新たなGSK、ワクチンおよびスペシャリティ領域の医薬品ポートフォリオ並びに後期パイプラインの牽引により、今後10年間で企業成長および業績面における大幅な変革を予定
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2021年6月23日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。
<2021年6月23日 英国ロンドン発-ロンドン証券取引所における公表>
新たなGSK、ワクチンおよびスペシャリティ領域の医薬品ポートフォリオ並びに後期パイプラインの牽引により、今後10年間で企業成長および業績面における大幅な変革を予定
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売上高成長率は5%超、調整後営業利益の成長率は10%超(2021~2026年1の年平均成長率)
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売上目標は2031年までに330億ポンド超(CERベース)
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免疫系の科学、遺伝学および先端テクノロジーを活用した研究開発により、疾病の予防・治療に戦略の焦点
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2社への分離によって強化されるバランスシートが成長投資を後押し
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2026年までに事業から生み出されるキャッシュは100億ポンド超と予測
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2022年におけるGSKおよび新コンシューマー・ヘルスケア企業からの予想配当は合計55ペンス
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新たなGSKの累進配当方針は、2023年の45ペンスから開始
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ESGパフォーマンスにおけるリーディング企業としての地位を維持し、新たなGSKの目標を設定
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新たなGSKは、今後10年間で25億人超の人々の健康に貢献
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世界をリードするコンシューマー・ヘルスケア企業を創出する分離は、2022年半ばに実施
Basis of preparation, assumptions, and cautionary statement(作成、前提および注意事項の根拠)およびReporting definitions(報告に用いた定義)は英語プレスリリースを参照
GlaxoSmithKline plc(GSK LSE & NYSE)は、6月23日に行われたInvestor Updateにおいて、2022年半ばに予定しているコンシューマー・ヘルスケア事業の分離後の株主価値創出のための戦略、成長の見通しおよび計画の詳細を発表しました。この2社の分離によって生まれる新たなGSKは、サイエンス、人財およびテクノロジーを結集し、先手を打って共に病に立ち向かうという存在意義に基づき、患者さんと株主のために高い目標を掲げて挑戦する成長企業を目指します。
最高経営責任者のエマ・ウォルムズリーは次のように述べています。
「2017年から私たちが取り組んできた大変革の成果は明らかです。私たちは、新しいリーダーシップとともに企業文化を大きく改革しながら、研究開発および営業力を強化し、またグループ構造と資本配分を変更してきました。
そして今般、新たなGSKの成長に向けて共に大きく変化し、またコンシューマー・ヘルスケアの価値を解き放つための準備が整いました。疾病の予防と治療におけるワールドクラスの能力を有する新たなGSKは、これからの10年を通して、人々の健康に貢献し、株主に高い業績と価値を提供することができる絶好の機会を有しています。」
以下はInvestor Updateの主な項目の要約です。
戦略的変革
2017年にGSKは、それまで業績に影響を及ぼしてきた長年の課題を解決するために、大規模な企業変革に着手しました。事業全体にわたって、業績向上、能力強化および新しい未来に向けたGSKの準備の面で大きな進展を果たしてきました。
特に、研究開発の能力と生産性を強化しました。2017年以降、GSKは主要11製品*の承認を取得し、第Ⅲ相および申請段階にあるパイプライン数を2倍の22にしました。営業力を変革し、新製品およびスペシャリティ領域製品の年間売上高は100億ポンドに達しています。一方、グループのポートフォリオ変更およびワクチンと医薬品事業間のネットワークによって、年間5億ポンドの費用削減とノンコアブランドの売却からの14億ポンドの利益がもたらされました。
2つのグローバル合併の成功によって、大幅に刷新されたポートフォリオおよびセクターをリードする収益性を有する、世界をリードするコンシューマー・ヘルスケア事業も創出されました。
これらのすべては、ESG(Environmental, Social and Governance)パフォーマンスにおいてセクターのリーダーとしての評価とともに達成されたものです。
さらに、アカウンタビリティの向上とより高い目標レベルを目指して、会社全体において企業文化とリーダーシップの大きな変革を実施しました。上位125名のリーダーの85%は2017年以降の新任者であり、また会社のすべての主要業務において新しいインセンティブ制度とガバナンスを導入しました。
これらの変革によって、GSKを2社に分離し、人々の健康に大きく貢献し、株主が納得する業績、魅力的な還元および価値を提供する2つのグローバル企業を創出するための基盤ができました。
新たなGSKの財務見通し
2021~2026年の見通し
今後5年間、新たなGSKは売上高成長率および調整後営業利益の成長率をそれぞれ5%超および10%超と予想しています(恒常為替レートによる年平均成長率。2021年をベース年とする)。利益の成長は、ワクチンおよびスペシャリティ領域における新製品売上の力強い成長、営業利益の向上、並びに近年の変革からの恩恵が複合的に貢献すると予想しています。これらの財務見通しには、COVID-19関連収益は一切含まれていません。
調整後営業利益は、2021年の20%台半ばから2026年には30%超に向上すると予想しています。売上高成長率の向上、製品ミックスの恩恵および公表済プログラムからのコスト管理がすべて利益向上に寄与すると予想しています。GSKは、分離準備プログラム(Future Ready)から更に年間2億ポンドの削減余地を見い出し、実現のための追加費用なしに費用削減目標を8億ポンドから10億ポンドに更新しました。すべてのリストラクチャリングは2022年に完了予定であり、それ以外には大きなリストラクチャリングは計画されていません。
2026~2031年の目標
2031年までに新たなGSKは、330億ポンド超の売上を目指します(恒常為替レートベース)。この目標は、新たなGSKが現在有する後期パイプラインの売上が寄与することで達成されます。私たちは、いくつかの後期パイプラインは、リスク非調整ベース+で、ピーク時年間売上が合計で200億ポンド超になる可能性があると見込んでいます。
330億ポンドの売上目標には、前期パイプラインおよび将来獲得する導入品からの収益寄与は一切含まれていません。重要なことは、ドルテグラビルの特許期間満了が2028/2029年に想定されているにも関わらず、新たなGSKとして2031年までを通して売上の成長を目指していることです。
最新の見通しおよび目標は、追って報酬委員会により現行のインセンティブ・プランに反映されることになります。
ワクチンおよびスペシャリティ領域の医薬品の最大化
新たなGSKは、2026年までに全社売上の約4分の3を占めると予想するワクチンおよびスペシャリティ領域の医薬品に対する研究開発および営業投資を優先します。2021~2026年の見通しでは、ワクチン売上の年平均成長率は1桁台後半%を、スペシャリティ領域の医薬品の売上の年平均成長率は2桁台%を予想しています。
私たちは感染症、HIV、オンコロジーおよび免疫・呼吸器の4つのコア疾患領域にフォーカスしています。さらに、免疫系の科学および遺伝学に裏付けられる大きな機会があれば、新たなGSKとしてこれらのコア領域以外の機会も追求します。
疾病の予防と治療の広い範囲において高まるニーズを捉えることは、新たなGSKにとって科学的かつ商業的に重要な機会となります。その中心にあるものは、私たちの研究開発が免疫系の科学、遺伝学および先端テクノロジーにフォーカスしていること、そして私たちの、世界をリードするワクチンおよび医薬品の開発力です。
GSKは現在、20のワクチンおよび42の医薬品パイプラインを有しており、その多くがベスト・イン・クラスまたはファースト・イン・クラスとなる可能性があります。
プライマリーケア領域の医薬品の最適化
新しく設置されたプライマリーケア領域の医薬品グループは、エスタブリッシュ医薬品および吸入型の呼吸器医薬品を含め新たなGSKのすべてのプライマリーケア製品を担当します。プライマリーケア領域の医薬品は、地域やブランドによって業績特性が異なり、最も成長が期待できるのは新興国市場です。全体的にプライマリーケア領域の医薬品は、2021~2026年の期間を通じて安定した売上を示すと予想しています(CERベース)。
ワクチンおよびスペシャリティ領域の医薬品への投資をサポートするために、プライマリーケア領域の医薬品の収益性およびキャッシュ創出力を最適化します。その一環として、非優先ブランドの売却または外部提携によるポートフォリオの一層の合理化を予定しています。
成長および株主への還元をサポートするためのバランスシートの強化
コンシューマー・ヘルスケア事業の分離後は、新たなGSKの純負債レバレッジ比率(純負債/調整後EBITDA)は2倍未満になると予想しています。これが、キャッシュフローの力強い創出力と相俟って、将来への成長投資に一層の自由度が増すことになります。2026年までに新たなGSKが事業から創出するキャッシュは100億ポンドを超えると予想しています。
新たなGSKの資本の優先配分領域は、対象を絞った買収やライセンスインを含むパイプラインの強化、製品上市を成功させるための投資、事業のサステナビリティの強化、および累進配当方針といった事項です。
2社への分離を予定している2022年の中頃に、GSKの株主は、GSKおよび新コンシューマー・ヘルスケア企業から配当を受領します。新コンシューマー・ヘルスケア企業の配当が公表済の30~50%配当性向範囲の最低値となる前提、および新コンシューマー・ヘルスケア会社の取締役会の承認を条件として、年間の一株当たり配当額は合計で55ペンスと予想しています。この2022年の想定年間配当額は、2021年の一株当たり予定配当の80ペンスに比べて31%減になります。
新たなGSKは累進配当方針を採用し、40~60%に相当する配当率を目標とし、年間を通じた稼働の初年度となる2023年に一株当たり45ペンスの配当から開始します。
ESGパフォーマンスおよび25億人超の人々の健康への貢献に強くフォーカス
セクターをリードするESGパフォーマンスの維持は、新たなGSKの不可欠な要素であり、また重要な目標でもあります。
GSKでは、私たちの強みを活かし、業界が長年直面している主要課題に取り組むために、ESGにフォーカスしたアプローチを取っていきます。新たなGSKは、事業にとって重要と考える6つの分野、すなわち価格設定/医薬品アクセス、グローバルヘルス、インクルージョンとダイバーシティ、環境、製品ガバナンス、および運営標準にリソースを優先投下していきます。
これら6つの分野におけるアカウンタビリティはエグゼクティブ・レベルが担い、新たなGSKとしてインセンティブおよび報酬を、企業報告における透明性向上と合わせて、ESGパフォーマンスの成果に一層連動させていきます。
ESGに対するこのアプローチは、持続可能な成果および長期的成長をサポートし、ステークホルダーとの信頼関係を構築し、事業リスクを低減し、そして非常にポジティブな社会的インパクトをもたらします。
新たなGSKにとって「成功」の主要評価尺度は、多くの人々の健康への貢献です。これは企業目的の核となるものであり、今後10年間に世界中で25億人超の人々の健康に貢献できるものと予想しています。
コンシューマー・ヘルスケアの分離
コンシューマー・ヘルスケアの分離は2022年の中頃に予定しており、GSK取締役会の明確な優先事項は新たなGSKおよびコンシューマー・ヘルスケアの潜在価値を解き放ち、新たなGSKのバランスシートを強化し、そして株主価値を最大化することです。
新コンシューマー・ヘルスケア企業は、2020年に100億ポンド超の年間売上をもたらしたポートフォリオを抱え、更なる成長が期待できます。新会社は、ブランド、イノベーション、先端科学および日々のより良い健康を届けることを理解したスタッフによって、米国と中国においてカテゴリーリーダーのポジションと強力なセールスプレゼンスを誇る9つの世界的ブランドを有することになります。全体として、当企業は、売上と利益の持続的成長が見込まれ、キャッシュの創出力が高く、魅力的な株主還元を提供します。
株主の承認を条件として、分離はGSKが68%を保有するコンシューマー・ヘルスケア事業のうち、最低80%をGSK株主に分割する方法で行い、新コンシューマー・ヘルスケア会社の株式がロンドン証券取引所に優良上場され、米国預託証券が米国で上場されることになります。私たちは、代替オプションである分離に比べて英国および米国の株主にとって節税効果のある分割方式で行う予定であり、所管の税務当局から当該処理についての確認を取得しているところです。予定される租税処理の詳細については、分割承認に関して送付される株主通知の中で提供される予定です。
新たなGSKは、GSKの新コンシューマー・ヘルスケア会社に対する持ち分の最大20%を短期財務投資として保有することになりますが、新たなGSKのバランスシートの一層の強化および特定の年金給付義務のための原資として、適時に現金化する予定です。分離に先立ち、新たなGSKはコンシューマー・ヘルスケアから最高80億ポンドの配当を受け取る予定です。前述のとおり、新コンシューマー・ヘルスケア企業の純負債レバレッジ比率(純負債/調整後EBITDA)は4.0倍未満になると予想しています。GSKは、新コンシューマー・ヘルスケア企業に対して投資適格格付けの取得を目指します。
新コンシューマー・ヘルスケア企業の見通しに関する包括的な情報は、2022年前半に投資家に提供する予定です。
GSKの取締役会は、分離後の2社の個別の取締役会の準備を進めています。新コンシューマー・ヘルスケア会社の取締役会設立に向け、ビジネスの代表者として、また株主に対する事業価値を最大化するための適切なスキルと経験を有する取締役を編成するプロセスを開始しています。
さらに、最近のノンエグゼクティブの任命に加えて、新たなGSKのためのバイオ医薬品およびサイエンスの経験を補強するために、2社の分離に先立ってGSKの取締役の追加任命を予定しています。
*2017~2021における主要製品の承認取得状況
製品 | 適応症 | 承認された年 |
テリルジー エリプタ | COPD | 2017 |
シングリックス | 帯状疱疹ワクチン | 2017 |
ジャルカ | HIV | 2017 |
Kozenis | プラスモディウム・ビバックス(P. vivax) マラリア |
2018 |
ドウベイト | HIV | 2019 |
Zejula (維持療法のファーストライン/PRIMA) | 卵巣がんにおける維持療法のファーストライン治療 | 2020 |
ダーブロック | 慢性腎疾患による貧血 | 2020 |
Rukobia | HIV | 2020 |
Blenrep | 再発または難治性多発性骨髄腫 | 2020 |
Cabenuva | LA(long-acting、長期作用型) HIV | 2020 |
Jemperli2 | MMR(mismatch repair、ミスマッチ修復)機能欠損がある再発または進行性子宮内膜がん | 2021 |
+英語プレスリリースの「作成、前提および注意事項の根拠」の項参照
リスク非調整ベースでのピーク時年間売上が合計で200億ポンド超になる可能性がある後期パイプライン
パイプライン | 適応症 |
cabotegravir LA | HIV PrEP(Pre-exposure prophylaxis) |
daprodustat (HIF-PHI) | 貧血 |
Blenrep (BCMA ADC) | 多発性骨髄腫3 |
Jemperli (PD-1 antagonist)4 | 子宮内膜がんにおけるファーストライン治療 |
gepotidacin (2140944) | 単純性尿路感染症および泌尿生殖器淋病 |
RSV vaccine | RSウイルス 成人高齢者/その他5 |
MenABCWY vaccine | 髄膜炎 |
otilimab (3196165, aGM-CSF inhibitor) | 関節リウマチ |
depemokimab (GSK ‘294, LA anti-IL5 antagonist) | 喘息 |
Zejula (PARP inhibitor) | 卵巣がんにおけるファーストライン治療(dostarlimab併用) |
HBV ASO (GSK ‘836) | B型肝炎 |
プレスリリースの原文はhttps://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/new-gsk-to-deliver-step-change-in-growth-and-performance-over-next-ten-years/をご参照ください。
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。
1 調整後結果はIFRSに基づかない指標であり、IFRSに基づき提示されている情報に加えて検討する性質のものであり、それに代わるまたはそれより優れているものではありません。調整後結果、恒常為替レート(CER%)ベース成長率およびその他のIFRSに基づかない指標の定義およびIFRSに基づく最も近い指標への修正は、2021年第一四半期の業績発表、2020年度Form 20-Fのアニュアルレポートおよび英語プレスリリースの「報告に用いた定義」に記載されています。GSKは、英語プレスリリースに記載された理由に基づいて、調整後結果のみをベースにガイダンスおよび見通しを提示しています。将来の業績に関する全ての見込み、目標、計画およびその他のステートメントは、英語プレスリリースにある「作成、前提および注意事項の根拠」および「報告に用いた定義」と併せて読む必要があります。
2 Tesaroアセット
3 多発性骨髄腫(初期治療)
4 Tesaroアセット
5 母体および小児