腎性貧血治療薬「ダーブロック錠」GSKとして、世界に先駆け日本で発売~透析の有無に関わらず、1日1回の経口投与という新たな治療選択肢~
グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ポール・リレット、以下GSK)は、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬(hypoxia-inducible factor prolyl-hydroxylase inhibitor、以下HIF-PHI)である「ダーブロック錠」(一般名:ダプロデュスタット)について、腎性貧血を効能・効果として、8月26日に発売いたします。
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease、以下CKD)の患者さんでは、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため、貧血がよく見られます1。
腎性貧血に対して注射剤による標準治療はあるものの、経口薬による治療に対するアンメットメディカルニーズがあり、そこで新たに開発されたのが、HIF-PHIです。HIF-PHIは低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで、腎性貧血に効果をもたらす作用機序の薬剤です。
ダーブロック錠は、注射剤による標準治療と比べ、透析(血液透析及び腹膜透析)を受けている患者さん及び透析を受けていない患者さんの、いずれにも経口投与できるという利便性と1日1回投与という柔軟性を備えています。
当社代表取締役社長のポール・リレットは、今回の発売を受け、次のように述べています。
「日本の腎性貧血の患者さんに、世界中のどの国よりもいち早く新たな治療選択肢を届けられることを、大変嬉しく思います。ダーブロック錠は、透析の有無に関わらず経口投与が可能であり、1日1回という柔軟性を有するという点でも、腎性貧血の患者さんに広く貢献できるものと確信しています。」
「ダーブロック錠」の製品概要
製品名 | ダーブロック錠 1mg ダーブロック錠 2mg ダーブロック錠 4mg ダーブロック錠 6mg |
一般名 | ダプロデュスタット |
製造販売承認取得日 | 2020年6月29日 |
発売日 | 2020年8月26日 |
薬価 | ダーブロック錠 1mg 1錠105.40円 ダーブロック錠 2mg 1錠185.80円 ダーブロック錠 4mg 1錠327.40円 ダーブロック錠 6mg 1錠456.10円 |
効能・効果 | 腎性貧血 |
用法・用量 |
1.保存期慢性腎臓病患者 赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合 2.透析患者 |
ダーブロック錠は、GSKのスペシャリティケア領域の中でも重要な製品の1つです。日本国内においてダーブロック錠は、2018年に締結した戦略的販売提携契約に基づき、流通・販売業務は協和キリン株式会社が独占的に行う予定です。協和キリン株式会社は、日本における腎領域での豊富な経験と専門性を有しており、医療関係者への適切な情報提供を通じて、本剤を患者さんに提供できるものと考えます。医療機関等へのプロモーション活動は協和キリン株式会社が実施し、MSL活動は協和キリン株式会社とGSKが協働で実施します。
腎性貧血について
貧血は、酸素を体内に運ぶ赤血球の減少やヘモグロビン濃度の低下がみられる状態を述べた用語であり、一般に貧血の診断にはヘモグロビン濃度が用いられます。腎臓は、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促進します1。エリスロポエチンは赤血球の産生の促進に関与するホルモンですが、腎障害を有する患者では腎臓が十分な量のエリスロポエチンを産生できなくなることから、腎性貧血がよく起こります。腎機能の低下に伴い、腎性貧血の有病率は高くなります。
日本ではCKDステージ3~5の患者は1,090万人おり、このうち約32%に貧血が見られるとされています 2,3。腎性貧血になると、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、全身倦怠感などの症状が現れますが、貧血は徐々に進行するため症状に気がつかないこともあります。従って、定期的な検査、またその後の適切な治療が必要です。
ダーブロック錠について
ダーブロック錠は、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素の阻害薬で、透析の有無に関わらず、成人の腎性貧血を効能・効果とした治療薬です。酸素を検知するプロリン水酸化酵素を阻害することで低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、赤血球産生や鉄代謝に関与するエリスロポエチンやその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられています。ダーブロック錠は、赤血球造血刺激因子(ESA)注射剤と異なり、経口投与が可能で、低温保管の必要性がない新たな治療の選択肢として開発されました。
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報は https://jp.gsk.com/ をご参照ください。
1 Anemia in Chronic Kidney Disease. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/anemia
2 Akizawa T. et al. Burden of Anemia in Chronic Kidney Disease Patients in Japan: A Literature Review. Ther Apher Dial. 2018;22(5):444-56. https://doi.org/10.1111/1744-9987.12712
3 Imai E. et al. Prevalence of chronic kidney disease in the Japanese general population. Clin Exp Nephrol. 2009;13(6):621-30. https://doi.org/10.1007/s10157-009-0199-x