GSK、腎性貧血治療剤として ダプロデュスタットを承認申請~世界に先駆け、日本で初めて申請~
グラクソ・スミスクライン株式会社(社長:ポール・リレット、本社:東京都港区、以下 GSK)は本日、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害剤(Hypoxia-inducible factor prolyl-hydroxylase inhibitor、以下HIF-PHI)であるダプロデュスタットについて、腎性貧血の適応症で厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことをお知らせします。
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)の患者さんでは、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため、貧血がよくみられます1。HIF-PHIは、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで、腎性貧血に効果をもたらす新しい作用機序の薬剤です。
ダプロデュスタットの製造販売承認申請は、主に日本で実施された第III相試験における良好な結果に基づいて行われました。これらの臨床試験では、赤血球造血刺激因子(ESA)注射剤による治療の有無にかかわらず、透析前の保存期および透析中の患者さんを対象として、ダプロデュスタットを評価しました。
ダプロデュスタットについては、現在、腎性貧血その他のいかなる適応症においても、承認を取得している国はありません。日本でダプロデュスタットが製造販売承認を取得した場合には、2018年に締結した戦略的販売提携契約に基づき、流通・販売業務は協和キリン株式会社が独占的に行う予定です。また上市後は、GSKと協和キリンが共同で医療機関等への医薬情報提供活動を行う予定です。
日本における臨床開発プログラムについて
国内で実施された3つの第III相試験の概要は以下のとおりです。
- ESA注射剤で治療中の血液透析患者271例を対象とした52週間のダプロデュスタットとダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)の比較試験。
- CKDステージ3~5の保存期患者(ESA注射剤による治療の有無は問わない)299例を対象とした52週間のダプロデュスタットとエポエチン ベータ ペゴル(遺伝子組換え)の比較試験。この試験には、腹膜透析患者56例も含まれる(全例がダプロデュスタットを投与)。
- ESA注射剤で治療されていない血液透析患者28例を対象とした24週間の試験(全例がダプロデュスタットを投与)。
ダプロデュスタットについて
ダプロデュスタットは、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害剤です。酸素を検知するプロリン水酸化酵素を阻害することで低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、赤血球産生や鉄代謝に関与するエリスロポエチンおよびその他の遺伝子の転写をもたらします。ダプロデュスタットは、ESA注射剤と異なり、経口投与が可能で、低温保管の必要性がない新たな治療の選択肢として開発されました。
腎性貧血について
貧血とは、酸素を体内に運ぶ赤血球の減少やヘモグロビン濃度の低下を指す状態であり、一般的に、貧血の診断にはヘモグロビン濃度が用いられます。腎臓は通常、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促しますが、腎障害のある患者さんでは、エリスロポエチンが十分に産生されないため、貧血がよくみられます1。腎機能の低下に伴い、貧血の有病率は高くなります。日本ではステージ3~5のCKD患者さんは1,090万人おり、このうち約32%に貧血が見られるとされています2,3。
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。
1.Anemia in Chronic Kidney Disease. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/anemia
2.Akizawa T. et al. Burden of Anemia in Chronic Kidney Disease Patients in Japan: A Literature Review. Ther Apher Dial. 2018;22(5):444-56. https://doi.org/10.1111/1744-9987.12712
3.Imai E. et al. Prevalence of chronic kidney disease in the Japanese general population. Clin Exp Nephrol. 2009 Dec;13(6):621-30. https://doi.org/10.1007/s10157-009-0199-x