メポリズマブのオマリズマブ使用患者における試験結果のお知らせ
この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcが2018年3月5日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comをご参照下さい。
<2018年3月5日 英国ロンドン発>
オマリズマブでコントロール不良の重症好酸球性喘息患者に対し、メポリズマブへの切り替えを行った非盲検単群試験結果について
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は3月5日、オーランドでの米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI)と世界アレルギー機構の合同会議で、OSMO 研究で得られた肯定的な結果を発表しました。研究結果では、オマリズマブによる治療でコントロール不良で、かつ「ヌーカラ」(メポリズマブ)による治療の対象となる重症の喘息患者において、メポリズマブへの切り替え時の喘息コントロールの改善が示されました。
OSMOでは、オマリズマブ(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤)による治療を平均2.5年間実施しているにも関わらず、重症喘息のコントロール状態が不良な患者に対し、メポリズマブ*(重症の好酸球性喘息患者のIL-5aを標的とする生物学的製剤)による治療への切り替えを実施し、喘息のコントロールの改善を評価した非盲検単群試験です。この試験では、患者登録時以前に少なくとも2回/年の喘息の増悪を発現した145 名の患者に対し、ウォッシュアウト期間なしに、その後32週にわたりメポリズマブの投与を実施しました。この試験では、特に明記されない限り、メポリズマブ投与以前の値をベースラインとし、メポリズマブ投与期間中のデータと比較されました。
- 主要評価項目[喘息コントロールに関するアンケート(ACQ-5)]において、臨床的に有意な改善(p<0.001反復測定混合効果モデル)が喘息コントロールで見られ(32週の時点ベースラインからの平均変化量:-1.45)、主要評価項目を達成しました。
- すべての副次的評価項目とその他の主な評価項目を達成しました。
– 経口ステロイドを必要とする増悪の割合が以前の12カ月に比べて64%減少(3.26から1.18へ)
– 救急外来受診または入院を必要とする増悪の割合が以前の12カ月に比べて69%減少(0.63から0.19へ)
– 肺機能(気管支拡張薬吸入前FEV1)がベースラインに対して159 mL改善
– SGRQ による評価において、疾患特異的なQOL評価尺度のひとつであるSGRQスコアがベースラインに比べ改善(MCID -4.0に比べて-19 ユニット)
– 血中の好酸球数が4週目までで約80%減少し(対ベースライン)、それが32週まで持続
– 安全性プロファイルが既知のプロファイルと同様
トロント大学内科学教授でOSMO研究の治験責任者のKen Chapmanは、「この試験に参加した患者さんは喘息の症状に苦しむ辛い日々を送っており、喘息の症状が大きく悪化すると、しばしば救急外来を受診することがありました。同じような状況にある多くの患者さん同様、こうした患者さんには好酸球性とアレルギー性の両方の疾患があるため、オマリズマブかメポリズマブのいずれかによる治療対象となります。OSMOでは、こうした患者さんのうち、オマリズマブによる治療を受けても、コントロール不良の場合、メポリズマブに切り替えると、症状の減少、肺機能の向上、喘息に関連する疾患特異的なQOL評価尺度のひとつであるSGRQスコアの改善、増悪の減少という改善が示されました。この研究は生物学的製剤による治療を受ける患者の喘息コントロールに関する私たちの理解を深める貴重なものです」と述べています。
GSKのシニアバイスプレジデントであり、グローバル呼吸器フランチャイズの責任者であるJonathan Sweetingは、「それぞれの重症喘息患者さんに対して適切な治療薬が何かを判断する上で、サポートとなるエビデンスの構築は重要です。好酸球性の重症喘息患者さんに対するメポリズマブ投与をサポートするデータは既にある一方、OSMOでは、オマリズマブおよびメポリズマブのいずれの治療対象にもなる、さらに複雑な患者さんの症状をどのようにコントロールするかについて検討しました。今回発表された結果は、オマリズマブでは良好なコントロールが得られない患者さんに対してメポリズマブによる治療を行うことをサポートするエビデンスとなります。」と述べています。
OSMO研究について
OSMOは非盲検単群の国際共同試験です。本試験には12歳以上の重症好酸球性喘息患者で、オマリズマブ治療を受けているものの、コントロールが不十分で[喘息コントロールを評価するアンケート(ACQ-5)において、スクリーニングとベースラインで>1.5]、過去12カ月に2回以上の増悪を発現した被験者重症好酸球性喘息が登録されました。喘息コントロールを評価するアンケート(ACQ-5)は有用性が示されている自己記入式のツールで、喘息のコントロール状況とその変化を評価するために医師が使用します。本試験に登録されるために患者は、試験開始時で末梢好酸球数が試験開始時点で ≥150 cells/µL、または、過去12カ月に≥300 cells/µLであることが求められました。
「ヌーカラ」(メポリズマブ)について
「ヌーカラ」は、通常以上に高い血液中の好酸球(白血球の一種)に関連した炎症が症状の引き金になる重症喘息患者のための、マーケットリーダーでもある生物学的製剤です。好酸球は体内に通常レベルで存在する場合、感染から身を守る役割を果たしますが、過剰に産生されると主要な器官や細胞の炎症の原因となり、時に永続的な損傷を与えます。
肺に炎症が起こることで気道に影響を与え、結果的に呼吸困難や、喘息発作の頻度を増加させるものがあることが明らかになっています。「ヌーカラ」はIL-5に結合することで、好酸球の表面にある受容体との結合を阻害し、好酸球数を減少させますが、喘息におけるメポリズマブの詳細な作用機序は確立されていません。これまで実施されてきた試験の結果によると、「ヌーカラ」は、一貫して増悪を減少させ、患者の疾患特異的なQOL評価尺度のひとつであるSGRQスコアを改善し、経口ステロイドの投与量を長期的に減量させることが示されています。
メポリズマブは、これまで複数の好酸性疾患を対象とした3,000人以上の患者における16の試験が実施され、現在は重症の好酸球増加症候群と鼻茸についての試験が行われています。
「ヌーカラ」100mg*は、重症好酸球性喘息患者の追加治療薬としての使用が、EU、米国、日本を含む40カ国以上で承認されており、米国で18,000人以上の患者に処方されてきました。メポリズマブ300 mgは現在、米国で稀少疾病である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の成人患者への投与の適応が承認されています*。慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の治療についても適応追加を申請(sBLA;生物製剤承認一部変更申請)しています。
*日本での適応症は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」
GSKの呼吸器疾患への取り組みについて
GSKは約50年にわたりファースト・イン・クラスの新薬、新たなアプローチと知見をもって、喘息とCOPDのコントロールの科学的な解明を進めてまいりました。この4年間に喘息およびCOPD患者さんに対して、同様の吸入器具を使用する5つもの幅広い治療薬と、マーケットリーダーとなる生物学的製剤を上市しました。私たちは、これらの医薬品のうち適切な医薬品を、日々適切な患者さんに届けています。
GSKは、アンメット・メディカルニーズを満たし、医薬品の研究開発の新たな手法を模索するため、呼吸器疾患領域における知見を広げるよう努めています。私たちは、疾患の根本原因に対する治療を目指すCOPD、増悪予防から根治治療へと向かっている喘息と重症喘息、そしてアンメット・メディカルニーズを満たすことが可能な新しい治療が求められている特発性肺線維症と急性肺傷害の分野で、臨床医が患者の個別のニーズに対応可能となり、患者が日々いきいきと生活できるよう、私たちの専門性を活かして、新たな科学的知見を追求し、新薬の開発に注力してまいります。
GSKは、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。