GSKとサノフィ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン候補の第III相国際臨床試験を開始

この資料は、仏サノフィおよび英国グラクソ・スミスクラインplcが2021年5月27日(英国現地時間)に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2021年5月27日英国ロンドン、 フランスパリ発>

GSKとサノフィ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン候補の第III相国際臨床試験を開始

  • 複数の変異株が流行している様々な地域において、D.614(武漢)株とB.1.351(南アフリカ)変異株を標的としたワクチン製剤を、2段階の試験デザインで評価

  • 第III相臨床試験を補完する、ブースター試験プログラムも数週間のうちに開始

  • 第III相臨床試験および規制当局による審査が順調に進めば、グローバルにおいて2021年第4四半期に承認の可能性

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)とサノフィ(本社:フランス、以下サノフィ)は、5月27日、COVID-19に対する遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチン候補について、安全性、有効性、および免疫原性の評価を目的とした第III相臨床試験への被験者登録を開始したことを発表しました。この国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の第III相臨床試験には、米国およびアジア、アフリカ、中南米の数カ国において、18歳以上の35,000人以上を組み入れる予定です。

本試験の主要評価項目は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染歴のない成人における症状を伴うCOVID-19の予防、副次評価項目はCOVID-19の重症化の予防および無症候性感染の予防です。本試験では2段階のアプローチを用い、第1段階では当初のD.614(武漢)株を標的としたワクチン製剤の有効性を検討し、第2段階ではB.1.351(南アフリカ)変異株を標的とした2番目のワクチン製剤を評価します。最近得られた科学的エビデンスでは、B.1.351変異株に対する抗体は、感染力がより強い他の変異株に対しても幅広い交差免疫を持つ可能性が示されています1。第III相臨床試験は、広範囲に及ぶ多様な地域において実施することから、流行中のさまざまな変異株に対するワクチン候補の有効性の評価も可能となります。

また両社は、先日確認された第II相臨床試験の有望な中間解析の結果を受け、遺伝子組換えタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチン候補が、初回に受けたワクチンの種類に関係なく、強力なブースター効果を発揮するかどうかを評価するための臨床試験を数週間以内に開始する予定です。

サノフィのエグゼクティブバイスプレジデントで、サノフィパスツールのグローバルヘッドのトマ・トリオンフ(Thomas Triomphe)は、次のように述べています。
「この重要なピボタル第III相臨床試験において、ワクチン候補の接種が始まったことに勇気づけられる思いです。私たちの独自の技術プラットフォームを、臨床上意義あるワクチンの選択肢としてお届けできるようになることを確信しています。私たちは、ウイルスが変異を続けるなか、先を見据える形でそれぞれのワクチン開発戦略を改良し、パンデミック後のニーズも踏まえた形で開発を進めてきました。今回の臨床試験は、緊急事態に対する迅速なアプローチがパンデミックの克服に役立つことを示す証となります。」

GSK グローバルワクチン プレジデントのロジャー・コナー(Roger Connor)は次のように述べています。
「パンデミックの状況が変化し、変異株が続々と出現する中、COVID-19に対するさらなる解決策が求められていると考えています。このタンパク質ベースのアジュバント添加ワクチンは、我々の技術や試験デザインを調整することによって、ニーズへの対処の可能性をさらに高めます。試験に参加して下さる方々に感謝申し上げるとともに、できる限り早い時期にこのワクチンが利用可能となるよう、本試験の結果がこれまでに得られた有望なデータを補強するものとなることを願っています。」

第III相臨床試験は、先日、中間解析結果を報告した第II相臨床試験に続けて実施する試験です。遺伝子組換えアジュバント添加COVID-19ワクチン候補は第II相臨床試験の中間解析において、全年齢層の成人で中和抗体を誘導し、95~100%の抗体陽転率を示しました。また、SARS-CoV-2感染歴のある被験者においては、単回接種で高レベルの中和抗体を誘導し、ブースターワクチンとしても有力な開発候補となることが示唆されました。

第III相臨床試験および規制当局による審査が順調に進めば、グローバルにおいて2021年第4四半期にはワクチンの承認が見込まれます。また承認後に迅速な供給が可能となるよう、数週間以内に製造を開始する予定です。

この取り組みは、W15QKN-16-9-1002の契約の下、米国保健福祉省の事前準備・対応担当次官補局の一部門である米国生物医学先端研究開発局と、米国国防総省の化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局の支援を受けています。

GSKとサノフィ社の協働について
両社の協働において、サノフィ社は遺伝子組換え抗原を、GSKはアジュバントを提供しており、いずれもインフルエンザに対し効果が実証され、既に確立されたプラットフォームを使用しています。遺伝子組換え技術にGSKのアジュバント技術を組み合わせたこのワクチン候補は、通常のワクチンを管理する温度で安定性が保たれることから、通常の冷蔵温度でワクチンを保管する現行のインフラストラクチャを通じて、世界規模でのワクチンの接種や配送を容易に行うことができます。また、高く持続的な免疫応答を誘導し、ウイルス伝播を予防する可能性があります。

COVID-19に対するGSKの取り組み
COVID-19に対するGSKの取り組みは、業界内でも最も幅広いものであり、提携企業との協力のもと、複数のワクチン候補に加え、3種類の治療薬候補の開発を進めています。

GSKは、アジュバント技術を提供することで、複数の企業や団体と協力し、COVID-19ワクチンの開発に取り組んでいます。サノフィ社との協働に加え、メディカゴ社とのアジュバント添加植物由来ワクチン候補の共同開発は、現在、後期臨床試験の段階にあります。またSK Bioscience社と初期段階の協働も進めており、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を受け、COVAXファシリティを通じて世界に供給できるよう、手頃な価格で入手可能な差別化されたCOVID-19ワクチンの開発を行っています。アジュバントの使用は、パンデミックの状況下では特に重要です。アジュバントを使用することにより、1回の接種に必要な抗原の量が抑えられるため、ワクチンの生産量を増やすことができ、より多くの人々を守ることに貢献できるからです。

GSKはまた、メッセンジャーRNA技術を専門とするCureVac社と、1つのワクチンで複数の新たな変異株に対処できるCOVID-19次世代多価mRNAワクチンの開発も協働で進めています。さらに、CureVac社の第一世代COVID-19ワクチンについて、最大で1億回分の製造も支援します。また、Novavax社のCOVID-19ワクチンについて、英国における最大で6,000万回分の製造支援を行っています。
加えて、COVID-19患者さんに対する治療薬や治療選択肢の開発にも取り組んでいます。Vir Biotechnology社と協働し、COVID-19に対する治療や予防の選択肢として使用可能な既存の抗ウイルス抗体医薬の開発や、新たな抗体医薬の特定に取り組んでいます。先日両社は、入院リスクの高いCOVID-19成人患者さんの早期治療を目的に、VIR-7831の単独療法時の有効性を評価する第III相COMET-ICEの中間解析の結果、十分な有効性が確認され、独立データモニタリング委員会より、新規組み入れの中止が勧告されたことを発表しました。 米国では既に緊急使用許可が得られていますが、その他の国々でも承認が得られるよう取り組んでいます。さらに、過剰な免疫反応が生じている70歳以上のCOVID-19重症患者さんを対象に、モノクローナル抗体オチリマブの評価も行っています。

サノフィについて
サノフィは、健康上の課題に立ち向かう人々を支えます。私たちは、人々の健康にフォーカスしたグローバルなバイオ医薬品企業として、ワクチンで人々を守り、革新的な医薬品で痛みや苦しみを和らげます。希少疾患をもつ少数の人々から、慢性疾患をもつ何百万もの人々まで、寄り添い支え続けます。サノフィでは、100カ国において10万人以上の社員が、革新的な医科学研究に基づいたヘルスケア・ソリューションの創出に、世界中で取り組んでいます。

サノフィは、「Empowering Life」のスローガンの下、ヘルスジャーニー・パートナーとして人々を支えます。日本法人であるサノフィ株式会社の詳細は、https://www.sanofi.co.jpをご参照ください。

GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報についてはhttps://jp.gsk.comをご覧ください。

 

1. Moyo-Gwete, T. et al. SARS-CoV-2 501Y.V2 (B.1.351) elicits cross-reactive neutralizing antibodies. bioRxiv (2021).