新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬としてモノクローナル抗体ソトロビマブの製造販売承認を申請

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として
モノクローナル抗体ソトロビマブの製造販売承認を申請

  • 単回投与のモノクローナル抗体

  • 特例承認の適用を希望した申請

グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、単回投与のモノクローナル抗体ソトロビマブ(sotrovimab)について、本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことをお知らせします。今回の承認申請は特例承認の適用を希望しています。

今回の承認申請を行ったソトロビマブは点滴静注であり、COVID-19における酸素療法を必要としない軽症・中等症かつ重症化リスクが高いと考えられる患者さんを投与対象としています。

ソトロビマブは、GSKとVir Biotechnology(本社:米国、以下Vir社)が研究開発を行う新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)モノクローナル抗体です。海外第II/III相臨床試験(COMET-ICE試験)では、重症化リスクの高い軽症から中等症のCOVID-19の成人患者さんにおいて、入院または死亡のリスクが有意に低下することが示されました。本試験に参加した1,057例全例の有効性に関する主要解析において、投与29日目までに24時間を超える入院または死亡(死因は問わない)を、プラセボと比較して79%低減し(補正相対リスク減少)(p<0.001)、試験の主要評価項目を達成したことが報告されています。1

ソトロビマブは、スパイクタンパク質の保存性の高い領域に結合することにより、薬剤耐性に対する高いバリア機能を備えています。bioRxiv2にて公表されたin vitro試験のデータから、ソトロビマブは、デルタ株、ラムダ株を含む懸念される変異株・注目すべき変異株に対して活性を維持することが示されています。こういった変異株に関するin vitroのデータが臨床に及ぼす影響はまだ分かっておらず、データ収集と解析は続けられています。

GSK代表取締役社長 ポール・リレットは次のように述べています。
「新たな変異株の出現や感染者の増加など、パンデミックが長期化する中、新たな治療の選択肢として、ソトロビマブを一日も早く日本の患者さんにお届けできるよう、全力で取り組んでまいります。」

ソトロビマブは、米国で緊急使用許可を、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)からはRegulation 726/2004のArticle 5(3)に基づき肯定的な科学的見解を得ています。さらに、カナダ、イタリア、アラブ首長国連邦、シンガポール等では一時的承認を、またオーストラリアでは承認を取得しています。

 

<参考情報>

特例承認とは
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の3第1項の規定に基づき、1.疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、2.当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、3.海外で販売等が認められている、という要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度です。

Vir社とGSKの協働について
2020年4月、Vir社とGSKは、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2を含むコロナウイルスに対するソリューションの研究開発において、提携する契約を締結しました。この提携では、Vir社独自のモノクローナル抗体プラットフォーム技術を駆使し、今回のCOVID-19パンデミックと今後起こりうる急激な感染増加に対応するため、治療薬に加え、ワクチンなど予防のための選択肢となりうる既存の抗ウイルス抗体の開発を加速し、新たな抗ウイルス抗体を同定します。両社は、機能ゲノミクス分野でGSKが持つ専門性を活用するとともに、CRISPRスクリーニングと人工知能の分野において両社が培った技術を結集し、細胞宿主遺伝子を標的とした抗コロナウイルス化合物を同定します。さらに、両社それぞれの専門性をSARS-CoV-2やその他のコロナウイルスワクチンの研究に活用していきます。

COVID-19に対するGSKの取り組み
COVID-19に対するGSKの取り組みは、業界内でも最も幅広いものであり、提携企業との共同開発により、複数のワクチン候補に加え、複数の治療薬候補の開発が進んでいます。

GSKは、アジュバント技術を提供することで、複数の企業や団体と協力し、COVID-19ワクチンの開発に取り組んでいます。メディカゴ社との協働に加え、最近では、サノフィ社とのアジュバント添加タンパク質ベースのワクチン候補の共同開発において、第II相試験から良好なデータが得られたことを発表しており、第2四半期には第III相試験を開始しました。またSK Bioscience社とは早期臨床段階での提携を継続中です。同社は、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を受け、COVAXファシリティを通じて世界に供給できるよう、差別化でき、かつ手頃な価格で入手可能なCOVID-19ワクチンを開発しています。アジュバントの使用は、パンデミックの状況下では特に重要です。アジュバントを使用することにより、1回の接種に必要な抗原の量が抑えられるため、ワクチンの生産量を増やすことができ、より多くの人々を守ることに貢献できるからです。

GSKは、メッセンジャーRNA(mRNA)技術を専門とするCureVac社と、1つのワクチンで複数の新たな変異株に対処できるCOVID-19次世代多価mRNAワクチンを共同開発しています。さらに、CureVac社の第一世代COVID-19ワクチンについて、最大で1億回分の製造も支援していく予定です。また、英国におけるNovavax社のCOVID-19ワクチンについては、最大で6,000万回分の製造支援を行っています。

加えて、COVID-19患者さんに対する治療薬候補や治療選択肢の開発にも取り組んでいます。Vir Biotechnology社と協力し、COVID-19の治療薬に加え、ワクチンなど予防のための選択肢となりうる既存の抗ウイルス抗体を開発し、新たな抗ウイルス抗体を同定しようとしています。両社は、入院リスクの高い成人を対象としたCOVID-19の早期治療のための単独療法として使用した場合のソトロビマブを評価する第III相臨床試験COMET-ICEへの患者登録を中止するよう、独立データモニタリング委員会から勧告があったことを発表しました。その理由は、本試験から得られたデータの中間解析の結果、十分な有効性のエビデンスがあると判断されたからです。COMET-ICE試験の投与29日目までのデータの解析結果は、中間解析の結果と一致しています。米国では既に緊急使用許可が得られており、その他の国々でも承認等が得られています。

GSKについて
GSKは、科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。

 

1 GSKとVir Biotechnology、sotrovimabにおけるCOMET臨床開発プログラムの進捗を発表 | GSK グラクソ・スミスクライン株式会社:https://jp.gsk.com/jp/media/press-releases/2021/20210628-comet-ice-topline-nih/
2 Andrea L.C. et al. ,The dual function monoclonal antibodies VIR-7831 and VIR-7832 demonstrate potent in vitro and in vivo activity against SARS-CoV-2, bioRxiv, 2021.preprint : https://doi.org/10.1101/2021.03.09.434607