GSKとCureVac、第二世代mRNA COVID-19ワクチン候補CV2CoVが前臨床試験で免疫応答と予防効果を示したことを発表
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2021年8月16日(英国現地時間)に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttps://www.gsk.com/をご参照ください。
<2021年8月16日、英国ロンドン、ドイツ テュービンゲン、米国ボストン発>
GSKとCureVac、第二世代mRNA COVID-19ワクチン候補CV2CoVが前臨床試験で免疫応答と予防効果を示したことを発表
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両社が共同開発した第二世代のmRNAワクチン候補は、前臨床試験でCureVac社の第一世代mRNAワクチン候補よりも良い免疫応答を示した
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第二世代のワクチン候補CV2CoVは、動物モデルを使用したSARS-CoV-2チャレンジ試験で高い予防効果を示した
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誘導された抗体の中和能について、ベータ株、デルタ株、ラムダ株など多くの変異株に対して検討が行われた
CureVac N.V.(本社:米国、以下CureVac社)とグラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は、非ヒト霊長類における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)チャレンジ試験において、CureVac社の第一世代ワクチン候補CVnCoVおよび第二世代ワクチン候補CV2CoVの免疫応答および予防効果を評価し、本試験で確認された前臨床データを公表したことを発表しました。本試験では、第一世代または第二世代のいずれかのワクチン候補をカニクイザルに12µg接種し、評価を行いました。その結果、CV2CoVは、第一世代ワクチン候補CVnCoVと比較して、自然免疫応答と獲得免疫応答がより活性化されることが示され、より早い免疫応答、より高い抗体価、より良いメモリーBおよびT細胞の活性化がもたらされることが確認されました。また、CV2CoVによる高い抗体中和能は、ベータ株、デルタ株、ラムダ株など評価を行ったすべての変異株に対して認められました。SARS-CoV-2従来株を対象としたチャレンジ試験では、CV2CoVを接種した動物では、肺および鼻腔内のウイルスが効果的に排除され、より高い予防効果が得られることが示されました。この前臨床試験データに関する論文は、プレプリントサーバーbioRxivで入手可能です。
CureVac社のCSO(最高科学責任者)であるDr. Igor Splawskiは次のように述べています。
「この動物モデルにおいてCV2CoVは、SARS-CoV-2感染後にみられる免疫応答と類似した、幅広い抗体および細胞性免疫応答を誘導することを示しました。非ヒト霊長類を対象とした本試験で、標的の最適化を特徴とする我々のmRNA技術に基づく第二世代のワクチン候補が、SARS-CoV-2従来株のみならず、懸念されているベータ株やデルタ株、ならびに注目すべきラムダ株に対する高い免疫応答および予防効果が示されました。」
GSKのワクチン部門のヘッドであるDr. Rino Rappuoliは次のように述べています。
「mRNA技術は我々にとって重要な戦略的優先事項であり、我々はCureVac社との提携に焦点を当てた多くのmRNAプログラムに多大な投資を行っています。この第二世代mRNAワクチンの前臨床試験で示された免疫応答と予防効果は非常に有望であり、今後の開発における重要なマイルストーンとなります。」
本試験では、CVnCoV、CV2CoVいずれかのワクチン候補12µgを、Day0およびDay28にカニクイザルに接種し評価しました。自然免疫の誘導は、特異的サイトカインマーカーにより評価しました。また、獲得免疫応答は、受容体結合ドメイン特異的抗体、中和抗体、ならびにメモリーB細胞およびT細胞により評価しました。さらに、懸念される変異株および注目すべき変異株が中和抗体価に与える影響について、アルファ株、ベータ株、デルタ株、カッパ株およびラムダ株に対して検討を行いました。動物の肺および鼻腔内のウイルスクリアランス試験は、従来株のチャレンジ感染後に実施しました。
2021年2月に発表されたCureVac社とGSKのCOVID-19に関する提携は、2020年7月に開始した戦略的mRNA技術の両社のパートナーシップを発展させたものであり、CureVac社の第二世代RNA技術に基づき、感染症領域の様々な標的に対する新製品の開発に焦点を当てたものです。この共同開発で使用する最適化されたmRNA方式は、1つのワクチンで、新たに出現する複数の変異株に対処するために、多価または混合ワクチンによるアプローチの可能性も有しています。現在行われているCV2CoVの前臨床試験に続き、第I相臨床試験は2021年第4四半期に開始する予定です。
CV2CoVについて
CV2CoVは、現在GSKと共同で開発しているmRNAをベースとした先進的な第二世代のCureVac社の最初のワクチン候補です。現在、前臨床開発段階にあるこのワクチン候補は、SARS-CoV-2ウイルスのプレフュージョン(膜融合前)型に安定化された完全長のスパイクタンパク質がコードされている化学修飾を行っていないmRNAを、脂質ナノ粒子(LNP)に封入したものです。CV2CoVは、第一世代のmRNAワクチンと比較して非翻訳領域構造が最適化されており、mRNAの翻訳効率が改善されることによりタンパク質の発現量を増加させ、かつ滞留性を向上することができます。
さまざまな動物モデルを用いた非臨床試験では、CV2CoVのより早くかつより良い免疫応答誘導能が示されています。CV2CoVの最初の臨床試験は、2021年第4四半期に開始する予定です。
GSKについて
GSKは、科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。
CureVac社について
CureVac社は、mRNA技術の分野において世界的なバイオ医薬品企業であり、20年以上にわたり、医療用としてさまざまな用途で使用される生体分子の開発と最適化に関し、専門性を発揮しています。CureVac社は、化学的に修飾されていないmRNAをデータキャリアとして用い、多くの疾患から身を守るためのタンパク質を生成するよう、体内で指令を出せるようにする独自の技術を有しています。この技術に基づき、CureVac社は予防ワクチン、がん治療、抗体治療および希少疾患治療の分野において、豊富なパイプラインを築き上げています。CureVac社は、2020年8月にニューヨーク・ナスダックで、新規に株式公開をしています。CureVac社の本社はドイツ・テュービンゲンにあり、テュービンゲン、フランクフルト、米国ボストンの拠点に700人以上の従業員がいます。詳細については、https://www.curevac.com/をご覧ください。