GSKとVir Biotechnology 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人入院患者を対象に「VIR-7831」を評価する米国国立衛生研究所主導のACTIV-3試験を開始

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2020年12月17日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細は https://www.gsk.com/ をご参照ください。

<2020年12月17日、英国ロンドン、米国サンフランシスコ発>

GSKとVir Biotechnology
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人入院患者を対象に「VIR-7831」を評価する米国国立衛生研究所主導のACTIV-3試験を開始

国際共同第III相臨床試験は、COVID-19で入院した成人患者を対象にVIR-7831の安全性・有効性を評価

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)とVir Biotechnology, Inc.(本社:米国、以下Vir社)は12月17日、米国国立衛生研究所(以下、NIH)のAccelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines (ACTIV)Program 第III相臨床試験の新しいサブトライアルにおいて、最初の患者への投与が行われたことを発表しました。この試験は、COVID-19で入院した成人患者を対象に、VIR-7831の安全性と有効性を評価することを目的としています。VIR-7831(別称GSK4182136)は、現在開発中の完全ヒト抗SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)モノクローナル抗体で、ウイルスを中和し、感染細胞を死滅させ、耐性に対する高いバリア機能と、主な感染部位の1つである肺における高い組織移行性を示す可能性があることから、選定されました。

ACTIV-3試験は、COVID-19に対する最も有望な治療薬とワクチン候補の開発を加速することを目的に設計された、NIH主導の官民パートナーシップであるNIH ACTIVプログラムで、現在進行中の試験の1つです。ACTIV-3試験は、複数の治験実施施設において、同じ臨床試験デザインで、複数の治療候補薬を同時に評価する「マスタープロトコル」として設計されています。

Vir社の最高経営責任者、ジョージ・スカンゴス博士は次のように述べています。
「最新のデータでは、入院中の患者さんの病状が最も重篤な状態に進展するのを防ぐためには、抗体の中和活性が不十分である可能性が示唆されています。VIR-7831の有する特徴と幅広い抗ウイルス活性により、これらの患者さんを救い、そして将来発生しうるコロナウイルスが原因となる感染症への備えにつながることを期待しています。」

GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであり、研究開発部門のプレジデントであるハル・バロンは次のように述べています。
「新規感染者数や入院率が過去最高値を記録する中、このパンデミックを制圧するため、世界は複数の選択肢を必要としています。我々は、COVID-19関連疾患から人々を救うため、予防から治療に至るまで、このウイルスと闘うためのソリューションを開発しています。我々の治療薬候補であるVIR-7831は、薬剤耐性に対する高いバリア機能を備え、ウイルスに対する中和作用を示し、感染細胞を死滅させる可能性があることから、他の抗体医薬がこれまで効果を示していない入院患者に対し、有効な治療薬となる可能性があります。」

第III相臨床試験ACTIV-3に加え、VIR-7831は入院リスクの高い成人患者を対象に、COVID-19に対する早期治療を目的とした国際共同治験 第II/III相COMET-ICE試験(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial - Intent to Care Early)においても評価が行われています。COMET-ICE試験の第III相臨床試験では、入院を必要としない成人患者約1,300人を対象に、VIR-7831もしくはプラセボを単回静脈内投与し、その安全性と有効性を評価しています。主要評価項目は、無作為割り付け後、29日以内に悪化(入院もしくは死亡と定義する)した患者の割合です。VIR-7831に対するCOMET臨床開発プログラムには、症候性感染の予防を目的とした第III相臨床試験も含まれています。

ACTIV-3試験のデザイン
VIR-7831を評価するACTIV-3試験では、発症後13日未満の軽症から中等度の入院患者300人を対象に、VIR-7831もしくはプラセボを投与し比較します。被検者には、FDAが承認した抗ウイルス薬レムデシビルを含むCOVID-19に対する標準治療も行われます。投与後5日間における、酸素吸入や人工呼吸器、その他支持療法の必要性に基づき被検者の臨床状態を評価します。VIR-7831投与群において、ベネフィット・リスクプロファイルが良好であれば、より重症の患者(臓器不全により機械的補助を必要とする患者やCOVID-19に関連した肺以外の組織機能障害を有する成人患者)を含め、更に700人の被検者を追加登録する予定です。試験登録後90日間、被検者のフォローアップを行い、治療に対する反応を分析します。主要評価項目は、退院後14日間における回復状態の維持です。

VIR-7831/GSK4182136について
VIR-7831(別称GSK4182136)は、in vitroとin vivoでSARS-CoV-2の生ウイルスの中和能を示したモノクローナル抗体で、SARS-CoV-2のエピトープと結合します。これは、SARS-CoV-1(SARSとして知られる)と共有され、保存性が高いことが示されるエピトープで、そのためエスケープ変異が生じにくくなると考えられます。またVIR-7831/GSK4182136は、肺におけるバイオアベイラビリティが高められ、半減期も延長する可能性があります。

Vir社とGSKの協働について
2020年4月、Vir Biotechnology社とGSKは、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2を含むコロナウイルスに対するソリューションの研究開発において、提携する契約を締結しました。この提携では、Vir社独自のモノクローナル抗体プラットフォーム技術を駆使し、今回のCOVID-19の世界的大流行と今後発生する可能性のある大流行に対応するため、治療薬やワクチンとして選択肢となりうる既存の抗ウイルス抗体の開発を加速させ、新規抗ウイルス抗体を同定します。また両社は、機能ゲノミクス分野でGSKが持つ専門性を活用するとともに、CRISPRスクリーニングと人工知能の分野において両社が培った技術を結集し、細胞宿主遺伝子を標的とした抗コロナウイルス化合物を同定します。さらに、両社それぞれの専門性をSARS-CoV-2やその他のコロナウイルスワクチンの研究に活用します。

Vir Biotechnologyについて
Vir Biotechnologyは、免疫学的考察と最先端技術を組み合わせ、重篤な感染症の治療と予防に フォーカスした臨床段階の免疫系専門企業です。Vir社では、自然免疫過程に関する重要な所見を探索することで、免疫系を刺激し活性化するための4つの技術プラットフォームを確立しました。現在、同社が有する開発パイプラインには、SARS-CoV-2、B型肝炎ウイルス、A型インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス、および結核菌を標的とした製品候補が含まれています。詳細については、www.vir.bio をご覧ください。

GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報については https://jp.gsk.com/ をご覧ください。