ヌーカラ(メポリズマブ)の臨床試験における長期安全性データ、一貫した増悪抑制および喘息コントロールについて
新たに実施した試験ではヌーカラを長期投与した3分の1の患者で増悪を認めず
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2018年5月21日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照ください。
<2018年5月21日 英国ロンドン発>
グラクソ・スミスクライン株式会社(社長:ポール・リレット、本社:東京都港区、以下GSK)は本日、重症好酸球性喘息を対象とした抗IL-5生物学的製剤の中で最も長期間の試験から、新たなデータが得られたことを発表しました。重症の好酸球性喘息患者さんにヌーカラ(メポリズマブ)を長期間投与した結果、安全性のプロファイルは過去の臨床試験と同様であり、一貫した増悪抑制効果と喘息コントロールのスコアの低下が示されました。試験登録時の年間喘息増悪回数は1.74回(平均値)でしたが、メポリズマブを投与した3分の1の患者さんで本試験期間を通じて増悪が認められませんでした。
米国胸部学会(ATS)で発表されたCOLUMBA試験は、重症好酸球性喘息を対象としたメポリズマブによる長期安全性および有効性を評価する非盲検試験です。メポリズマブによる治療を平均3.5年間、最長で4.5年間受けた患者さんのデータが報告され、その結果は以下の通りでした:
- 増悪発現頻度が61%低下(試験登録時には1.74回/年であったが、治療期間中に0.68回/年に減少;95%信頼区間0.60, 0.78)
- 試験期間を通じて一貫した年間増悪発現頻度を維持(1年目0.71、2年目0.82、3年目0.71)
- 初回評価時点(12週目)で、ACQ-5スコアのベースライン時からの低下が示され(平均値0.47 )、4年間にわたり持続(228週目まで)
- 血中好酸球(一定の重症喘息患者で炎症を引き起こす白血球)が4週目までに78%減少し、試験終了時までこの状態を維持
- COLUMBA試験で得られたヌーカラの長期投与時の安全性および免疫原性プロファイルは、重症喘息を対象とした先行試験で認められたものと同様
- 初期に見られた肺機能の向上(気管支拡張薬吸入前の平均FEV1)は、この患者集団で予想される一般的な肺機能の低下を反映して、試験期間中徐々に減少
Dave Allen(Head, Respiratory Therapy Area R&D, GSK)は次のように述べています。
「今回の新たなデータから、標的生物学的製剤であるヌーカラが、重症の好酸球性喘息患者さんに対し持続的なベネフィットを提供するというエビデンスが得られました。この試験では長い期間にわたり本剤投与による持続的な増悪の減少と喘息コントロールがみられ、安全性の新たな懸念に繋がる所見はみられませんでした。」
COLUMBA試験の治験責任医師であるSumita Khatri(Associate Professor of Medicine, Cleveland Clinic, Ohio)は次のように述べています。
「吸入薬や経口薬ではコントロール不良の重症の好酸球性喘息患者さんは、常にコントロールを改善する選択肢を望んでいます。私たちは、このような希望が生物学的製剤によって叶う可能性があることを知っており、抗IL-5抗体製剤であるヌーカラが長期投与時の安全性プロファイルのバランスを保ちつつ、長期的な有効性に関する結果を示したことを大変喜ばしく思っています」
COLUMBA試験について
COLUMBA試験は、12カ月にわたるDREAM試験に参加した重症好酸球性喘息を対象とし、メポリズマブの有効性と安全性を検討した、非盲検の長期延長投与試験です。COLUMBA試験では、DREAM試験に参加し試験終了後少なくとも12ヵ月経過した患者さん347人に対し、標準治療に加えてメポリズマブを4週毎に100mg平均3.5年間皮下投与しました(メポリズマブの投与期間は最長4.5年)。
試験が長期にわたること、またこういった長期試験では被験者数が自然に減少することから、最初の2~3年と比較すると試験の後期段階では参加者が減少しました。
ヌーカラ(メポリズマブ)について
ヌーカラ(メポリズマブ)は、重症の好酸球性喘息患者を対象としたファーストインクラスの生物学的製剤です。本剤は、EU諸国、米国、および日本を含む40カ国超で承認されており、米国では18,000人を超える患者に処方されています。さらに、これまで複数の好酸性疾患を対象とした3,000人以上の患者における16の試験が実施されてきました。ヌーカラは、現在は重症の好酸球増加症候群と鼻茸についての試験が行われています。また、ヌーカラ(300 mg)は、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)と呼ばれる希少疾患を有する成人患者の治療薬として米国で最近承認されました。現在、慢性閉塞性肺疾患患者を対象とした治療薬として、生物製剤承認一部変更申請(sBLA)が出されており、重症の好酸球増加症候群および鼻茸といった適応についても現在検討が行われています。*日本での適応は気管支喘息と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症のみとなります。詳細は添付文書をご確認下さい
肺に炎症が起こると気道に影響を与え、呼吸困難が生じたり、増悪や喘息発作の頻度が高くなったりする可能性があります。ヌーカラはIL-5に結合することで、好酸球の表面にある受容体との結合を阻害し、好酸球数を減少させますが、喘息におけるメポリズマブの詳細な作用機序は確立されていません。
重症の好酸球性喘息について
重症の好酸球性喘息は、血液中の好酸球(白血球の一種)が通常以上に高くなることに関連した炎症により引き起こされます。好酸球は、体内に通常レベルで存在している限り、感染から身体を守る役割を果たしますが、過剰に産生されると重要な器官や組織の炎症の原因となり、時に永続的な損傷を残すことがあります。
「ヌーカラ」はGSKグループの登録商標です。
米国では、ヌーカラ(メポリズマブの固定用量100 mg皮下注射)は、好酸球性フェノタイプを有する12歳以上の重症喘息患者の追加維持治療薬として承認されています。ヌーカラ(メポリズマブの3x 100 mg皮下注射)は、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)を有する成人患者の治療薬として承認されています。ヌーカラは急性気管支けいれんや喘息発作重積状態の緩和を適応とした承認は受けていません。米国の添付文書全文は、https://www.gsksource.com/pharma/content/dam/GlaxoSmithKline/US/en/Prescribing_Information/Nucala/pdf/NUCALA-PI-PIL.PDF(PDF - 2.7MB) からご覧になれます。
EU諸国では、(メポリズマブの固定用量100 mg皮下注射)は、重症難治性好酸球性喘息の成人患者向け追加維持治療薬として承認されています。EU諸国におけるヌーカラの製品特性概要については、以下をご覧下さい。http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Product_Information/human/003860/WC500198037.pdf
GSKの呼吸器疾患への取り組みについて
GSKは、約50年間、喘息およびCOPDの管理を向上させる医薬品の開発をリードしてきました。過去5年にわたり、従来の治療法では満たされない患者さんのアンメット・ニーズに応える6つの医薬品を上市しました。これらは業界をリードするポートフォリオであり、適切な治療薬を適切な患者さんに届けるために開発されたものです。
GSKは、患者さんの症状の治療と疾患の悪化リスクの低減を可能にする医薬品を提供するために、患者さんおよび科学界と協力していきます。呼吸器疾患は臨床的に区別されてはいますが、この疾患全体には重要な病態生理学的特徴がみられます。GSKは、さまざまな呼吸器疾患に対処する最も包括的な医薬品製品群を提供できるよう目指してまいります。そのために、複数の呼吸器疾患に対応可能な医薬品の開発にむけて、疾患のもととなる生物学的な機序を標的とすることに注力しています。このアプローチには、臨床試験における、広範なバイオインフォマティクス、データ分析能力、慎重な患者選定、およびフェノタイプによる層別化が必要とされます。
生きる喜びを、もっと Do more, feel better, live longer
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。