ヒト化抗インターロイキン5モノクローナル抗体薬「ヌーカラ皮下注用100mg」の液剤「ヌーカラ皮下注100mgシリンジ」および「ヌーカラ皮下注100mgペン」「在宅自己注射指導管理料」対象薬剤に追加のお知らせ
グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体薬「ヌーカラ皮下注用100mg」(一般名:メポリズマブ(遺伝子組換え)以下「ヌーカラ」)の液剤であるプレフィルドシリンジ製剤「ヌーカラ皮下注100mgシリンジ」とオートインジェクター製剤「ヌーカラ皮下注100mgペン」が、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤となり、2021年4月21日より在宅自己注射が保険適用になったことをお知らせします。
今回の保険適用により、成人の気管支喘息および12歳以上の小児の気管支喘息で、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者さん、もしくは既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の成人の患者さんは、医師が適切と判断した場合、事前に十分な説明とトレーニングを受けた上で、液剤による在宅自己注射が可能となります。
「ヌーカラ」は、IL-5が好酸球の表面にあるIL-5受容体に結合することを阻害する、モノクローナル抗体です。IL-5の結合を阻害することにより、血中、組織、および喀痰に含まれる好酸球数を減少させます1,2,3,4,5。
「ヌーカラ」は、日本国内において凍結乾燥製剤が2016年3月28日に成人および12歳以上の小児に対し、「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」の効能又は効果、「通常、成人及び12歳以上の小児にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する」の用法・用量にて承認されており、また2018年5月25日に成人に対して「既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」の効能又は効果、「通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する」の用法・用量にて、追加承認されています。
さらに2020年3月25日に、プレフィルドシリンジ製剤「ヌーカラ皮下注100mgシリンジ」およびオートインジェクター製剤「ヌーカラ皮下注100mgペン」の剤形追加について製造販売承認、並びに6~11歳の小児重症喘息患者に対する、凍結乾燥製剤の用法及び用量(「通常、6歳以上12歳未満の小児にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回40mgを4週間ごとに皮下に注射する。」)の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得しています。
今回の保険適用を受け、当社代表取締役社長のポール・リレットは、次のように述べています。
「在宅での自己注射が可能になったことで、患者さんの生活スタイルに合わせた治療法の選択や通院による負担の軽減などが期待できると考えています。治療薬の開発に留まらず、より患者さんに寄り添った治療選択肢を提供していくことは、私たちGSKの“患者さん中心”の価値観を体現するものであると考えています。今後も引き続き、患者さんの生活の質の向上や治療に貢献できるよう、努めて参ります。」
喘息について
現在、全世界で約2億4,200万人が喘息に罹患していると推定されています6。日本では、全国主要9都市での調査の結果、成人(20~44歳)での有病率が10.4%7、約800万人が喘息に罹患していると推定されています8。喘息患者の多くは、既存の治療薬を適切に使用している場合、症状を十分にコントロールすることができますが、喘息患者のうち5~10%が重症喘息であり、既存の治療法では症状を十分にコントロールすることができません9。
重症喘息および好酸球性炎症について
重症喘息は、「“コントロール不良”となることを予防するため高用量の吸入ステロイド薬および長期管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療が必要である喘息、あるいはこうした治療にもかかわらず“コントロール不良”となる喘息」と定義されています10。また、経口ステロイド薬を長期間使用している患者も重症喘息患者として分類されます。重症喘息患者の集団において、好酸球(白血球の一種)の産生亢進が肺の炎症を引き起こし、気道に影響を与え、呼吸を制限し、喘息発作の頻度を増加させることが明らかになっています11,12。IL-5は好酸球の増殖、活性化および生存を促進する主要因子であり、骨髄から肺への好酸球の遊走にも深く関与しています11,12,13,14。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)は、従来アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis:AGA)あるいはチャーグ・ストラウス症候群(Churg Strauss syndrome:CSS)と呼ばれてきた血管炎症候群です。先行症状として気管支喘息やアレルギー性鼻炎がみられ、末梢血好酸球増多を伴って血管炎を生じ、末梢神経炎、紫斑、消化管潰瘍、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・心外膜炎などの臨床症状を呈する疾患です15。EGPAの発症の平均年齢は55歳、男:女=1:2と報告されています16。また日本におけるEGPAの特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は、3,401人(平成30年度末現在)です17。EGPAは指定難病であり、「ヌーカラ」はEGPAに対し、希少疾病用医薬品に指定されています。
GSKの呼吸器領域への注力と貢献
GSKは約50年にわたり、気管支喘息とCOPDの領域において、治療薬の研究開発をリードしてきました。1969年の世界初となる短時間作用型β2刺激薬をはじめ、最近5年間で7つの薬剤を発売し、今日の呼吸器領域における製品群につなげてきました。私たちはこれからも適切な患者さんに適切な治療を届けられるよう、多くの医療関係者とともに、世界に誇る科学を駆使し、明日の治療を変える薬剤の研究開発に注力してまいります。すべての患者さんが、呼吸を妨げられずに生活できる日が来るまで、私たちは歩みを止めることはありません。
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。
1 Pavord ID, et al. Lancet 2012; 380(9842):651–9.
2 Ortega HG, N Engl J Med. 2014;371:1198-207.
3 Menzies-Gow A, et al. J Allergy Clin Immunol. 2003 Apr;111(4):714-9.
4 Nair P, et al. N Engl J Med. 2009 Mar 5;360(10):985-93.
5 Flood-Page P.T., Am J Respir Crit Care Med. 2003 Jan 15;167(2):199-204.
6 Global Burden of Disease Study 2013 Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 301 acute and chronic diseases and injuries in 188 countries, 1990–2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013. Lancet. 2015; 386:743–800
7 厚生労働科学研究費『アレルギー疾患対策に必要とされる疫学調査と疫学データベース作成に関する研究(代表 赤澤晃)2016年度報告書』
8 厚生科学審議会 疾病対策部会 リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書,2011
9 Chung, K.F., et al. (2014) International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J, 43, 343–373.
10 Chung KF, et al. International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J. 2014; 43:343–373
11 Rothenberg ME. Eosinophillia. N Engl J Med. 1998; 338:1592-1600
12 Lopez AF, et al. Recombinant human interleukin 5 is a selective activator of human eosinophil function. J Exp Med. 1988; 167:219–224
13 Rosenberg HF, Dyer KD, Foster PS. Eosinophils: changing perspectives in health and disease. Nat Rev Immunol. 2013; 13:9-22
14 Kouro T, Takatsu T. IL-5- and eosinophil-mediated inflammation: from discovery to therapy. Int Immunol. 2009;21(12):1303–1309
15 ANCA関連血管炎診療ガイドライン, 2017
16 Sada K, et ak: Modern Rheumatology, 2014; 24(4):640-644
17 難病情報センター 平成30年度末現在 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数 https://www.nanbyou.or.jp/entry/5354
2021 February 17 access