GSKとVir Biotechnology、コロナウイルスのソリューション探索で提携

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2020年4月6日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照ください。

<2020年4月6日、ロンドン(英国)、サンフランシスコ(米国)発>

  • 両社独自のサイエンスとテクノロジーにおける専門性を結集し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応するとともに、将来的なコロナウイルスの大流行に備える

  • 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有望な抗体候補の開発を加速させ、今後3~5カ月以内に第II相臨床試験を開始

  • GSKはVir社に、2億5,000万ドルを株式投資

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)とVir Biotechnology, Inc.(本社:米国、以下Vir社)は4月6日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含む、コロナウイルス種に対するソリューションの研究開発において提携する契約を締結したことを発表しました。

この提携ではVir社独自のモロクローナル抗体プラットフォーム技術を駆使し、今回のCOVID-19の世界的な大流行と今後発生する可能性のある大流行に対応するため、治療薬またはワクチンとして選択肢となりうる既存の抗ウイルス抗体の開発を加速させ、新規抗ウイルス抗体を同定します。両社は、機能ゲノミクス分野でGSKの持つ専門性を活用するとともに、CRISPRスクリーニングと人工知能の分野において両社が培った技術を結集し、細胞宿主遺伝子を標的とした抗コロナウイルス化合物を同定します。さらに、両社それぞれの専門性をSARS-CoV-2やその他のコロナウイルスワクチンの研究に活用します。

GSKのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであり研究開発部門のプレジデントであるハル・バロンは次のように述べています。「Vir社独自の抗体プラットフォームは、さまざまな病原体の治療薬となる抗体の同定とその開発において、既に成果を収めています。これは免疫系に関連したサイエンスにフォーカスするGSKのR&Dアプローチを補完するものです。私たち両社の人材と情熱が一体となることで、COVID-19を標的とする非常に有望な抗体候補を含むさまざまな疾患に対するソリューションを展開できるものと、大いに期待しています。」

COVID-19への対応を必要とする患者さんの差し迫ったニーズに応えるため、本提携においてはまず、Vir社のプラットフォームにより同定された特異的抗体候補であるVIR-7831およびVIR-7832の開発を加速することに注力します。これらの抗体候補は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対し高い親和性を示し、生ウイルス細胞アッセイではSARS-CoV-2に対し強力な中和能を示しています。規制当局による審査を条件として、今後3~5カ月以内に第II相臨床試験を開始する予定です。

また、本提携では、Vir社のCRISPRスクリーニングと機械学習アプローチを利用し、ウイルス感染を防御する細胞側の標的を同定します。Vir社では既にインフルエンザや他の呼吸器系病原体に加え、B型肝炎ウイルスに対する複数の標的候補を同定していますが、今後はSARS-CoV-2に注力していくことになります。

さらに両社は、GSKのワクチン技術と、共通のウイルス科に交差反応を示す中和エピトープを同定するVir社の専門技術を結集し、SARS-CoV-2やその他のコロナウイルスワクチンに関する研究を行うことにも合意しました。これらの取り組みは、COVID-19に対するワクチン候補を開発する上でGSKが進めている他の取り組みをさらに強化するものとなります。

Vir社のCEOであるジョージ・スカンゴス博士は次のように語っています。「今回のコロナウイルスの世界的な大流行を阻止するには、さまざまな治療アプローチ、すなわち薬剤を併用またはひとつずつ順に使用するという方式を必要とすることが次第に明らかとなってきています。コロナウイルスの大流行は、今回限りで終わらない可能性が高いと思われます。これらの見解は、Vir社の科学的アプローチに対する情報提供へと繋がります。私たちと考え方を同じくする研究開発戦略やワクチン分野における深い専門知識を有し、医薬品を世界中の人々に届けるためのグローバルで優れたネットワークを持つGSKと力を合わせ、この戦略を実施していくことを喜ばしく思っています。」

今後、Vir社の持つ技術を利用するため、GSKはVir社に対し2億5,000万ドルの株式投資を行う予定です。これには2020年3月27日(金)時点の株価の終値に額面価格より10%割り増しの37.73ドルという値が付いています。株式投資と提携契約は同時に完了する予定であり、ハート・スコット・ロディノ法に準拠した適切な規制当局による審査を含む慣習的条件を前提としています。 

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Vir社の抗体プラットフォームについて
Vir社では、感染症から守られた人々または感染症から回復した人々で自然にみられる、免疫応答を利用した精度の高い方法を用いています。このプラットフォームは、生存者で認められる希少抗体の同定に使用します。このような抗体は、病原体を直接中和し免疫系を刺激するため、急速に進化する病原体および/または従来は治療不可能であった病原体の治療に応用できる可能性があります。Vir社は、治療の可能性を高めることが見出されている完全ヒト抗体の創生を行います。このプラットフォームは、エボラ出血熱(抗体薬mAb114、現在はコンゴ民主共和国で使用)、B型肝炎ウイルス、A型インフルエンザ、SARS-CoV-2、マラリア等を含む病原体に対する抗体の同定や開発にすでに使われています。

Vir社の免疫プラットフォームについて
Vir社では、CRISPRを用いた機能ゲノミクス、計算生物学、および機械学習を利用することにより、病原体の生存に必要となる主な宿主因子を同定し、自然免疫系の防御効果を調べます。その後、感染抑制を目的として、病原体の複製の阻止や自然免疫を誘導する宿主タンパク質を安全に標的とする製品候補の同定を行います。

Vir Biotechnologyについて
Vir Biotechnologyは、免疫学的考察と最先端技術を組み合わせ、重篤な感染症の治療と予防にフォーカスした臨床段階の免疫系専門企業です。Vir社では、自然免疫過程に関する重要な所見を探索することで、免疫系を刺激し活性化するための4つの技術プラットフォームを確立しました。
現在、同社が有する開発パイプラインには、B型肝炎ウイルス、A型インフルエンザ、SARS-CoV-2、ヒト免疫不全ウイルス、および結核菌を標的とした製品候補が含まれています。詳細については、www.vir.bioをご覧ください。

GSKについて
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報についてはhttps://jp.gsk.com/をご覧ください。