喘息患者を対象としたテリルジー エリプタの第Ⅲ相CAPTAIN試験、主要評価項目を達成

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2019年5月2日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照ください。

<2019年5月2日 英国ロンドン発>

グラクソ・スミスクライン(本社:英国 以下GSK)とInnoviva, Inc.(NASDAQ:以下INVA)は、2019年5月2日、既存治療ではコントロール不良の成人気管支喘息患者を対象に、1日1回投与、単一の吸入器による3成分配合治療薬テリルジー エリプタ(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩:FF/UMEC/VI)とレルベア エリプタ(FF/VI)とを比較した、第Ⅲ相CAPTAIN試験の主要な結果を発表しました。

本試験は、主要評価項目である呼吸機能(投与24週時におけるFEV1トラフ値のベースラインからの変化量)においてFF/UMEC/VI (100/62.5/25µg)群では、レルベア(100/25µg)群に対して110mL(p<0.001、95% CI:66~153 mL)の改善が、またFF/UMEC/VI (200/62.5/25µg)群では、レルベア(200/25µg)群に対して92mL(p<0.001、95% CI:49~135 mL)の改善が認められ、いずれも統計学的に有意な改善でした。

また、本試験の主要な副次評価項目である中等度/重度の年間増悪頻度において、FF/UMEC/VI群(100/62.5/25µgおよび200/62.5/25µg群の併合)とレルベア群(100/25µgおよび200/25µg群の併合)を比較した結果、FF/UMEC/VI群で13%(95% CI:-5.2~28.1)の低下が認められましたが、これは統計学的に有意な差ではありませんでした。従って、これ以降に実施されるすべての解析については、記述的な解釈に留められます。

Dr. Hal Barron(Chief Scientific Officer and President, R&D, GSK)は、次のように述べています。「呼吸機能の改善を示す1日1回投与、単一の吸入器による3成分配合治療薬は、既存治療でコントロール不良の喘息患者さんにとって新たな治療薬となり得ます。すべてのデータセットが揃った後に、規制当局への承認申請を行うことを予定しています。」

またCAPTAIN試験では、FF/UMEC/VIの他の用量群(100/31.25/25µgおよび200/31.25/25 µg)についてもレルベア(100/25µgおよび200/25µg)と比較可能なようにデザインされていました。FF/UMEC/VI(100/31.25/25µgおよび200/31.25/25 µg)群は、FF/UMEC/VI (100/62.5/25µgおよび200/62.5/25µg)群でのFEV1トラフ値と同程度の増加を示したものの、増悪頻度に差は認められませんでした。

FF/UMEC/VIの安全性プロファイルは、各配合成分とそれらの配合剤でこれまでに報告されているものと一致していました。有害事象の発現頻度は全6群の治療群間で同程度であり、最も多く報告された有害事象は、上咽頭炎(13~15%)、頭痛(5~9%)、上気道感染(3~6%)、および気管支炎(3~5%)でした。

Dr. Paul Meunier(Vice President of Respiratory Medicine, Innoviva)は、「CAPTAIN試験の結果から、ICS/LABAではコントロールが不十分な喘息患者さんにとって、単一の吸入器による3成分配合治療薬が、新たな治療選択肢となる可能性が示されました。」と述べています。

本試験の詳細な結果は、今後関係学会や学術誌にて発表される予定です。

CAPTAIN試験について
CAPTAIN試験(Clinical study of Asthma Patients receiving Triple therapy through A single INhaler:
成人気管支喘息患者を対象とした、1日1回、単一の吸入器による3成分配合治療薬の臨床試験)は、無作為化、二重盲検、実薬対照、6群並行群間、国際多施設共同試験であり、現在の標準療法であるICS/LABA(フルチカゾンプロピオン酸エステル250µg/日超、または相当量)による維持療法にも関わらずコントロール不良の成人気管支喘息患者を対象に、FF/UMEC/VI(100/31.25/25µg、 100/62.5/25µg、200/31.25/25µg、および200/62.5/25µg)もしくはFF/VI(100/25µgおよび200/25 µg)を投与し、比較評価しました。
この試験には、15ヵ国の喘息患者2,436人が参加し、6つの治療群それぞれに約400人の患者が無作為に割り付けられました。

本試験の主要評価項目は、投与24週時におけるFEV1トラフ値のベースラインからの変化量であり、主要な副次評価項目は、中等度/重度の喘息増悪の年間増悪頻度でした。

テリルジー エリプタ(FF/UMEC/VI)について
テリルジー エリプタは、単一の吸入器で投与する3成分配合治療薬です。吸入ステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸エステル、長時間作用性抗コリン薬であるウメクリジニウム臭化物、および長時間作用性β2刺激薬であるビランテロールトリフェニル酢酸塩が含有され、GSKのドライパウダー吸入器であるエリプタを使用して吸入します。FF/UMEC/VI 100/62.5/25µgは、テリルジー エリプタの販売名で2017年以来、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として承認されています。日本においては、2019年3月に承認を取得しました。

米国では、テリルジー エリプタは、慢性気管支炎および/または肺気腫を含むCOPD患者を対象とした、気道閉塞に対する1日1回投与の長期維持療法として承認されています。さらにテリルジー エリプタは、COPDの増悪歴のある患者における増悪の減少を目的とした適応も認められています。

尚、テリルジー エリプタは、現在、日本を含め、いずれの国においても急性気管支けいれんの緩和または気管支喘息の適応は取得していません。

喘息について
喘息は、気道の炎症と狭窄を特徴とする慢性肺疾患です。全世界で3億5,800万人1が喘息に罹患していると推定されています。医学の進歩にも関わらず、現在もなお、半数以上の患者さんが症状をコントロールできず2、深刻な症状を抱えています。ICS/LABA治療を遵守している患者さんの少なくとも30%は、治療してもなお症状をコントロールできず、生活に支障を来しています3

喘息の原因は完全には解明されていませんが、患者さんの遺伝的体質と環境との相互作用が関わると考えられています。主に、アレルギー反応を引き起こしたり、気道を刺激する原因物質を吸い込むことで誘発されるとされています。

GSKの呼吸器領域への注力と貢献
GSKは約50年にわたり、気管支喘息とCOPDの領域において、治療薬の研究開発をリードしてきました。1969年の世界初となる短時間作用型β2刺激薬をはじめ、その後5年間で6つもの薬剤を発売し、今日の呼吸器領域における先進的な製品群につなげてきました。私たちはこれからも適切な患者さんに適切な治療を届けられるよう、多くの医療関係者とともに、世界に誇る科学を駆使し、明日の治療を変える薬剤の研究開発に注力してまいります。すべての患者さんが、呼吸を妨げられずに生活できる日が来るまで、私たちは歩みを止めることはありません。

GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。

 

  1. Soriano J et al. Lancet Respir Med 2017 5 (9): 691-706
  2. Price D et al. npjPrim Care Resp Med 2014: 14009 Woodcock A, Lancet 2017 390; 2247-2255
  3. Davis J, et al. J Asthma. 2018. [Epub ahead of print]. doi: 10.1080/02770903.2018.1455858