ヌーカラ、米国で6~11歳の好酸球性の小児重症喘息患者に対する 初の生物学的製剤として適応拡大の承認を取得

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2019年9月12日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

2019年9月12日 英国ロンドン発

ヌーカラ、米国で6~11歳の好酸球性の小児重症喘息患者に対する初の生物学的製剤として適応拡大の承認を取得

グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は9月12日、抗インターロイキン-5(IL-5)抗体薬であるヌーカラ(一般名:メポリズマブ(遺伝子組換え))について、6歳以上の好酸球性の小児重症喘息患者を適応症として米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことをお知らせします。ヌーカラは、米国において6~11歳の好酸球性の小児重症喘息治療薬として承認された唯一の生物学的製剤です。

Dr Hal Barron(Chief Scientific Officer and President, R&D, GSK)は次のように述べています。
「好酸球性の小児重症喘息患者さんは治療選択肢が限られているのが現状です。GSKは、この度のヌーカラの重要かつ新たな適応取得が、これらのお子さんとそのご家族にとって、意義のあるものであると信じています。」

Tonya Winders(CEO and President, Allergy and Asthma Network)は次のように述べています。
「喘息に苦しむ子供の母親として、子供の入院への不安を常に抱えているといったことから、子供の面倒を見るために仕事の調整をするといった現実的な問題にいたるまで、喘息が家族に多大な影響を及ぼすことを、私は身をもって知っています。ヌーカラが、好酸球性の小児重症喘息治療において、初の生物学的製剤として承認されたことは、喘息に苦しむ方々にとって大きな前進となります。」

この度のFDAによる承認は、6~11歳の好酸球性の小児重症喘息患者を対象とした非盲検試験においてヌーカラを投与した際の薬物動態、薬力学、および長期安全性を検討した結果に基づいています。また今回の承認は、成人及び青年期を対象とした比較対照試験の結果からも裏付けられました。さらに、本試験の52週間の長期投与において、6~11歳の小児患者における本剤の安全性プロファイルが12歳以上の患者における既知の安全性プロファイルと同様であったことが示されました。

Dr Daniel Jackson, MD(Department of Pediatrics, University of Wisconsin)は次のように述べています。
「好酸球性の小児重症喘息は、治療が極めて難しい複雑な疾患です。ヌーカラは、これまで重症喘息に苦しむ多くの成人及び青年期の患者さんの生活に変化をもたらしてきました。この度の承認は、私のような医師が小児の患者さんへの治療選択肢として待ち望んでいたものであり、大きな進歩であると考えています。」

ヌーカラ(100mg皮下投与)は、12歳以上の好酸球性の重症喘息患者に対する追加維持治療薬として、2015年に初めて承認されました。今回の承認(40mg皮下投与)により、米国における現在の適応が6~11歳の小児患者にまで拡大されることになります。

ヌーカラについては、2018年8月にEUで6歳以上の好酸球性の重症喘息患者に対する追加治療薬として承認されています。日本においては2016年3月に成人および12歳以上の小児に対し「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」の効能・効果で承認を取得しました。

ヌーカラ(メポリズマブ)について
2015年に好酸球性の重症喘息に対して初めて承認されたヌーカラは、IL-5を標的とするファースト・イン・クラスのモノクローナル抗体です。ヌーカラはIL-5と好酸球の表面にある受容体との結合を阻害することにより作用すると考えられており、このようにIL-5との結合を阻害することで血中好酸球数を枯渇させることなく減少させます。

メポリズマブ(製品名 ヌーカラ)は、好酸球に関連した炎症性疾患の治療薬として開発されました。3,000例を超える患者を対象とした21の臨床試験で、数多くの好酸球性疾患について検討されてきました。好酸球性の重症喘息においては、4.8年の安全性および有効性データを有する唯一の生物学的製剤です。現在、メポリズマブは、好酸球性の重症喘息患者に対する追加維持治療薬として、米国、欧州、およびその他20カ国以上で承認されています。さらに欧州では、6~17歳の好酸球性の小児重症喘息患者に対して承認された唯一の抗IL-5生物学的製剤です。また、米国、日本、カナダに加え、その他多くの国々で、本剤は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者に対する追加維持治療薬としても承認されています。現在、重症の好酸球増多症候群、鼻茸、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の開発について検討されています。

米国において、ヌーカラ(メポリズマブとして100mg皮下投与)は、12歳以上の好酸球性の重症喘息患者に対する追加維持治療薬として承認されており、今回の適応追加により、6~11歳の患者においても投与が可能となります(40mg皮下投与)。またEGPAの成人患者の治療薬としても、承認されています(メポリズマブとして300mgを100mgずつ3ヵ所に分けて皮下投与)。ヌーカラは、急性気管支けいれんや喘息発作重積状態の緩和について適応は取得しておりません。米国の添付文書全文は、US Prescribing Information Nucala(PDF - 2.7MB)からご覧いただけます。

重症喘息および好酸球性炎症について
重症喘息は、「“コントロール不良”となるのを予防するため、高用量の吸入ステロイド薬および長期管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療が必要である喘息、あるいはこうした治療にもかかわらず“コントロール不良”である喘息」と定義されています1。また、経口ステロイド薬を長期間使用している患者も重症喘息患者として分類されます。重症喘息患者の集団では、好酸球(白血球の一種)の産生亢進に伴い肺の炎症が引き起こされることが知られています2。IL-5は好酸球の増殖、活性化、および生存を促進する主要因子であり、骨髄から肺への好酸球の遊走にも深く関与しています2345。また、重症喘息患者の約60%に好酸球性の気道炎症が認められることが複数の研究で示唆されています。

GSKの呼吸器領域への取り組みについて
GSKは約50年にわたり、気管支喘息とCOPDの領域において、治療薬の研究開発をリードしてきました。1969年の世界初となる短時間作用型β2刺激薬をはじめ、その後5年間で6つもの薬剤を発売し、今日の呼吸器領域における先進的な製品群につなげてきました。私たちはこれからも適切な患者さんに適切な治療を届けられるよう、多くの医療関係者とともに、世界に誇る科学を駆使し、明日の治療を変える薬剤の研究開発に注力してまいります。すべての患者さんが、呼吸を妨げられずに生活できる日が来るまで、私たちは歩みを止めることはありません。

小児患者のために
GSKは、治療選択肢の限られた小児患者が弊社の生物学的製剤にアクセスできるよう努めており、現在、各国にて、好酸球性の小児重症喘息および小児全身性エリテマトーデスを対象とした複数の薬剤の審査を進めています。これは、すでに成人で有効性が認められている薬剤を通じ、さらなるアンメットニーズに応えていく弊社の姿勢を示すものです。

GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。

 

1.Chung KF, et al. International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J. 2014;43:343–373
2.Rothenberg ME. Eosinophillia. N Engl J Med. 1998;338:1592-16003
3.Lopez AF, et al. Recombinant human interleukin 5 is a selective activator of human eosinophil function. J Exp Med. 1988;167:219–224
4.Rosenberg HF, Dyer KD, Foster PS. Eosinophils: changing perspectives in health and disease. Nat Rev Immunol. 2013;13:9-22
5.Kouro T, Takatsu T. IL-5- and eosinophil-mediated inflammation: from discovery to therapy. Int Immunol. 2009;21(12):1303–1309