を代表し、このたびのGSKとの新たな取り組みが実現できたことを大変光栄に思います。本研究所は、オックスフォード大学医学部とGSKの科学者が協働し、最も治療が困難な疾患に対する治療法を研究開発する独自のパートナーシップを構築します。さらに、本研究所は、わたしたちの教育的使命に基づき、英国の学術分野および生物科学分野における研修や能力開発を行います。」
この10年間の遺伝子およびゲノム研究の革新により、新薬発見のための有望な標的について膨大なデータセットが蓄積されています。これらのデータセットを機能ゲノミクスと組み合わせることで、疾病を分子レベルで深く理解することが可能になります。
本研究所は、この理解と機械学習の力の活用を通じて、疾患の新たな指標や予測因子を明らかにし、創薬における最も有望な領域を加速させることを目指しています。これは、GSKが23andMeやUK Biobankなどの組織との協働により得た遺伝子情報に基づく多数の薬剤標的の優先順位付けを行う上で特に重要です。また、本研究所は、臨床試験に組み入れるのに最適な患者さんをより適切に特定することにより、研究開発プロセスの初期における医薬品候補の概念実証を確立し、医薬品開発のタイムラインを短縮することを目指します。
GSKとオックスフォード大学は、本研究所にそれぞれの能力と専門性を相補的にもたらします。GSKは、ヒト遺伝学および機能ゲノミクスの分野で優れた能力を有し、ロンドン中心部にあるAIハブを含め、社内に人工知能と機械学習機能を備えています。また、オックスフォード大学も同様の専門性を有しており、両社が協力して、患者さんや分子情報、最先端のプラットフォームを駆使し、最も成功する可能性の高いGSKの標的を特定し、安全で有効な疾患メカニズムに基づく治療薬として開発する予定です。
アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、前頭側頭型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および疼痛などの神経免疫学的機序に起因する疾患が、本研究所の初期の研究対象となります。GSKは、これらの領域における遺伝子情報に基づく標的と臨床プロジェクトの豊富なパイプラインを有しています。
本研究所は、GSKおよびオックスフォード大学の両社の既存の専門知識を活用するだけでなく、多くの新しい研究グループを採用する予定です。早期から中堅キャリアの研究者を対象にGSKおよびオックスフォード大学の特別研究員5名を採用し、採用者を同研究所の目的に沿った領域を研究する研究責任者として任用します。
オックスフォード大学ナフィールド医学部(University of Oxford’s Nuffield Department of Medicine)を拠点とする本研究所では、英ウェルカムヒト遺伝子学センター(Wellcome Centre for Human Genetics)および英ビックデータ研究所(Big Data Institute)など、学部を超えてさまざまな研究者と緊密に連携していきます。GSKとオックスフォード大学は、2022年後半に開始予定の最初のプロジェクトの内容について活発な議論を行っており、最新の実験設備およびデータサイエンスのプラットフォームやアプローチを用いる予定です。GSKとオックスフォード大学の両施設間での派遣を含め、両社のメンバーが研究チームに加わり、全く新しい共同研究の在り方を確立します。
本研究所の責任者は、ウェルカムヒト遺伝子学センター(Wellcome Centre for Human Genetics)の責任者であるジョン・トッド教授(Professor John Todd)およびGSK メディカルサイエンステクノロジー(Medicinal Science and Technology)部門のシニアバイスプレジデントであるトニー・ウッド博士(Dr Tony Wood)です。
GSKは、科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。