メポリズマブ 好酸球増加症候群(HES)の患者において、抗IL-5抗体薬として 初めて再燃を有意に抑制

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2019年11月13日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細は https://www.gsk.com をご参照ください。

2019年11月13日 英国ロンドン発

メポリズマブ
好酸球増加症候群(HES)の患者において、抗IL-5抗体薬として
初めて再燃を有意に抑制

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は11月13日、好酸球増加症候群(Hypereosinophilic Syndrome、以下HES)の患者に対する治療として抗インターロイキン5(IL-5)抗体薬であるメポリズマブを用いた主要な臨床試験において、良好な結果が得られたことを発表しました。これにより、メポリズマブは希少疾病であるHESの再燃を抑制することを示した初めての治療薬となります。

※本邦をはじめ、HESの適応症でメポリズマブが承認を取得している国はありません。

第III相試験では、32週間にわたり標準治療にメポリズマブ又はプラセボのいずれかを追加した群の比較を行いました。その結果、メポリズマブ群ではプラセボ群と比較し、HES再燃(用量漸増を要する症状悪化または好酸球数の増加)がみられた患者が50%減少し、統計学的に有意な結果が示され、主要評価項目が達成されました(56% vs 28%; p=0.002)。

当社のChief Scientific Officer and President, R&DのDr. Hal Barronは次のように述べています。
「メポリズマブには、現時点では限られた治療選択肢しかない消耗性の複合疾患であるHESの患者さんの治療環境を変える可能性が期待されます」

本試験の副次評価項目も統計学的に有意な結果を示し、以下の通り主要評価項目の結果を裏付けるものとなりました。

  • プラセボ群と比較し、メポリズマブ群では、試験期間中のHESの初回再燃リスクが66%低下しました(ハザード比 0.34; 95% 信頼区間 [0.18, 0.67])。
  • プラセボ群と比較し、メポリズマブ群ではHES再燃の年間発生率が66%低下しました(率比 0.34; 95%信頼区間[0.19, 0.63])。
  • プラセボ群と比較し、メポリズマブ群では、疲労スコアが改善しました(p=0.036)。
  • 本試験の安全性評価結果はメポリズマブの既知のプロファイルと一致していました。

アレルギー専門医および免疫学者であり、かつHESの専門医でもあるユタ大学の医学博士Dr. Gerald Gleich.は次のように述べています。
「メポリズマブは血中好酸球数を減少させることにより作用すると考えられています。さらに、エビデンスから、好酸球の増加が引き起こすさまざまな炎症性疾患に対する標的治療の選択肢となる可能性が示唆されています。これらのデータは非常に有望であり、好酸球性炎症が原因で起こる希少かつ生命を脅かす疾患の患者さんに希望をもたらすでしょう」

なお本試験の詳細な結果は、今後関係学会で発表され、学術誌にて投稿される予定です。

好酸球増加症候群(HES)について
HESは世界中で約2万人が罹患している炎症性希少疾患群です。HESの患者さんでは、白血球の一種である好酸球に持続的かつ顕著な過剰産生が起こります。好酸球がある特定の組織に浸潤すると炎症や臓器障害が起こることがあり、時間の経過とともに日常生活機能に影響を与えます。合併症は発熱や倦怠感から呼吸器障害や心臓障害に至るまで、多岐にわたります。治療しないまま放置すると、症状が次第に悪化し、死に至る可能性もあります。

第III相試験について
108例の患者を登録した、この主要な第III相試験は、32週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であり、重症のHESを有する青年期および成人患者を対象として、メポリズマブ300mg(3x100mg)を4週間ごとに皮下注射したときの有効性および安全性をプラセボと比較検討することを目的としています。重症のHESは、過去12カ月の間に2回以上のHESの再燃があり、血中好酸球数が1,000/µL以上となった場合と定義しました。メポリズマブはHESに対し、米国食品医薬品局(FDA)からFast Trackおよび希少疾病用医薬品の指定を受けています。また欧州医薬品庁(EMA)は、HESの治療薬としてメポリズマブを希少疾病用医薬品に指定しています。

メポリズマブについて
重症好酸球性喘息を適応として2015年に初めて承認されたメポリズマブは、IL-5を標的とするファーストインクラスのモノクローナル抗体です。メポリズマブはIL-5と好酸球の表面にある受容体との結合を阻害することで、血中に含まれる好酸球数を減少させます。

メポリズマブ(製品名:ヌーカラ)は、好酸球により引き起こされる炎症がもたらす疾患の治療薬として開発されました。これまで複数の好酸球性疾患を対象とした3,000人以上の患者における21の臨床試験が実施され、重症好酸球性喘息(SEA)を有する患者に対する追加維持治療薬として、米国、欧州、およびその他20カ国以上で承認されています。また、欧州および米国では好酸球性の重症喘息で6~17歳の小児に対する適応が承認されています。米国、日本、カナダに加え、その他多くの国では、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者に対する追加維持治療薬として承認されています。

日本におけるメポリズマブの効能・効果および用法・用量は以下の通りです。
【効能・効果】
気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎肉芽腫症

【用法・用量】
気管支喘息

通常、成人および12歳以上の小児にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを4週間ごとに皮下注射する。

好酸球性多発血管炎肉芽腫症
通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下注射する。

日本の添付文書全文は、https://gskpro.com/content/dam/global/hcpportal/ja_JP/products-info/nucala/nucala.pdf(PDF - 409KB) からご覧になれます。

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