GSK、アノーロについて慢性閉塞性肺疾患を対象とした呼吸機能に関する試験結果を発表
<2017年11月1日 英国ロンドン発>
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)およびInnoviva, Inc.(NASDAQ:INVA)は11月1日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の中で一定の症状を有する患者を対象として、1日1回投与の長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の固定用量の配合剤である、アノーロエリプタ(ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、62.5μg/25μg 以下UMEC/VI)とスピオルトレスピマット(チオトロピウム/オロダテロール、5μg/5μg; 以下TIO/OLO)を比較した試験から良好なデータが得られたことを発表しました。これらのデータは同日付で、Advances in Therapy1で公表され、カナダのトロントで開催されるAmerican College of Chest PhysiciansのCHEST年次総会でも発表されました。
236例のCOPD患者を対象とした、投与期間8週間、非盲検、クロスオーバー試験の主要評価項目は8週時のトラフFEV1(努力呼気1秒量)であり、UMEC/VIのTIO/OLOに対する非劣性を呼吸機能の改善に基づいて評価しました。本試験ではこの評価項目は達成され、加えてTIO/OLOに対するUMEC/VIの優越性が示されました。8週時のトラフFEV1 における治療効果の差は52 mLでした(UMEC/VI 180mL vs. TIO/OLO 128mL; 95% CI: 28, 77; p<0.001)(反復測定混合効果モデル(MMRM))。
忍容性と安全性のプロファイルは、いずれの治療でも同様であり、治療期間中に認められた全ての有害事象の発現率はUMEC/VI群で25%、TIO/OLO群で31%でした。最も多く見られた有害事象は、上気道感染(UMEC/VI 8%; TIO/OLO 9%)、咳嗽(UMEC/VI 1%; TIO/OLO 1%)、および下痢(UMEC/VI 1%; TIO/OLO 1%)でした。
GSKのシニアバイスプレジデントであり、グローバル呼吸器フランチャイズの責任者であるEric Dubeは次のように述べています。「呼吸機能の改善はCOPD患者さんにとって明確な目標です2。これまで医療関係者にとって課題となっていたのは、LAMA/LABAという薬効群内での違いが不明確であることでした。これが、固定用量で1日1回投与のLAMA/LABA同士を直接比較する試験を初めて実施した理由です。これらのデータは、呼吸機能の改善においてUMEC/VI(アノーロ)が対照薬TIO/OLOよりも優れていることを示すものです。」
Innoviva社のCEOであるMichael Aguiarは次のように述べています。「COPDは世界中で3億人以上が罹患しているといわれる進行性の慢性疾患です3。これらのデータは、症状が認められる中等症のCOPD患者、すなわち追加の気管支拡張薬が必要な患者おいてアノーロエリプタをスピオルトレスピマットと比較した際の結果を明確に示しており、私たちはこの結果を大変嬉しく思います。」
COPDとは
COPDとは、慢性気管支炎、肺気腫、またはその両方を含む肺疾患のことであり、肺への気流が制限され正常な呼吸機能に影響を及ぼします。世界中で3億8,400万人がCOPDに罹患しているとされ2、2030年までに世界の死亡原因の第3位になると予測されています3。長期間に及ぶ肺への刺激物の曝露が肺と気道の状態を悪化させることが、一般にCOPDの原因となっています。環境または職場における、喫煙、受動喫煙、大気汚染、化学煙霧、または粉塵などが全て、COPDの原因となりえます。COPD患者の多くは40歳を過ぎてから症状が出始めます。
UMEC/VIとTIO/OLOの直接比較試験とは
UMEC/VIとTIO/OLOの直接比較試験は、COPDを対象として、2種類の固定用量、1日1回投与のLAMA/LABA配合剤による治療を初めて直接比較したものです。
本試験は、ドイツ、スペイン、英国、および米国の34施設で実施され、試験組入れ時に吸入ステロイドによる治療を受けておらず、症状が認められる(mMRCグレード2以上)、中等症のCOPD患者が236例登録されました(気管支拡張薬吸入後のFEV1が予測値の50%以上70%以下)。本試験の主要目的は、治験実施計画書に定められた(PP)集団を対象として、非劣性マージンを-50mLとし、8週時の呼吸機能をトラフFEV1(1秒間努力呼気量)で測定した場合の、UMEC/VIのTIO/OLOに対する非劣性を示すことでした。また、非劣性が示された場合は、続いてIntent-to-treat(ITT)集団で優越性を検証しました。
本試験は、投与期間8週間、多施設共同、無作為化、非盲検、2期クロスオーバーデザインでした。最初の2週間の観察期間後に、適格患者を、エリプタ吸入器を用いてUMEC/VI(62.5/25μgを1日1回吸入)を投与した後、レスピマット吸入器を用いてTIO/OLO 5/5μg(TIO/OLO 2.5/2.5μgを1日1回2吸入)を投与する群(3週間のウオッシュアウト期間をはさんでそれぞれ8週間)、またはその逆の順番に投与する群に無作為に割り付けました。吸入器により識別できる可能性があることから試験は非盲検下で行われましたが、肺機能は盲検下で測定されました。
GSKの呼吸器疾患領域への取り組み
GSKは、喘息およびCOPDのコントロールを実現させるための新しいファースト・イン・クラスの医薬品研究開発を行い、継続的な取り組みをもって世界において45年以上にわたり呼吸器疾患領域のリーダーとなってきました。私たちは、呼吸器疾患に関する知見と理解の幅を広げるためにたゆまぬ努力を続け、医薬品の研究開発を変えていきます。また、臨床医が患者個人のニーズに合わせた治療を行うことで、よりよい生活を送ることができるようサポートするため、新たな科学的知見や私たちの専門性の活用、また医薬品開発に注力してまいります。
アノーロエリプタとは
アノーロエリプタ(ウメクリジニウム臭化物とビランテロールトリフェニル酢酸塩のドライパウダー式吸入薬)は、単一のドライパウダー吸入器であるエリプタ吸入器を用いる、2成分配合気管支拡張薬です。本剤は、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であるウメクリジニウム臭化物(UMEC)と長時間作用性b2刺激薬(LABA)であるビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)を含有します。添付文書におけるUMEC/VIの含量は、欧州では55/22μg(放出量)、米国では62.5/25μg(充てん量)と記載されており、エリプタ吸入器を用いて吸入します。
生きる喜びを、もっと Do more, feel better, live longer
グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを企業使命としています。詳細は、www.gsk.comをご覧ください。
References
1. Feldman G et al. Advances in Therapy 2017; vol. 34: DOI 10.1007/s12325-017-0626-4
2. GOLD 2017 Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD. Available from: http://goldcopd.org/gold-2017-global-strategy-diagnosis-management-prevention-copd/ [Last accessed: Oct. 2017]
3. World Health Organization. Chronic obstructive pulmonary disease. Available from: http://www.who.int/respiratory/copd/en/ [Last accessed: Oct. 2017]