GSKとVir Biotechnology 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人入院患者を対象に「VIR-7831」を評価する米国国立衛生研究所主導のACTIV-3試験について最新情報を発表
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2021年3月3日(英国現地時間)に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細は https://www.gsk.com をご参照ください。
<2021年3月3日、英国ロンドン発>
GSKとVir Biotechnology
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人入院患者を対象に「VIR-7831」を評価する米国国立衛生研究所主導のACTIV-3試験について最新情報を発表
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)とVir Biotechnology, Inc.(本社:米国、以下Vir社)は3月3日、米国国立衛生研究所(以下、NIH)のAccelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines(ACTIV)Program第III相臨床試験におけるVIR-7831についての最新情報を発表しました。
両社は、VIR-7831について、ACTIV-3試験の次のフェーズに進むための予め規定された主要評価項目を満たしており、安全性シグナルに関する報告もなかったものの、入手可能なデータにおける感度分析の結果、潜在的なベネフィットの大きさに懸念があるとの報告を受けました。独立データ安全性モニタリング委員会は、データが十分集積する間、本試験におけるVIR-7831投与群の組み入れ中止を勧告しました。両社は、集積中のデータへの理解を深めるとともに、入院患者におけるVIR-7831の可能性に関し、更に評価するための適切な方法について、NIHと協議を続けていきます。
独立データ安全性モニタリング委員会の勧告は、ACTIV-3に登録されているCOVID-19で入院した最初の300例を対象に、安全性と有効性データに関して予め計画されたレビューに基づくものです。
Vir社の最高経営責任者、ジョージ・スカンゴス博士は次のように述べています。
「独立データ安全性モニタリング委員会の勧告は残念なものではありますが、VIR-7831の安全性プロファイルや、症状が進行した患者さんに、レムデシビルや副腎皮質ホルモン製剤に加えVIR-7831を投与した際のベネフィットの可能性に勇気づけられています。VIR-7831や他の製剤がもたらすベネフィットに関する評価を行ってくれたことに対し、NIHに感謝申し上げると同時に、症状が進行した患者さんに対するVIR-7831のベネフィットの可能性について更に理解を深めるため、引き続き協議できることを期待しています。また、新たに診断された入院リスクの高いCOVID-19患者さんを対象とした第III相臨床試験COMET-ICEの今後発表されるデータを心待ちにしています。」
GSK研究開発部門のシニアバイス・プレジデントであるクリストファー・コルシコは次のように述べています。
「この試験にご参加いただきました患者さんに感謝申し上げたいと思います。そして、新しい変異株が世界各地で出現し、差別化できる治療薬へのニーズがあることを理解し、4つのモノクローナル抗体を評価するACTIV試験に出資してくれたNIHに感謝申し上げたいと思います。これらのデータ及びその他の今後期待されるデータは、このパンデミックとの闘いにVIR-7831がいかに貢献できるかという点において、貴重な知見を提供することでしょう。」
VIR-7831は、2つの作用を持つモノクローナル抗体です。前臨床試験では、正常細胞へのウイルス侵入を防ぐとともに、感染細胞を除去する能力を高めるという可能性が示唆されており、これにより症状の進行を抑えられる可能性があります。
VIR-7831は、スパイクタンパク質の高度に保存されたエピトープに結合することで、SARS-CoV-2生ウイルスの中和能も示しており、このため、変異がより生じにくくなる可能性があります。これまでのところ、英国、南アフリカ、ブラジルをはじめとする懸念される変異株は、VIR-7831が標的とするウイルスのエピトープとは重複していないため、Vir社とGSKは、これらの変異株に対しVIR-7831は十分に中和活性を保有するものと考えています。
VIR-7831は、ACTIV-3試験に加え、以下の臨床試験において、外来患者さんにおける評価も行われています。
- COMET-ICE(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial – Intent to Care Early)試験:入院もしくは死亡リスクの高い成人COVID-19患者さんに対する早期治療を目的とし、VIR-7831を評価する第III相臨床試験。
- BLAZE-4試験(イーライ・リリー社主導):軽症から中等症の、リスクの低い成人COVID-19患者さんを対象に、イーライ・リリー社のbamlanivimab(LY-CoV555)単剤、およびbamlanivimabとVIR-7831をはじめとする他の中和抗体を併用した場合の安全性と有効性を、プラセボと比較し評価する第II相臨床試験
またVIR-7831はVIR-7832とともに、軽症から中等症のCOVID-19患者さんを対象に、NIHが主導する第Ib/IIa相臨床試験「AGILE」でも評価される予定です。VIR-7832は、Vir社とGSKとの協働における2つ目のモノクローナル抗体で、COVID-19に対する潜在的な治療薬として研究開発が進められています。
VIR-7831とVIR-7832は現在治験中の化合物であり、米国食品医薬品局や他の規制当局の承認は得ておりません。
VIR-7831/GSK4182136について
VIR-7831は、2つの作用を持つモノクローナル抗体です。前臨床試験では、正常細胞へのウイルス侵入を防ぐとともに、感染細胞を除去する能力を高めるという可能性が示唆されています。この抗体は、SARS-CoV-2のエピトープと結合します。これは、SARS-CoV-1(SARSを引き起こすウイルス)と共有され、保存性が高いことが示されるエピトープで、そのため変異がより生じにくくなると考えられます。
Xencor社のXtend™技術を取り入れたVIR-7831は、SARS-CoV-2が感染した気道組織への最適な浸透性を確保するため、肺における高い組織移行性と半減期の延長も図られています。
VIR-7832/GSK4182137について
VIR-7832は、2つの作用を持つモノクローナル抗体です。前臨床試験では、正常細胞へのウイルス侵入を防ぐとともに、感染細胞を除去する能力を高めるという可能性が示唆されています。この抗体は、SARS-CoV-2のエピトープと結合します。これは、SARS-CoV-1(SARSを引き起こすウイルス)と共有され、保存性が高いことが示されるエピトープで、そのため変異がより生じにくくなると考えられます。Xencor社のXtend技術とその他Fc領域に関する技術を取れ入れたVIR-7832は、SARS-CoV-2が感染した気道組織への最適な浸透性を確保するため、肺における高い組織移行性と半減期の延長が図られています。重要なのは、VIR-7832は、ウイルス特異的なT細胞機能を高めるよう設計されており、COVID-19の治療と予防の両方、もしくはいずれかにおいて貢献できる可能性があることです。
Vir社とGSKの協働について
2020年4月、Vir Biotechnology社とGSKは、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2を含むコロナウイルスに対するソリューションの研究開発において、提携する契約を締結しました。この提携では、Vir社独自のモノクローナル抗体プラットフォーム技術を駆使し、今回のCOVID-19の世界的大流行と今後発生する可能性のある大流行に対応するため、治療薬やワクチンとして選択肢となりうる既存の抗ウイルス抗体の開発を加速させ、新規抗ウイルス抗体を特定します。また両社は、機能ゲノミクス分野でGSKが持つ専門性を活用するとともに、CRISPRスクリーニングと人工知能の分野において両社が培った技術を結集し、細胞宿主遺伝子を標的とした抗コロナウイルス化合物を特定します。さらに、両社それぞれの専門性をSARS-CoV-2やその他のコロナウイルスワクチンの研究に活用します。
COVID-19に対するGSKの取り組み
COVID-19に対するGSKの取り組みは、業界内でも最も幅広いものであり、現在2種類の治療薬および複数のワクチン候補の開発を進めています。
GSKは、アジュバント技術を提供することで、世界における複数の企業や団体と協力し、COVID-19ワクチンの開発に取り組んでいます。サノフィ社との協働に加え、メディカゴ社とのアジュバント添加タンパク質ベースのワクチン候補の共同開発は、現在後期臨床試験の段階にあります。
またSK Bioscience社と初期段階の協働も現在進めており、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を受け、COVAXを通じて世界に供給できるよう、差別化でき、かつ手頃な価格で入手可能なCOVID-19ワクチンを開発しています。
アジュバントの使用は、パンデミックの状況下では特に重要です。アジュバントを使用することにより、1回の接種に必要な抗原の量が抑えられるため、ワクチンの生産量を増やすことができ、より多くの人々を守ることに貢献できるからです。
GSKは、メッセンジャーRNA技術を専門とするCureVac社と、1つのワクチンで複数の新たな変異株に対処できるCOVID-19次世代多価mRNAワクチンを開発すべく協働を進めています。またGSKは、CureVac社の第一世代COVID-19ワクチン候補について、承認された場合、最大1億回分の製造も支援します。
GSKは、COVID-19患者さんに対する治療薬や治療選択肢の開発にも取り組んでいます。Vir Biotechnology社と協働し、COVID-19に対する治療もしくは予防の選択肢として使用可能な既存の抗ウイルス抗体医薬の開発や、新たな抗体医薬の特定に取り組んでいます。
Vir Biotechnologyについて
Vir Biotechnologyは、免疫学的考察と最先端技術を組み合わせ、重篤な感染症の治療と予防にフォーカスした臨床段階の免疫系専門企業です。Vir社では、自然免疫過程に関する重要な所見を探索することで、免疫系を刺激し活性化するための4つの技術プラットフォームを確立しました。現在、同社が有する開発パイプラインには、COVID-19を標的とする製品候補、B型肝炎ウイルス、A型インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルスを標的とした製品候補が含まれています。詳細については、www.vir.bioをご覧ください。
GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報についてはhttps://jp.gsk.com/をご覧ください。