Trelegy Elliptaに関するIMPACT試験がNEJMに掲載
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2018年4月18日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttps://jp.gsk.com/をご参照ください。
<2018年4月18日 英国ロンドン発>
COPDにおける増悪、肺機能、QOLといった複数の評価項目で、3剤吸入療法がレルベア エリプタおよびアノーロ エリプタに対し優位性を示す
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)およびInnoviva, Inc.(NASDAQ:INVA)は4月18日、増悪歴のある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象として行われた過去最大規模の試験となる、IMPACT試験がNew England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたことを発表しました1。
本試験では、主要評価項目である治療期間中の中等度/重度の年間増悪頻度の減少(p<0.001 負の二項分布を仮定した一般化線形モデル解析)、肺機能および健康に関連したQOLを含む臨床的に重要なその他さまざまなアウトカムについて、Trelegy Ellipta(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、FF/UMEC/VI 100/62.5/25mcg)が、それぞれに異なる2つの薬効群に属する2成分配合剤、レルベア(FF/VI)およびアノーロ(UMEC/VI)に対する優位性を示しました。
本日発表された追加の副次評価項目およびその他の評価項目の結果には以下が含まれます:
- Trelegyをアノーロと比較した場合、COPDによる入院(重度の増悪)に34%の統計学的に有意な減少がみられました(年間で0.13回に対し0.19回;p<0.001)が、レルベアと比較した場合にはこの減少は13%となり、統計学的有意差はありませんでした(0.13回に対し0.15回;p=0.064 負の二項分布を仮定した一般化線形モデル解析)。
- アノーロと比較した場合、いずれの吸入ステロイド含有群でも治療期間中の全死因死亡リスクに有意な減少がみられました(Cox比例ハザードモデル解析 AN vs RL p=0.022)。
- アノーロと比較した場合、Trelegyでは治療期間中の全死因死亡リスクに42.1%の減少がみられました(1.20%に対し1.88%; p=0.011 Cox比例ハザードモデル解析)。
全死因死亡率に関する所見が何を示唆するかの詳細に関しては、治療期間後のデータもあわせて検討する必要があります。この検討については現在、さらなる調査が進行中であり、その結果は今後開催される学会で発表する予定です。
GSKの呼吸器領域R&DのHeadであるDave Allenは次のように述べています。「患者さんが入院しないですむよう増悪を減少させることは、肺機能とQOLの改善とともにCOPD管理における重点目標です。IMPACT試験は、増悪歴のある患者さんがこのような目標を達成する上でTrelegy Elliptaがいかに有益となり得るかを示すものです。NEJMへの掲載は、この進行性かつ消耗性の疾患の管理に関する情報を得る上でのエビデンスの基盤となるという点から、重要なマイルストーンであると考えています。」
Dr. Fernando Martinez(Chief, Division of Pulmonary and Critical Care Medicine, New York- Presbyterian Hospital/Weill Cornell Medical Center)は次のようにコメントしています。「IMPACT試験は、数多くの重要なエビデンスの相違により、COPDの管理に対する私達の理解を大きく深めるものです。同一のデバイスを用いて、有効な薬剤をさまざまに組み合わせて比較することにより、本試験では、どういったタイプの患者さんがそれぞれの薬効群から最も大きなベネフィットを得られるかが明らかになります。多くの患者さんでは頻繁な増悪や『再燃』がみられ、結果的に入院することも少なくありません。本試験のデータは、患者さんと臨床医の方々が最適な治療を検討する際に、極めて重要なものとなることでしょう。」
単一の吸入器による3剤吸入療法の安全性プロファイルは、各成分の安全性プロファイルと一致していました。治療群全体で最もよくみられた有害事象は、ウイルス性上気道感染、COPDの悪化、上気道感染、肺炎、および頭痛でした。先行試験と同様に、重篤な有害事象である肺炎の発現頻度は、FF/UMEC/VI、FF/VI、およびUMEC/VIでそれぞれ、4%、4%および3%でした。
InnovivaのSenior Vice President 兼 Chief Scientific Officer であるDr. Ted Witekは指摘します。「COPDについて、吸入ステロイド(ICS)の果たす役割については長く議論の的となってきました。この試験は、試験の対象集団におけるベネフィットに関するさらなるエビデンスに加え、COPD治療パラダイムでICSを含むレジメンが果たす役割を明らかにするという意味で説得力のあるデータを提供するものです。GSKの関係者の方々が、呼吸器疾患治療薬の分野でこのように極めて重要な貢献をされたことを喜ばしく思います。」
IMPACT試験の結果は、2017年11月と2018年2月にそれぞれ、米国と欧州の規制当局に提出されました。2018年には、さらにその他の国々の規制当局に対する承認申請も予定されています。
IMPACT試験について
InforMing the PAthway of COPD Treatment(IMPACT)試験は、同一の用量と吸入器を用いて送達されるCOPD配合剤でよく用いられる3製剤を初めて直接比較したものです。これは、単一の吸入器によるFF/UMEC/VIの有効性および安全性を検討することを目的として、よく用いられるほかのCOPD配合剤治療と比較した2つの第III相試験の2試験目となります2。
本試験では、中等度/重度の年間増悪頻度を主要評価項目とし、FF/UMEC/VI (100/62.5/25μg)を1日1回投与の2成分配合COPD治療薬として既に承認を受けているGSKの2製品、FF/VI (100/25μg)とUMEC/VI (62.5/25μg)と比較評価しました。その他の副次評価項目と治験実施計画書で事前に定めた複数の“その他の”評価項目には、健康に関連したQOL尺度を含む、肺機能および患者報告アウトカム、ならびに全死因死亡率が含まれました。加えて、さまざまな安全性評価項目も検討しました。
対象は症状を有し、過去12カ月間に増悪歴がある中等症から最重症のCOPD患者としました。このような患者は世界のCOPD患者集団全体の約50%を占めています3。本試験は、世界37カ国、1,035を超える施設の10,355人の患者が参加した過去最大規模のCOPD試験となります。
Trelegy Ellipta(FF/UMEC/VI)について
FF/UMEC/VIは、単一の吸入器を用いる3つの成分からなる配合剤としては初のCOPD治療薬であり、1日1回、1吸入となります。本剤には、吸入ステロイドであるフルチカゾンフランカルボン酸エステル、長時間作用性抗コリン薬であるウメクリジニウム臭化物、および長時間作用性β2刺激薬であるビランテロールトリフェニル酢酸塩が含まれ、GSKのドライパウダー吸入器であるエリプタを使用して投与します。この吸入器はCOPD吸入治療薬の製品群全体で使用されているものです。
複数の臨床プログラムから得られたデータから、COPDの治療薬として、単剤でも配合剤でもFF/UMEC/VIの成分にベネフィットがあることが示されました。
FF/UMEC/VIは、2017年9月、米国で慢性気管支炎および/または肺気腫を含むCOPD患者に対する1日1回投与の長期維持療法として承認されました。投与対象は、気道閉塞の改善と増悪の減少のために固定用量のFF/VI配合剤を使用している患者のうち、気道閉塞の改善のために追加治療を必要とする患者、または既にUMECおよび固定用量のFF/VI配合剤が投与されているCOPD患者となります。
米国の添付文書全文はこちらから入手できます: https://www.gsksource.com/pharma/content/dam/GlaxoSmithKline/US/en/Prescribing_Information/Trelegy/pdf/TRELEGY-PI-MG-IFU.PDF(PDF - 2.5MB)
FF/UMEC/VIは、2017年11月、欧州でICSとLABAの併用では十分な治療効果が得られない中等症から重症のCOPDを有する成人患者を対象とした維持療法として承認されました。欧州の製品特性概要はこちらから入手できます:https://www.medicines.org.uk/emc/medicine/34357
1日1回、単一の吸入器による3剤吸入療法であるFF/UMEC/VIの承認申請は、他の多くの国々でも既に提出されており、現在審査が行われているところです。日本においては申請準備中です。
COPDについて
COPDは進行性の肺疾患であり、世界中で約3億8,400万人が罹患していると考えられています4。COPDで苦しむ人は正常な呼吸ができず、日常生活に影響を受け、階段を上がるといった簡単な動きでさえ、苦労することがあります。COPD患者には息切れの症状がみられ、その多くに重大な増悪リスクがあります。本疾患のこういった側面を管理できれば、医師も治療を選択しやすくなります。
長期間に及ぶ肺への刺激物の曝露が肺と気道の状態を悪化させることが、一般にCOPDの原因となっています。環境または職場における、喫煙、受動喫煙、大気汚染、化学煙霧、または粉塵などが全て、COPDの原因となり得るのです。COPD患者さんのほとんどは、40歳を過ぎたころから症状が出始めます5。
COPD患者さんの症状はそれぞれが異なっており、異なるニーズ、異なる課題、さらには異なる治療ゴールを持っています。GSKはこのような異なる状況を理解し、患者さん個人のニーズに合うよう注力することが重要であると考えています。
GSKの呼吸器疾患への取り組みについて
GSKは、約50年間、喘息およびCOPDの管理を向上させる医薬品の開発をリードしてきました。過去5年にわたり、従来の治療法では満たされない患者さんのアンメット・ニーズに応える6つの医薬品を上市しました。これらは業界をリードするポートフォリオであり、適切な治療薬を適切な患者さんに届けるために開発されたものです。
GSKは、患者さんの症状の治療と疾患の悪化リスクの低減を可能にする医薬品を提供するために、患者さんおよび科学界と協力していきます。呼吸器疾患は臨床的に区別されてはいますが、この疾患全体には重要な病態生理学的特徴がみられます。GSKは、さまざまな呼吸器疾患に対処する最も包括的な医薬品製品群を提供できるよう目指してまいります。そのために、複数の呼吸器疾患に対応可能な医薬品の開発にむけて、疾患のもととなる生物学的な機序を標的とすることに注力しています。このアプローチには、臨床試験における、広範なバイオインフォマティクス、データ分析能力、慎重な患者選定、およびフェノタイプによる層別化が必要とされます。
生きる喜びを、もっと Do more, feel better, live longer
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。
1. Lipson DA et al. Once-Daily Single Inhaler Triple Versus Dual Therapy in Patients with COPD. New England Journal of Medicine. 2018.
2. Lipson DA et al. FULFIL Trial: Once-Daily Triple Therapy for Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease. Am J Resp Crit Care Med. 2017.
3. GSK data on file. RF/CPD/0003/18. Frequency of acute exacerbations of COPD among patients treated with maintenance therapy in three observational studies.
4. Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD, Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2017. Available from: http://goldcopd.org. (Accessed March 2018)
5. Diagnosis of COPD. World Health Organization. Available at: http://www.who.int/respiratory/copd/diagnosis/en/ (Accessed March 2018)